田んぼ勉強会

   

桂林七星岩 10号 不思議なくらいこの場所のことは思い出される。

久しぶりに田んぼ勉強会をやった。11名で5か所の田んぼを回った。いつもは出来るだけ意見を言わないことにしていたのだが、今回は自分の分ることはすべて発言するつもりで回った。誰かの農法になるというのを避けたいということがあって、意見は言わないで来たのだが、最近はどこの田んぼもレベルが上がっていて、むしろ教えてもらうことの方が多いい。田んぼを回って、良い勉強ができた。特に田んぼの色の変化について、気を付けて見て回った。欠ノ上田んぼの特徴が良く分った。欠ノ上田んぼの稲は背丈が高い。茎が太い。穂が大きい、緑が濃い。分げつは少ない。初期の深水のせいかもしれない。そろそろ、スズメの案山子の時期だ。

以下、根守さんが書いてくれたメモ。
2014.8.9土曜日
参加者:11名

1.欠ノ上田んぼにて
(まず上から全体を見渡して)欠ノ上田んぼでは葉色の変化を見て、管理をしている。稲の色は離れて全体を見るのが良い。稲の色の見方では「ふた山型」にするのが慣行農法では普通である。井原豊さんの「への字農法」では、一山にする。自然農法では肥料を与えないので、への字型主流になっている。欠ノ上田んぼではふた山型を目指している。田植え直後の時期は苗が黄色っぽい淡い色であるが、徐々に緑の色を濃くしてゆき10枚目の葉がでる頃、葉色の濃さは一番濃くなる。そして徐々に葉色は浅くなってゆくが、これをもう一度、穂が出るとともにわずかに葉色を上げてやるようにしている。葉色はさめない方が良いと考えている。水管理を間断灌水にすることで再度緑色を濃くなる。例えばわらを撒いて上から蕎麦かすを撒いたところは、田植え後黄色いなえがみどりになり、そして徐々に黄色くなり、再び緑が濃くなっている(ふた山型)。これが色むらとなって見える。 間断灌水により、土が持っている肥料分が放出されると考えている。同時に根が深く伸び始めて新たな肥料を吸っていると言うことも想像できる。葉色が落ちて黄色くなったら間断灌水を始める。このタイミングの見極めが難しい。色は遠くから全体で見て判断する。葉色測定板で1枚の葉色をみても無意味。

 縞葉枯れ病で葉の先が黄色いのがあるが。特に冬乾かない、11番のもち米の田んぼが目立つ。根が弱いとこの病気になりやすい。しっかりと根が張っていれば病気が出ても広がらない。
 止め葉が大きい(幅、長さ、厚み)ことが収量を上げるためのポイントであるが、止め葉が縞葉枯れ病になると収量が落ちる。止め葉以外の葉は収量にはほとんど影響しない。
 さとじまんは止め葉が大きいことと、縞葉枯れに病に耐病性があることが特徴。自然農法に向いている品種。
穂の長さは25cmくらいはほしい。20cm以下では100粒を切るが、25cmなら120粒くらいになる。慣行農法では100粒以下であっても穂数で稼ぐが、欠ノ上田んぼでは穂数は少ないが粒数(120-130)で稼ぐ。止め葉が大きいと粒張りも良くなる。止め葉の長さは50cm以上が目標。 最長90cmになる。さとじまんは受粉が終わると穂が垂れて止め葉のみが立ち上がり、日光を良く受けることが出来る様改良されている。
身体の腰の位置で1メートル。手のひらと手首の線で、25cm。指先から肩までで70センチとか覚えておき、いつでも確認できるようにする。
 重要な観察点は出穂期(出穂;でほ)がいつかと言う点。50%の穂が出た時点が出穂期と決めている。今年は天候が良かったので早い。7月15日くらいになるか。

 出穂期から45日後が稲刈り、出穂期から45日前(7月10日前後)の状態を観察して、追肥が必要でならばここでおこなう。もう一度ソバカスを播く。化学肥料は即効性があるので、幼穂が形成されてから穂肥を行うが、自然農法ではそれより早く播かないと効果が無い。出穂25日前が幼穂形成期で、慣行農法ではこの時に肥料をやる。自然農法ではこの時期に水を切って稲に合図を送る。たぶん稲は水圧の変化を感じて穂を出すのではないか。 今年の走り穂が8月1日だったので、15日頃に出穂と予想される。例年は8月21日頃。走り穂は 交雑や種が混ざったなどでムラがあるので基準にしづらい。
 水は稲の生長を考えると一度も切らずに行きたいが、切らないと倒れる。中干しは行わない。土を固めて倒れないようにするには水を切る必要がある。どこで水を切るか毎年迷う。切るときは足跡だけに水が残っている状態まで水を切る。棚田では各田んぼを単独に水管理できないので、妥協点で全体管理するしかない。

 出穂のあとでも遅れ穂が出る。遅れ穂も収量に寄与する。収量を考えると、稲刈りは遅めがよい。胴割れ米等は出ない。
 5番田んぼはいつも水が足りないが、緑色が濃くて例年収量も多い。水が足りないため草取りが大変だが、水が少なくても草取りさえしっかりやれれば収量は上がる。草は一本でもあると収量が減るので、出来るだけ取る。
 穂が出て雌しべが出ている状態だと、田んぼに入ると雌しべが傷んで受粉しなくなるので、この時期は入ってはいけない。
 補植用の苗は6月末で処分する。それ以降補植しても収量が増えず、むしろ病気の原因になる。
 分げつは最初扇型に出るが、その後丸く開帳型になるのが良く、そうなれば25本以上になる。
 つと虫(一文字せせりの幼虫)は穂が出るのを妨害するが、今年の数ぐらいなら影響はない。気温が上がっているので越冬して増えるかも知れない。

2.坊所田んぼにて
 坊所は有機物量が不足しているため、やや生長が落ちている。これから何年間か腐植を増やすように努力する必要がある。腐植を増やすには緑肥を冬作るか、稲藁を堆肥にして戻すかである。腐植が増えると、土が肥料を保持する力が上がる。
 坊所田んぼは水が冷たいため収量的には不利だが、山から養分を含んだ水が流れてくるため、大変おいしい米が出来る。
 養分が多いと分げつ数は増えるため、株間を少し広げても収量的には問題ないが、養分が少ない田んぼでは分げつが少ないため、株間は狭い方が収量的にはよい。

3.舟原田んぼにて
 田植えが6/18と遅かったが、それを考えても生長は遅れている。有機物不足が問題と思われる。土の粒も大きく、トロトロ層がほとんど無い。緑肥を栽培するなどして腐植を増やす必要がある。稲の根が、弱っているために、縞葉枯れ病が出ている。
4.あじさい田んぼにて
 草取りやコロガシを一度もしないで草が出ないのは驚き。去年取り尽くして、草が無くなってしまったのだろう。二度代かきをして、二度目が田植えの前日だったというのも草がない原因として大きい可能性がある。 土の感触も滑らかなトロトロ層で非常によい。苗床にしていたので養分も十分あり、分げつも多く9俵以上行くのではないか。
 一部に早稲が混ざっているようで、種取りはやらずに他の田んぼからもらう方が良いかも知れない。

5.親子田んぼにて
 周辺の自然農法の田んぼでは縞葉枯れ病が出ている。全体に良い生育で、分げつ数が大変多い(30?)。白い上根が走っているのが見え、根はしっかりしていると思われる。収量的には結構上がる可能性がある。
下の田んぼは今日見た中では最高の出来で、分げつも多く揃いも良い。10俵を越えるかも知れない。田んぼ内でのムラが無く、揃って穂数が多い。懸念点は倒れること。土のこれからの固め方に要注意。
 水準器を使って丁寧に高さのムラを無くしたこと、稲わらはコンバインで刻んで撒いたこと、冬に牛糞を2反あたり1t程度入れ、何度も耕耘機で均一に混ぜたことなどが良かったのかも知れない。端に所々白い穂があるのは、雀が汁を吸ったため。早稲が良く実っているので、そろそろ雀よけをした方が良い。

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