削っ太郎
削っ太郎というネーミングの、タチガンナがある。真中が空いているので、穴空きホーという道具らしい。これがなかなかのもので、毎日使っている。松本の自然農法センターを見学に行った時、石渡さんが手にしていた。それがさまになっていたので、欲しくなって早速買った。だからだいぶ前のことになる。私はこれを田んぼに一本置いてある。田んぼに道具置きのロッカーの様なものが欲しいのだが、反対する人がいるので作れない。田んぼに行くときわざわざ道具を車に積んで、準備をして出かけるというのは大変なのだ。田んぼを通りかかれば、必ず降りて見に行く。これが大事だと思っている。早めに異変に気付くということが、何より棚田では重要になる。沢ガニが空けた小さな穴も、大きな畦の崩壊になることもある。その為には、ちょっと田んぼによってはこまごました作業がしやすいということが重要である。
シャベル一本田んぼにあるのとないのでは、大違いである。土嚢袋に3個ほどの土は常に必要である。突き棒。コロガシ。ビニール。そして削っ太郎は常備したい。グループでやっている田んぼなので、みんなの意見もあるので、まだロッカーは作れないので、目立たない所に置きっぱなしである。削っ太郎の使い方であるが。田んぼを歩きながら、コナギがあればすくい取るのである。削っ太郎の長さいっぱい手を伸ばすので、畦から2mほどはかなり草を取れる。まあ中の方は草が濃くなるのは仕方がない。小さな田んぼが11に分れているのだから、周囲ぐるっとやるだけでもかなり違う。そしてこれで水位をはかる。8センチが目安なので、これを沈めながら田んぼの水位の確認をして歩く。そしてトロトロ層の確認である。熟練してくるとサクる感覚でトロトロ感が分る。変化があればもちろん手で確認をする。
もう一つは深く差しこんでガスの確認をする。田んぼというのは必ずあぶくが湧いてくる。このあぶくの匂いが重要である。どぶの臭いがすれば、土壌がメタン発酵になっている可能性がある。コロガシを入れる必要がある。あるいは、成長の時期によっては一度、干してしまう。あぶくの匂いで、土壌の状態を知ることができる。田んぼは草や藁が大量に漉きこまれている。水が入り、水温が上がるに従って、腐食してくる。これは悪いのではなく、良い効果もあるので、良い発酵状態に持ってゆく必要がある。これを日々確認して行くためにはガスの匂いで確認して行く。腐敗臭といっても様々だということを知ることになる。さらに深く入れたときに硬くなる深さが様々だということも分る。どういう深さが稲に良いのかも確認して行く。根の広がり具合も確認できる。草をすくい取っている内に、根が地表全体に広がってくる。これは切っても大丈夫であるが、根の状態を知るということも削っ太郎で根がゴリゴリする感触を確認する。
削ったろうの改善をいえば、柄の長さを50センチ長くしてほしい。現在のものは1350しかない。せめて1間は欲しい。それぞれが切りたい長さで切ればいいのだ。もう一つ書き忘れていた使い方があった。稲の長さをはかっている。柄には下から50センチの所に印を付けてある。これを田んぼに入れて、稲の伸び具合を計る。成長の違いを去年と比べて考えられるようにしている。7月初めで50センチあれば大体いい具合である。