ヌードルメーカー
庭の眺め 4号 毎日見ている場所を描く。これはこれで面白い。日常の景色。
ソバが押し出されてくる様子。
恥ずかしながら、ヌードルメーカーを購入した。恥ずかしがることもないようだが、やはり今まで手打ちでやっていたものを、機械にしたのだから、一歩後退の気分である。しかし、小麦を作っているので、うどんは良く作る。手打ちでの麺づくりにはやはり手間がそれなりにかかる。結構自慢でもあったのだが。手狭な台所を汚しぱなしで、褒めらられた状態でないのも事実だ。うどんというか、ほうとうは子供の頃からの習慣的な食べ物で、毎日でも食べたい。フィリップスから、実用レベルのヌードルメーカーが出た。これは今までの製麺機とは相当に違うという予感がした。なにしろ、腰のある麺が10分足らずで出来るという、信じがたいものだなのだ。私も寝かしの意味は大してないと、前から考えてきた。寝かす手間をかけないで、粉から一気にうどんにしても、さして変わらない。要するに、どの程度の水で、どの程度に練り込むかにかかっている。
この練りの過程が、手打ちとは相当違う。ぼそぼそのまとめないまま、練ってゆく。練っても練っても、まとまらないのだから、いわば水は相当に少ない。この水の少ないまま、細い穴に送り込み押し出す。ここは相当に力がいるだろう。これが270キロパワーの秘密らしい。私では、27キロぐらいの非力パワーだから、10倍の力で麺を押し出すのである。腰を強くするには水のさらし時間を重視しているようだ。ゆで上げるのは同じことなのだが、なにしろ5分以上水にさらすと指示がある。これは私の今までのさらしの5倍の時間である。そういうものなのかと、ちょっと恐るおそるやってみたが、確かにしまった麺になった。ほうとうの様な打ちこみでは腰は無くなる。この腰のある麺というのは、日本独特なのだと思う。フィリップスが何年か前から中国で販売したヌードルメーカーは腰がない麺しか打てなかったらしい。中国の麺は確かに柔らかい。日本でいえば、沖縄のそうきそばだ。中国人が日本のラーメンは美味しいというのも、分らないでもない。
日本人が麺を徹底して、打って、腰の強いものにしたのは、何やら武士道のようではないか。ソバ作りでも、すぐそば道になり、段位を作る様な所が日本人にはある。この場合、デロデロの麺では、どうもいただけないではないか。何かきりっと堅いという所に、価値を見出す。たかがソバ、されどソバ。ソバ作りに人生をかける所が日本人。麺こそ日本の和食文化。この日本らしい和食文化を日本のナショナル電機ではなく、フィリップスが日本向けだけに作り、先行したというところが今のグローバリズムを表わしていないか。たかがうどんでとは思うが、それぐらい、ほうとうで育った魂を揺さぶられた機械だ。向昌院のお婆さんに食べさせたかった。だっちょモネイコンじゃん。と日本を嘆くだろう。ほうとう作りをお嫁さんに譲って、すっかり弱った。
実はこのヌードルメーカーは、何とソバも作れるというのだ。しかも、そば屋が驚いたという宣伝文句だ。先日飯山の地粉を買ってきた。これでそばを作ってみた。確かにソバである。ソバが簡単にできたことは驚いたが、味はうどんほどのレベルではない。確かに腰はあるのだが、味に切れがない。5割そばでやってみたが、2,8そばで今度はやってみるか。食べた歯ごたえからいうと、生パスタが期待できそうだ。今度はスパゲッテイだ。卵を入れる分、水分量が難しい。粘りが出て、少し硬めになったが、なかなかおいしい生めんである。うどんを作る手軽さから思えば、確かに片づけはそれなりに面倒である。後でこれで洗ったのかともう一度洗うことになった。面倒ではあるが、許容範囲である。今年の小麦が粉になるのが楽しみだ。