憲法 アンケート結果

   

四万十川河口 10号 四万十川面白い川だ。そう長い川ではないのだが、悠然としている。

昨日は67回目の憲法記念日だった。新聞には憲法改定に関する、アンケートの結果が載っていた。安倍自民党政権の新憲法制定方針が現実化して、どうも平和憲法を守りたいという考えが強まってきたようだ。何とも嬉しい結果だ。安倍氏は最初は、革命政権のように、本質的には新憲法制定を主張した。しかし、それが無理となると、憲法改正の手順を変えようとした。多数決で憲法改定が出来るとという、全く憲法の意味をないがしろにする、とんでもない考えが示された、あの時、賛成を表明した京都大学の憲法学者大石教授はその後、どういう考えになっているのか。学問的に正しいと考えるなら、きっと今も意見表明をどこかでしているのだろう。それとも恥ずかしくてだんまりだろうか。ところがこれが評判が悪いとなると、法務局長官に小松氏を任命して、集団的自衛権の解釈の変更を主張し始めた。こんなずるずるした手法は良くないということを、多くの人が感じ始めたのではないか。

軍隊を持つべきだというような意見を述べる人たちにもさすがに、この解釈変更方式はダメだという人が多いいようだ。正面から憲法改定を議論すべきという理由のようだ。当然の意見で、議会制民主主義を無視した形で何かをやろうとしても、良い結果が出るわけがない。その場では自分の都合よく、ずるがしこく変更が出来たとしても、民主主義は不思議なもので、必ず揺り戻しがある。ここまでのインチキは通用しない。何故解釈変更方式が良くないかと言えば、歯止めがないからである。集団的自衛権の範囲というものは、日本周辺というものから、世界のどの地域にも、出掛けてゆくという意見に分かれる。たぶん、最初はいかにも小さな変更のように主張するであろう。そして徐々に、解釈を広げてゆくに違いない。このずるずる、日本の基本姿勢をあいまい、軍事的国家に変えて行けるということになる。そんなバカなことはないと今は説明するだろうが、結果的にはそうなると考えて置いた方が間違いがない。

自民党では砂川事件の判決をもって、最高裁が集団的自衛権を認めているというような主張を始めた。これはまるで、裁判の目的を理解していないものだ。砂川事件は、1957年在日米軍の基地の測量に伴い、反対デモが、米軍基地に侵入したとして逮捕された事件である。最高裁判所は、「憲法第9条は日本が主権国として持つ固有の自衛権を否定しておらず、同条が禁止する戦力とは日本国が指揮・管理できる戦力のことであるから、外国の軍隊は戦力にあたらない。したがって、アメリカ軍の駐留は憲法及び前文の趣旨に反しない。他方で、日米安全保障条約のように高度な政治性をもつ条約については、一見してきわめて明白に違憲無効と認められない限り、その内容について違憲かどうかの法的判断を下すことはできない」(統治行為論採用)として原判決を破棄し地裁に差し戻した。この判決をもって、個別自衛権を否定していないが、外国での武力行使を認めたものとは、到底理解できない。

憲法の示す武力放棄は、やられるままでいいということではないと、最高裁砂川判決は示した。そのことが、自衛権の確認に繋がり、自衛隊の設置根拠に成ったことは確かだ。しかし、この判決を持って、集団的自衛権の拡大解釈まで可能になるというのは、到底無理な飛躍だ。こんな無理な解釈を持ち出す位、今回の集団的自衛権の解釈変更は無理無理であることが、見えるではないか。こうした安倍政権の無謀な野望の結果、世論調査は、昨年より、憲法9条を堅持すべきとする意見が10%も増加した。アンケートなど不確定なものだとは言え、多くの人が何となく不安を増大している姿がうかがえる。安倍政権を増長させてはまずいという感覚が芽生えてきているのではないか。憲法は正面から大いに議論すべきだ。姑息に、内閣法制局や、まして総理大臣の解釈で、本質が変わるようなものであってはならない。独裁政治の反省が、議会制民主主義なのだ。

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