鹿児島と沖縄の選挙結果

   


北アルプス 10号 アルプスへの道という、児島善三郎の傑作がある。それがどこで描かれたものなのか、良く分らないのだが、安曇野あたりからなのだろうか。何度も描きに行くのだが、ここだという場所は見つからない。

鹿児島2区と沖縄市では、ともに自民党と公明党の推薦する候補が当選した。これを持って安倍政権の政策が支持されたと、菅官房長官が解説をしていた。これは明らかに不十分な自己引水的解釈である。今回の選挙では、公明党の推薦だけが、選挙結果に影響している。一人を選ぶ場合、公明党がくっついた方が勝利するのである。沖縄市の市長選挙はまさにその事例で、公明党が推薦し、太田大臣も沖縄入りした。鹿児島2区も同様の結果である。選挙としては、それだけのことだ。前回の名護市の市長選では、公明党は自民党候補を推薦せず、自由投票にした。その為に、辺野古移設反対の稲峰市長が再選された。それくらい、公明党の選挙での役割が大きくなっている。この点で、思想の近いみんなの党や、石原氏グループが自民党と連携しても意味がないのだ。公明党の支持者は、一致団結して党の指示に従うという点かが肝心なのだ。党よりも宗教的な人間支配なのかもしれない。こうしたものに、自民党の実態は支えられているのだ。

自民党は、新憲法制定が党の大きな目標である。公明党は、一応今のところは護憲政党である。この2党が連立内閣を作り、肝心要の平和憲法の集団的自衛権を解釈変更で、海外派兵の道を開こうとしている。両党によると、この点でも、選挙結果の判断が違うようだ。山口代表は明確に、憲法では集団的自衛権を認めていないとしている。そして今回の選挙結果でも自民党の解釈憲法変更の考えが、支持されたのではないとしている。今後どう変わってゆくのかが注目である。沖縄市の選挙では、公明党が加わっても、近差の接戦選挙であった。ということは、県知事選でも公明党の動向が問題になる。ということは、自民党は安易には公明党を軽視して、集団的自衛権の解釈変更が出来ないということになるはずなのだが。公明党との調整が現在も行われているのだろう。公明党の内実というものが分らないが、創価学会の池田大作氏の考え方ということなのだろうか。それとも民主的な政策検討というものがあるのだろうか。

沖縄県知事選挙では、すでに不人気の仲井真弘多知事の三選はないようだ。そこで、自民党県連、公明党県本部は、両党と経済界や各種団体、保守系首長などで構成し、副知事高良倉吉氏(66)が有力候補のようだ。公明党沖縄本部では辺野古移設反対を表明しながら、どういう論理で、自民党候補を推薦するのだろうか。いつもこうした矛盾が理解しがたい。こういう公明党のあり方が、日本の政治を論理を越えて動かす、利害政治にしている。健全な野党が全く存在しないような、日本の政治状況を導いているのは、政党の理念よりも、野合して利益誘導という、自分達の利害で結びついているだけの状態が良くない。何とかこの閉塞的状況を乗り越えるためには、小選挙区制を辞める以外ない。ところが、報道はどうだろうか、今回の選挙結果の最大原因である、公明党の動向に触れない。宗教政党が怖いのだろうか。

自民党議員の中には、公明党という思想の違う政党を尊重せざる得ないという、いらだちがあるだろう。しかも、自分の選挙では、お世話にならなければ当選できないという弱みがある。また裂き状態である。その自覚もない当選主義の社員議員ばかりなのか。原発をロード電源とすると言っても、公明党は将来廃止の方向である。ことごとく、両党は異なる政策を掲げて、連立内閣を作っている。そして、それぞれに当選の為には口を拭っている。こんな状況が続いているのでは、日本の政治は悪くなる一方である。経済が悪くなった時、どういうことが起こるのだろうか。自民党がダメだとされたとき、いよいよ、迷走飛行に入る。ソフトランディングが出来なくなる。この政治状況が続くなら、その覚悟もしなければならないのかもしれない。地場・旬・自給を原点として、自分の暮らしを、自分で確立して行く以外に、生きることを、深く生きることはできない時代が目の前まで来ているようだ。

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