台湾とクリミヤ
三津浜富士 10号 三津浜の山の上に、見晴らしの良い場所がある。今はそこまでの道は、行けなくなってしまったのだが、ちょいちょい描きに行った。これ以上の富士を描く場所はちょっとないだろうというくらい、富士山を描く絶好点であった。
クリミヤ半島がロシアに編入される。それも国民投票が行われ、クリミヤ半島の住民の意志を反映した形のようだ。住民投票自体そのものが、違法なものと認定されているが、軍隊に脅かされて投票した様な感じはない。全体にいえばロシアの軍事力の圧力もあるだろう。ウクライナのEU加盟とそれに対する欧米側の引き合いもある。しかし、台湾でも現在政治混乱が起きているようだ。事らは馬英九台湾総統が、中国寄りの政策を取っていることに対する、学生を中心にした反中国活動のようだ。馬氏によれば、中国との貿易協定は台湾に極めて有利な条件で交渉が進んでいる。と主張しているが、学生側にすれば、中国との自由貿易協定は、結局は中国に台湾が飲み込まれることになると、主張にしている。チベット地域が中国資本の進出によって、経済的に支配されてしまったことを連想させる。台湾にそもそも存在した民族にしてみれば、中国に属国的に支配された時代。日本の植民地時代があり、その後に、蒋介石の中国本土からの敗走政権が出来る。
台湾政府の中国接近政策の背景にあるものは、中国の経済成長を予測して、その恩恵によって、自国の経済的苦境を脱しようという政策である。世界経済が競争である。負ければ終わりという形で、どの国も追い立てられている。その心理をうまく利用しているのが中国の外交なのだろう。韓国もそういう形で、中国にとりいっているつもりだろう。アメリカも市場としての中国を、重視するあまり、台湾を見捨てても、中国を選択するのではないかと言われている。経済優先の世界情勢である。ウクライナ問題の背景も、国家の文化とか、民族の独立とか言う以上に、経済の有利さ、それも支配階級の利権がらみの動きの方が優先されているように見える。ロシアの強引なやり方に対して、世界が何が出来るかである。例えば日本がロシアとの経済関係を閉鎖するというようなことは到底できない。それはドイツでも、アメリカでも同様である。だから、経済制裁などと言いながらも、政治家の渡航禁止や、資産の凍結ぐらいの範囲で、経済に栄養が出ない範囲での制裁ということだ。
台湾に対するアメリカの外交の変化は、日本との同盟にも及ぶことになるだろう。日本には参考に成るはずだ。アメリカにとって中国市場は台湾を見捨てても仕方がないほど大きいということに成るのではないかと想像する。もちろん台湾をアメリカ側に引きつけて置き、中国から独立させておくことは、中国監視の軍事戦略的にも重要だったはずだ。しかし、経済というか、グローバル企業はそういうものを越えて、利益を求めて何でもするはずである。一〇年後のアジア情勢を予測して、アメリカ企業が政府に対して、何を求めるかである。馬氏が現状では、台湾有利な経済協定を結べると思うのも、台湾企業の中国本土への進出の希望だ。日本企業の中国進出意欲が盛り上がった時期があった。中国側も熱烈歓迎ムードだった。結果日中関係はどうなっているか。台湾企業が有利であると思い込むのは、一時の企業の市場への期待感だ。結局は台湾が飲み込まれてしまう、大きなリスクを負っているだろうということは、想像に難くない。
アメリカが、日韓の関係を取り持ってくれた条件は、靖国参拝を安倍氏が行わないという約束ではないだろうか。安倍氏が、靖国参拝は今後しないと宣言すれば、日中首脳会談の行えるはずだ。平和外交を重視するのであれば、日本国全体のことを考えるのであれば、安倍氏の自制心に期待する以外にない。もし、その選択が出来ないのであれば、対立を深め、結局は日本の軍事力強化と、核武装論にまで進まざる得ないことになる。クリミヤのような事態にも何もできないのが、世界の状況である。台湾と中国の関係の変化に、日本は何か出来るのだろうか。先に進めば、もうすべての国が、中国に飲み込まれる台湾を黙って見ている以外ないことになる。クリミヤは遠い。しかし、他人事ではないと安倍氏は発言していた。当然台湾は自らの問題のはずだ。平和主義外交というものがあるなら、台湾に対してどのようなシグナルを日本が送るのかであろう。