田んぼが始まる

   

蝶が岳の雲 10号 雲はなかなか面白い。雲は自由だ。どんな色でも描けるし、どんな形でも雲だ。だから、すべては描く人にゆだねられている。本当は、すべてのものが雲と同じで、自由に描いていいのだが、人間はこうだとか、山はこうだとか、自由になれるものでもない。

毎年、春分の日を田んぼの作業始め、としています。人間の体も心も春が来たと感じている。、たぶん種もみも春を感じているのではないかと思います。茶箱に入れてあった種もみを取りだす。無事保管が出来ただけでも、ありがたいことだ。桜の開花が、高知、鹿児島とはじまって、今のところ例年通りの春の到来。

3月21日、9時から種もみを籾洗いしました。

小田原漁港に行って、海水を貰ってきました。その海水で、籾を良く浸して、付け込んで、浮いたものを取り除きました。例年同じようにしましたが、今年は、8番の田んぼの種もみを使いましたが、少し浮く量が少なかったようです。全部で18キロの種もみを使い、2キロぐらいが浮いた状態です。塩水選ではなく、海水選ですから、それほど充実していなくても浮きません。何故言われている、塩水選の濃度で、種籾の厳しい選別をしないかと言えば、それほど厳しくする必要がないと考えているからです。全く選別をしなかった年もありますが。病気が出たということは在りません。むしろ選別するという考え方が間違っているのではないかと、内心思っています。良いものもある、悪いものもある。これが自然だと思います。だから、今回の種もみも、8番田んぼのもので、欠ノ上の平均的な所という考えです。一般に行われる温湯消毒というのもしたことがありません。もちろん薬剤の消毒もしません。特段のことをせずに、20年一度も病気の出た経験がありません。たぶん、消毒というのは、予備的な、安全対策ということで、万が一まで考えてのことなのでしょう。加えて機械苗という、とても環境の悪い促成栽培の苗作りだからかと思います。セルトレーを、田んぼの苗床で管理するという形では、今までの自然にゆだねた方法で、丈夫な苗が出来ます。

そのあと、10時から久野川に種籾を浸けて在ります。

種籾は種まき予定の、4月19日の前日まで、川に付けておきます。川の水は9度でした。ほぼ1カ月川に浸けて置くことに成ります。翌朝見に行くと、8度でした。一般に浸種は1週間程度と言われますが、出来れば長めの方が良いと考えています。長めの方が、発芽抑制物質が流されるのでしょう。発芽がそろうし、発芽率も良いからです。その後の寒さ対応力も高まるような気がしています。自然の稲は、川岸で倒れ、冬を越し、徐々に水にさらされ、水温が上がり、水が引き。そして発芽するはずです。何カ月も水の中に居ることもあるでしょう。実際に、正月元旦から、川に付けたこともあります。これは経験したこともない良い発芽でした。面倒なので、今は春分の日から、種まきまでです。昨年、袋の網が豪雨で破れ、少し種もみが減りました。今年はそこで位置を変え水路にしました。水温は時々計りに行きます。絶対に14,5度以下です。これを越えると、発芽が始まります。最近川の温度が上がっており、油断はできません。その場合は、急遽引き揚げて、水道水などで管理するしかありません。

11時から苗土の準備をしました。

種籾はセルトレーに播きます。その土は準備しました。ソバの糠と鶏フン堆肥を1袋づつ、混ぜながら土を山に積みこみました。この土を、3月30日に土振いを行います。土振いはした後、土嚢袋に入れておきます。そして、苗土を作るときには、籾がらクンタンをさらに混ぜます。昨年からこの方式にして、苗が前以上にいい感じになったような気がします。がっしりした、5葉期の分げつの始まった苗です。苗作りは最初の段階は、滞りのない成長が必要なようです。厳しい環境で育てるという考えもありますが、保温はある程度必要です。今年の保温は、穴空きビニールにします。竜巻のような風が吹くので、よほどしっかりと埋め込むつもりです。苗床の土は、冬の間に2度ほど堆肥を播いています。これを4月5日に耕して苗床の準備を行います。良い苗床は、当然良い土である必要があります。苗の根がセルトレーの底から、付き抜いて土壌深くに大きく広がることが最善です。水温が高く、日照が必要です。

 - 稲作