マルハニチロ農薬混入事件
低い雲が山麓を飛んでゆく。八ヶ岳の山麓である。10号P大 この絵も描き始めたのは、7.8年前だが、まだ出来上がらない。水彩での白の扱いは、難しいものがある。
マルハニチロの農薬混入事件は、どうも人為的な犯罪行為があったとしか思えない。つまりあの大騒動になった、中国の殺虫剤入り餃子とほぼ同様な事件ということになる。この時、中国には不満分子が存在するから、食品工場でこういう恐ろしいことが起こるのだという論調が、日本では一般的だった。今回はまさに同じことが日本でも起きて、その農薬入り食品が全国に拡散するまで、阻止できなかった。日本も中国も同じだという現実を突きつけられた。先日テレビの報道では、何となく歯切れが悪く、マルハニチロの対応は止む得なかったというような解説がされていた。何をバカな説明をするのかと驚いた。異臭がして返された食品の検査に、1カ月かかっても、まだ原因究明が出来無かったのは、今の食品の検査では普通のことだというのだ。一検体何億円もかかる検査だから、異臭がする位でむやみにやるということはできないというのだ。果たして本当だろうか。
最初の苦情処理の際の異臭は、ペンキの溶剤のようなつまり、シンナーのような匂いだったそうだ。そこで、工場を3月だかに直した時のペンキが誤って混入していることを疑ったという。それは確かにあり得ることだ。しかし、その可能性が無いことが分り、検査機関に食品を出してみることになる。確かそこまでで1週間かかっている。シンナー臭のような匂いがするということで、たぶんそうした溶剤の混入を検査してもらったのだろう。そうしたら、3種類の溶剤が食品から出た。ここまででほぼ1カ月ということだ。時間がかかり過ぎている。検査制度に落ち度があるとしか思えない。次にその3種の溶剤が使われている農薬を疑ったのだろう。そこで始めて農薬の検査を依頼する。ただし、後の発表時の見解からすると、この時点では、何かの食材に残留農薬が存在したという先入観にとらわれていたと思われる。そして、マラチオン、マラソンが混入の確認される。残留農薬で、異臭がする可能性はまず考えられない。
この検査に2週間かかり、1ヶ月半経って、回収が指示されることになる。この段階で事件を知り、ホームページをすぐ見た。すると、これはあまりに高い濃度である、残留農薬ではない。農薬の混入があったのではないかと強い疑いを持つ。素人でもそうである。食品分析の検査機関に居た友人にこの点聞いてみると、驚くべき失態で、発表された数字から、残留農薬と考えるなど馬鹿げていると言われた。つまり、この食品分析機関の人も、マルハニチロの担当者も、素人以下の対応ということになる。これが2つ目の疑問だ。9品目の食品の混入ということで、何か共通の食材はないかと考えたが、どうもない。もしかしたら、チーズか等思った。しかし、チーズが入っていない食品からも検出している。これは間違いなく、製品化してから混入したとしか考えられない訳だ。その後のコロッケなどで、衣の部分に高濃度で、中はそれよりは混入濃度が薄いということが、言われている。工場で包装前に、農薬が入れられている。
アクリフーズは、もともとは雪印乳業である。食中毒事件から、「雪印冷凍食品株式会社」として設立された。さらに雪印食品の牛肉偽装事件の影響で、「雪印」での事業が困難になり、「アクリフーズ」に社名変更、ニチロに買収され、マルハニチロホールディングスの1子会社となった。テレビや報道機関の追及が甘いのは、巨大食品企業に対して、CMが関係していると想像する。このままでは農薬が混入され、1ヶ月半経たなければ、製品の回収が出来ないような体制を認めていることになる。シンナーのような異臭がした際に、すぐ農薬まで疑い、検査をする義務があった。しかも、1ヶ月も検査にかかるということは普通のはずがない。1週間で、すべてが解明できる体制を作ることが、今回の教訓であろう。まだ毒性が弱い農薬とは言え、子供では慢性疾患につながる可能性もある。この点も報道は自ら調べないし、報道しない。こんなことまで心配しなければならない国に日本がなったということである。