冷凍食品の農薬混入事件

   

教会のある村。平戸  一度完成したのだが、彩度描き始めた絵。10号大。インドの水彩紙、又描きに行ってみたい。

冷凍食品というものはめったに食べないが、今回の事件では、食品会社としての食の安全に対する対応に驚かされた。一連の食材偽装と似たような体質が食品工場にある。11月13日に、飼った冷凍食品に異臭がするとの苦情が会社にあった。その後12月3日まで苦情が9件続いた。そこで12月4日になって、(この時間の遅れが事件であれば、決定的なことになりそうだ。)臭気定性分析の為に、検査機関に2検体を調査依頼をする。12月13日になって、3つの異物が検査で見つかる。それは溶剤であるので、何が工場内での混入を疑い、27日まで工場内の調査を実施する。17日になって農薬の付着を疑い、改めて検査を依頼する。(なんと1ヶ月以上が経過して農薬の検査を行う。)12月27日になって、農薬マラソンの混入が検査機関から報告がある。通報から、1ヶ月半かかっている。あまりにひどい対応である。ひどい以上に法的に問題があるのではないか。しかしこの時点での発表では、何かの食品付着による混入とまだ考えていたと思われる。それほどの問題ではないので、子供が60個を食べたらば、健康被害が出る程度だと説明する。

その時点でさっそくマルハニチロのホームページを読んでみた。2200PPMの混入。0,01PPMが安全基準と書かれている。その時点で、発表された農薬の濃度からして、これは食品からの混入のはずはないし、健康被害どころか、死亡する可能性すらある濃度で驚く。何故、のんきに構えているのかと思った。その後厚労省から注意され、改めて謝罪の会見になる。出ている情報だけでは、細部がわからないのだが、食材の付着であれば、共通の例えばキャベツに残留農薬の問題があり、キャベツを使った製品にすべてに広がる。ところが回収が発表された製品にはほとんど共通性が無い。あるとすればチーズなのかと思ったが、これは人為的に入れられたとしか思えなかった。外部の素人が報道の範囲で考えたとしても、これはちょっとまともでない考えた。マルハニチロの専門家が何故、農薬混入の疑いを持たなかったのだろう。まさかごまかしとおせると考えたはずはない。食品会社にもかかわらず、安全意識が欠落していたとしか思えない。

この記事は実は暮れに書いたのだが、書きたくないと思って延ばしていた。それにしてもひどいので正月から書いている。昨年続いた、食品偽装が忘れられた頃また、さらに輪をかけた事件だ。食品を扱う1流企業のはずだ。リスク管理がまるでないのは何故なのだろう。日本はいよいよ、大企業すらこういう状況なのか。1ヶ月半前の13日の時点で、最悪の事態を考えて、分析すべきだった。中国の冷凍餃子事件を遅れた国の事件だ、なぞ言えない日本の劣化事件だ。常に食品には比較保存がされているはずだ。細かい点は犯罪捜査の為か発表はされていない。リスクがある。あらゆる対策をしていても、犯罪者が何をするか分らない。その時に取るべき対応を決めておくのは当たり前のことだ。何故1ヶ月も真剣に対応しなかったのか。数値が検査機関から出た時に、何故深刻に受け止めなかったのか。これが判断できないということは、経営に頭が行き、大したことではないと思い込みたかったということだろうか。

マルハニチロは営業を緊急に停止して、会社のすべてを建て直すまで、再開を行うべきではない。食品会社の最低限のモラルを失っている。私が65才で養鶏業を限界だと感じているのは、その責任の重さである。間違いが起きて、済む仕事ではない。人の命にかかわることもあるのだ。食品偽装と、自然卵についてはまたあらためて書いておくつもりだ。企業は金もうけに必死で、競争に追い立てられ、肝心の何のために企業を経営しているかを忘れているのではないか。そんな悠長なことを言っていたら、競争に負けて倒産してしまう。すべては競争に勝った上でのことだ。競走馬のように、こんな追い立てられ方をしているのではないか。学校に行けば、成績で序列が付けられ、せいぜい上位の1割程度が、競争に加われる社会。やっと会社に入れてもらえば、営業や出世の競争があるのだろう。そして大切な食を守る精神はどこかへ忘れられている。

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