参議院選挙後の野党
参議院選挙の結果は、野党が不甲斐なく互いに対立して負けたのであり、自民党が支持された訳ではない。これは選挙前に予想された結果である。比例代表の得票率は大勝と言われる自民党の得票率は34.7%である。自民党は勝利したと言え、心配な結果だと思う。まともな議会制民主主義が成立するためには、反自民の民主から社民までが一政党になることだ。そして、左に共産党。右に維新の党が少数党として存在する。これが、一般的なというか、西欧社会の市民が選択している政治形態である。日本の政治状況が、何故同じような議会制度を行うにもかかわらず、2大政党体制が出来ないのかは考えてみる必要がある。民主党が出来たときには、多くの人がその期待をしたはずだ。それは衆議院に小選挙区制を取り入れたときからの目指した政治の姿であったはずだ。何故そうならなかったのか。日本の政治風土が、前近代的ということは確かにある。しかし、そのことにだけ原因を求めてもだめなのだと思う。
その原因を考える上で重要なカギは、自民党と公明党が連立与党になり、互いの候補を支持している点である。公明党は14,2%が比例代表の得票率である。この両党の考え方は違っている。みんなの党や維新の党の方がどちらかと言えば、自民党に近い。ところが自民党は、公明党をあい方に選んでいる。今回のように、自民党がかなり勝利したとしても、両党の連携がなくなるということはない。憲法96条の問題が過熱して、対立したとしても両党は妥協してしまうだろう。どちらかと言えば、自民党が妥協すると見ている。理由は、自民党だけでは選挙に戦えなくなっているからである。選挙のやり方に、2大政党が出来ない理由があると思う。政治家を育成する教育制度がないのだと思う。そして政党には、選挙区を育てる、制度や体制がない。そのために世襲制のような状態になる。ところがそれだけでは当選できなくなってきた穴埋めを、宗教政党の公明党がその利害で与党を支えることになっている。その意味で、自分と似ている維新やみんなと組んでも自民党にメリットがないのだ。
投票する政党を固定しない層の増加。これが2大政党を作り出さない、もう一つの原因である。それくらい日本の政治状況は不安定ということなのだろう。政治が不安定ということ以上に社会が不安定であり、社会的な価値観が揺れ動いている。社会の中に様々な価値に従い生きる人たちが存在し、その生き方が模索されているというところなのだろう。韓国のように、一体になって世界経済に挑戦して行く。それを国家の方角として認める流れは日本にはできないと思う。多様な価値観が存在するところが日本の健全なところだと思う。政党は明確な価値観を示そうとしない。共産党が一番明確なのだろう。緑の党や風のように、反原発という方角1点の明確な政党もある。しかし、その代替エネルギーをどのような方法で進めるのかが、安心して任せられるという政策力までは国民に届かない。反対勢力にも、そうした政治的総合力がない。民主党が一時その部分を示せるかと思われたが、官僚勢力の利用に失敗したのだろう。
民主党をはじめとした野党勢力がどう動かなければならないか。社会民主主義政党として結集すべきだ。政治の正しいを取りまとめる力とでもいうのだろうか。現在の野党は、批判勢力そのものだから、前向き政策では一本化することは極めて困難になる。反原発野党連合で、代替エネルギー政策を取りまとめたらどうだろうか。取りまとめようとしたら、一部再稼働というような触れにくい問題も、話し合わざる得ないはずだ。そうした、都合の悪い部分も含めた政策論議をしない限り、野党の連合はできないし、したところで民主党の二の舞になる。揉めるような材料を避けないで向かい合ってほしい。、自民党のように、たとえそれが利権に向けてであっても、政治を具体的に動かすことができないのでは、国民は選択しないと反与党政党は考えるべきなのではないだろうか。