軍隊と言うもの
東シナ海の公海上で、中国軍の艦船から、自衛隊の艦船にミサイルの照準のためのレーダーが照射された。1月30日の発生から公表と中国への抗議まで6日間を要した。なぜ公表が遅れたのか。遅れたのではなく、現場から防衛大臣への報告が無かったと弁解している。これは明らかに中国の挑発行為である。さすがの中国政府も、ここまでの指示はしていなかったと回答している。軍の独断による行為。尖閣問題に対して、中国政府が軍の行動をコントロールできていない事が表れている。日本政府は緊急連絡体制の構築を中国政府に働きかけるとしている。日中両政府は2011年7月の防衛次官級協議で、緊急連絡体制を早期に構築することで一致し、12年中の運用開始を目指して協議を続けてきた。しかし、同年9月の尖閣諸島国有化をきっかけに中断し、再開のメドは立っていない。アメリカ政府も今回の事態を踏まえ、中国政府にホットラインの構築を呼びかけるとのこと。
もし、両政府の報告が本当であるとすれば、この事件は軍隊と言うものの性格を表している。前線に居る部隊が、過激な気分になり暴発を起こす。ところが、そのことの意味を理解できない、自衛隊が存在する。そして両国には、軍に対し過激な行動を歓迎する勢力が存在する。国会議員にもいるし、評論家にもいる。勝谷誠彦氏はマスメディアの中で、中国が攻めてくればいい。忽ちにせん滅して日本の自衛隊の強さを示すチャンスだ。<支那艦船、レーダーで攻撃。今ただちに尖閣に派兵しても国際社会は完全に納得するはずだ。好機逸するべからず!。中国国内では、さらに過激な日本に対する軍事攻撃を主張する世論が出来つつある。こういう連鎖が起きることが軍事力の対立の必然である。そしてより勇ましい発言をするものが、尊重される。冷静な対応などと言えば弱腰と言う事になる。
30日の事件の発表が6日になった。この間の外交交渉がはかばかしくなかったということだろう。自衛隊の報告が無い等さすがにあり得ない。この間自民党政府が何をすべきであったのか、本当の所、何をしていたのかを考えてみたい。まず、中国政府に東シナ海で軍事行為が行われた事の、事実関係を確認をしていただろう。中国政府の意図であるなら、国連安保理に即座に申し出て、今後の軍事行為を止めさせるように、国際世論に訴える事を告げなければならない。もし、中国政府の指示ではない暴発的なものであるなら、日本政府も公表しないので、二度とこのようなことが起きないように、互いに連絡を密にしてゆく為の、ホットラインの構築を行う約束をする。多分今回の結果だと、後者の可能性が高い。その意味で何故、6日になってこのような発表になったか。中国政府がホットラインの構築を認めなかったということか。利尻島へのロシア戦闘機の領空侵犯が起きた。どうも安倍政権の軍事化への値踏みをしているようだ。
この間、自衛隊の内部ではどういう事が起きていたのか。当然やり返せ論があるだろう。そう言う声が自衛隊内部でくすぶって、中国海軍の幼稚な暴発事件のようなことが、自衛隊側にも起きないとも限らない。漁船衝突映像の漏えいを思い出す。政府がこの軍事行為に対し、いかにも用意が悪るすぎる。今回の事件は第一歩である。当然、尖閣に上陸するようなことも起こりかねない。その時どうすればいいと考えているのだろうか。例えば暴風雨の時に、尖閣諸島に緊急避難したいと入ってきたら、どのように対応するか決めてあるのだろうか。止めたために中国船が、沈没して死傷者が出る。あるいは自衛隊艦船に衝突したらどうなるか。あらゆる事態が想定できる。政府は細かな想定を行い、突発的事故が起きないように、対応を整理しておく必要がある。甘く見ていてはならない、軍隊の暴走が戦争の発端になりかねない。危機的な状況が迫りつつあるようにみえる。
昨日の自給作業:苗土作り、タマネギの草取り1時間 累計時間:9時間