カインズホーム小田原
カインズの開店を何カ月も前から心待ちにしていた。それは、それは楽しみにしていた。農の会の仲間の間でも、この話はもちきりだった。農業資材を購入したくとも、足柄平野には売っていない。そんなバカなことがと思われるかもしれないが、家庭園芸関連はあるとしても、農業者向きと言うことになると、ないと言い切ってしまった方が分かりやすい。ホームセンターと言うことでいえば、ビーバートザンとか、D2とか、コトブキとか、数としてはない訳ではない。しかし、農業部門では肝心のものがない。それだけこの地域が農業の規模が小さいということなのだろう。そこで必要なものがあれば、秦野のカインズホームまで出かけるのが、通例になっていた。秦野のカインズにまで行けばかなりのものまである。1時間はかかるが、結局はその方が早い。何度も小田原で探して、がっかりした末の結論である。農協はどうかと言えば、組合員として申し訳ないが、農業資材で利用することはない。
例えば、稲刈りに使うバインダー紐と言うものがある。これは時期になれば農協でも扱う。場合によっては、D2でも見たことがある。しかし、買うことにしている麻で出来た風化し、土に戻るものとなると、吉田島の農協にはあるが、価格が2倍する。米袋だってそうだ。案山子だってそうだ。とか言いながら、実はカインズホームは私にとってホームセンターではなく、娯楽センターである。月に一度ぐらい無性にに出掛けたくなる。名目は一応付ける、先日で言えばガソリン缶を探すということであった。ゆっくり回る。結局いらないものまで買い込んでしまう。いらないでなく、緊急でないもの、例えば靴下とか、手袋とか、五色砂利とか、シャベルとか、袋とか、プラステック桶とか、無駄な訳ではないが、買い過ぎである。必要なものなので買っておく。とか言いながら、ストレス解消の入館料である。そして帰りは、湯花楽へ寄る。夕食は角のチャイナレストランに入る。これで大満足である。
今度のカインズはコロナの湯に行く通り道である。どれほど楽しみにしていたことか。11月22日が開店であった。半分はロピアというスーパーだ。それはすごい人出で入る気に成れなかった。しばらくして、最近出掛けてみた。何と農業関連の品ぞろえの内容が、ビーバートザン以下である。殆どないと言うほどである。売り場もロピアに半分以上が成っていて、ビーバーより狭い。心底がっかりである。裏切りである。勝手に期待した方が悪いのだが、何とも中途半端な店だと思う。スーパーの雑貨部門を大きくしたという趣である。これが売れ筋と言うことなのか。どちらかと言えば、東急ハンズの農業部門を期待している。ああいう無駄な品ぞろえが楽しいのだ。ソーセージの道具を買い足すと思えば、ハンズに行くしかない。ハンズには、池の作り方の本まである。そんなもの買う人が居るのかというところが面白い。面白くないなら、ネットで十分だ。
これからの商売は品ぞろえか、低価格の両極ではないか。日本中どこでもシャッター通りとか、商店の衰退と言うことが言われる。当然の事だと思っている。大抵の場合は、面白くしようというので、レトロ風のの工夫とか、歴史を掘り起こすとか、工夫をして成功した話が言われている。要するに、街とは何か。これから街機能に何を期待するかである。もしそれが個人の商売の話であれば、その個人が工夫しなければいけないことである。街があった方がいいのかどうかを突き詰めて行くと、例えば図書館と本屋さんとなると、図書館である。本屋さんで買いたいと言うのは、例えば八木重吉の詩集の初版本を持ちたい。こういう気持ちの先に成る、本と言うもの自体の魅力だろう。内容でいえば、ネットの本でその詩を読めばいい。本と言うものが、情報の伝達だけであるなら無くなるだろう。それでもなくならないものが街にあるのかどうか。