管総理記者会見
管総理大臣が5月10日記者会見において、重大な発言を行った。「太陽、風力、バイオマスといった再生可能なエネルギーを基幹エネルギーの一つに加えること。もう一つは省エネだ。エネルギーをたくさん使う社会のあり方がこのままでいいのか。いろいろな工夫によって、社会のあり方を選択することで、エネルギーを今ほど使わない省エネ社会を造っていく。このことが、もう一つのエネルギー政策の柱になりうると考えている。」先日の浜岡原子力発電所停止に匹敵する重大な発言である。国民全体の議論として、広げて行かなくてはならない。総理大臣の発言である以上、具体的な道筋が今後示されなければならない。浜岡原発停止要請について、エネルギー政策の展望が示されなければならないということが言われた。確かに唐突で、展望に欠ける。しかし、政府が方角を変えるときはそう言うものであろう。これだけの大きな方針転換をするときには、根回しや事前打ち合わせをやっていたのでは、崩れてしまうだろう。
方向として、「原子力に依存せず、再生可能エネルギーと省エネ社会の構築。」を目指すということだろう。この志は良し。そこでどのようにその道筋に乗り出すかである。2つの方針について、それぞれのチームを作って検討を始めなくてはならない。長年構築された、独占電力会社と原子力利権の巻き返しがあるに違いない。再生可能エネルギーは原子力より、すでに可能性は高かまっている。基本理念はエネルギーの地産地象である。秋田県で風力発電所を作り、秋田の電力を賄う。輸送コストが低減する。経済が地域で回る。これを遮ってきたのは、電力会社と言う独占体制の崩壊が始まるからである。再生可能エネルギーの場合、発電を事業として県単位で行えるようにした方がコストが安い。送電のロス、需要の変動にも対応しやすくなる。では電力会社の解体が出来るかと言えば、極めて困難である。このあたりをどういう仕組みで乗り越えるかが重要。
再生可能エネルギーの経済的有利さを作る必要がある。技術開発に対して、原子力に対して行った費用と、同等の費用を掛ける。法的な制限の見直しを徹底して行う必要がある。河川法の見直し。私が私の田んぼに来ている水路で発電することすら、現行法では違法なのだ。電力の独占の為に、様々な見えない法的な拘束が作られてきた。自由競争でない電力をどのように解きほぐし、自由競争の技術開発につなげ、しかも安定供給するか。これが無い限り、再生可能エネルギーが広がることは出来ない。現在も行われている電力の買い取り制度の見直し。電気自動車と共用でもいいのだが、蓄電池の開発が不可欠。蓄電池のコストが下がれば、エネルギーの自給生活も可能になる。
そして、省エネ社会の構築。むしろこのことの方が難しいだろう。使い捨てを経済合理性があるという社会からの転換。消費は美徳ではない。このことからである。節約するのはエネルギーだけでない。すべてのものが、もったいない精神で使われる社会に戻ることだ。消費経済の見直しが必要。食料品に置いても廃棄されてしまうものが大量にあり、自給率にまで影響している。経済の活性化の為の消費拡大は、間違えである。暮らしの側の充実を最優先に考える仕組みへの転換。企業は世界経済のなかで、国と言う枠組みを越え、もちろん地域と言う枠組みを越え、企業利益を唯一最大の目標として、競争を続けている。その資本主義経済の競争の原理が、破綻を見せ始めている。原発問題はその表れである。目先の競争に勝つために、未来を犠牲にしている。人間の幸せな暮らしの永続性のある経済を見つけることまで行かない限り、省エネ社会は作り出す事が出来ないだろう。