甘酒を作る
19日開かれるまちなか市場の為に、甘酒を作る。甘酒は麹とお米を混ぜて作る。甘いものが出来るかどうかが勝負である。甘いものが貴重であった江戸時代。夏バテ防止の栄養補給に飲まれたものである。この暑くなる飲み物を、わざわざ夏の飲み物にした季節感がすごい。冬なら作りやすいということもある。それを夏作り美味しく飲ませる技を売るのだろう。汗をかいて飲めば甘さはひとしおであったことだろう。この麹を煮詰めて作った甘さもあったそうだから、発酵食品のすごさである。麹はお米を麹菌で発酵させる所がもとである。麹は「糀」とも書く。こちらが日本の国字である。麹の方は麦麹であろう。中国は麦麹が中心であったのか。味噌は日本固有に発展している。中国はそもそも発酵食品の宝庫である。当然似たようなものは渡来したのだろう。この味噌という文字だって国字である。「糀」はお米の花である。日本人の感性。
この麹をもう一度炊いたお米と発酵させると、甘酒が出来る。その発酵を進めて行くとどぶろくに成り、日本酒に成る。アルコール発酵が始まった方が美味しいというのが、酒飲み。その発酵の初期の甘いところを飲んでしまおうというのが、甘酒だから贅沢なものである。どぶろく作りで「現代農業」に出ていた農の会の仲間の耕作舎さんは、畑に甕を埋めて置きそこにどぶろくを仕込んで置く。畑に行く度、飲んでいると言っていた。身体に良いからだそうだ。疲れて来ると柄杓ですくって飲めばもう一働き出来るらしい。百薬の長で、どれほど飲んでも下痢をしたり、二日酔いは無いらしい。どちらかと言えば甘酒の段階で飲む方だから、何ともその真偽はわからない。しかし、どちらもお米から作る健康飲料であることは違いない。お米が製法で味が決まるように、この甘酒も美味しいものを作るのは難しい。おばあさんは良く作ってくれたが、だいたいに酸っぱかった。
酸っぱいというと雑菌が入ったと思われるが、そうではなくて発酵温度が低かった。あるいは発酵が進み過ぎた。抱いて寝ては作るのだから、五〇度は超えていなかったのだろう。でもあの酸っぱくてわずかに甘い甘酒が、私にとってはおばあさんの味である。甘い甘酒は温度管理。53度から58度とある。これを家庭で維持するのはとても難しい。しかし、卵をかえすときの温度管理を考えれば可能である。そのあたりは慣れているともいえる。そして発酵の止め方にもこつがあるようだ。普通は熱入れをする。これでは折角の生きた菌が死んでしまう。そこで急速に冷まして眠らせる。この眠るときに甘みを増す。そしてまた温度を上げ、また眠らせる。こうして甘みを増す。この甘さはブドウ糖であるから上品。糀も、合わせるお米も精米してはいけない。充分のミネラルと、できる限りのたんぱく質を残したお米を使う。清酒でいう雑みがうまみと健康飲料を作り出す。
まちなか市場ではこの甘酒を仕込んで、一番おいしいタイミングで提供したいと考えている。実は材料費だけで、100CC作るのに100円近くかかる。販売ではなくおすそ分けということで、舟原田んぼのお米で出来た甘酒を、一緒に味わってもらいたい。今回は、永塚田んぼからいただいた、黒米を混ぜて黒米甘酒でさらにミネラルを加える。昨年、伊藤シェフが作ってくれた黒米入りがとてもおいしかったのだ。今回美味しいくなるかどうかは、これから始まることで発酵はその時の状態次第である。最善は尽くすが、もしまちなか市場で販売していなければ、それは納得いかなかったということでご勘弁願いたい。まちなか市場も定例的になってきた。こうした街の市の面白さが、小田原の町の豊かさに繋がるのだと思う。さしたる協力も出来ないけれど、地道にやらせてもらうつもりだ。
そうでした、場所は小田原郵便局の向かいです。市民会館ではお菓子祭りが開かれています。
追記、甘酒はなかなかのものが出来ました。糀の出来が今年は良く、そのおかげもあって、日を増すごとに甘みが深くなりました。20日の午後冷蔵保存して置いて飲んだものは、それは甘みが増して驚くべき変化です。これほどになるとは、驚きです。冷やすことを繰り返し、甘みを深める。発酵の力を再認識です。
昨日の自給作業:苗土作り1時間 累計時間:2時間