マイクロ水力発電
東京発電株式会社水力事業部の部長稲垣氏の講演を聞きに行った。おだわらエコカープロジェクトの勉強会であった。40人ほどの集まりであったか。エコカーの鈴木代表の挨拶によると、設立から10年が経過して、エコカーも一般的なものに成ってきて、改めてプロジェクトとして取り組むようなものでもなくなった。むしろ自然エネルギーの利用に目を向けようということらしい。頼もしいことである。その中で、目を向けたのが、「小田原の自然エネルギーの利用の可能性」ということでその道の専門家である。東電の関連会社の稲垣氏からお話を伺うという企画のようだった。全体の印象としては、法律や慣行水利権の課題が様々横たわり、想像以上の困難な事業のようだ。自分の所有地の田んぼの入り口にマイクロ発電機を取り付けるのは、違法行為だそうだ。出口ならいいらしい。日本の既得権益擁護の思想に思わずうなってしまった。
基本的に河川を利用する場合は、マイクロ水力発電はできないと考えた方が良いというのが結論のようで、巨大な水力発電所というのは、マイクロ水力発電とは、法律から言うと似て非なるものらしい。河川というものは河川法というもので規定されているらしいが、上流の沢となるとこれは河川ではなく。そのあたりにグレーゾーンがあるらしい。この辺を勉強した訳だが、私には理解できないし、理解したくもない。規制緩和と言われていたから、もう少しまともになったのかと想像していたが、打ち砕かられた。昭和26年に法律が出来る前は、慣行的運用で可能だったそうだ。なにしろ舟原に水車が5機あったというのだから、今出来ないというのが不自然である。では全くできないかと言えば、例外的なものとして可能というようだ。沢水を基にした簡易水道を発電に利用するということはできるらしい。
具体的な展望としては、街づくり的なアプローチのようだ。利潤は出にくいが環境や教育的な効果としての、起爆剤として水力発電を加える。これには、行政と地域住民と地域企業の連携が無くしては不可能である。この点をエコカープロジェクトの組織は作り出そうとしているのだろうか。アイデアとして、電動き付き自転車の貸し出し事業をする。その電力をマイクロ発電で作る。面白い考えだと思う。私のアイデアは、特区として山付きの集落で農業用水路を利用した発電を行うことである。例えば、舟原の万治の貯水池から流れ出る水で発電をする。和留沢の利用していない水源を発電に使う。企業としては採算性がないとしていても、材料としては面白いと思っている。和留沢での利用電力は、40kw程度ではないか。不可能とは言えない。利平茶屋の堰堤を利用したもので、平均出力が13kwだそうだ。
自然エネルギーの暮らし。その魅力は人を引き寄せる。たとえばそれで5軒の暮らしが成り立つ。そういうところに暮らしたいという付加価値は大きい。電力事業としての採算性ではなく、もっと地域としての総合的な活力として、自然エネルギーを研究する必要があるのではなかろうか。電力はこれから、原子力か自然エネルギーかという構造に成る。あらゆる手法の自然エネルギーを探求しない限り、原子力がますますウエートを増してゆく。原子力発電所は安全保障上リスクを高める施設である。歪んだ独裁国家や、テロリストの標的になればひとたまりもない。それだけではない、災害や事故と隣り合わせである。どこで歯止めをかけなければならない技術である。マイクロ発電は技術としての可能性は高い。法律の改定を政府が行うこと。これが第一にやるべきことだろう。