酒匂川豪雨
昨日の雨は小田原豪雨と言ってもいいだろう。それは激しい雨だった。テレビニュースでは酒匂川での水位が1,8メートル上昇し、中州に2人が取り残された映像が流れていた。小田原は日降水量238・5ミリ、一時間雨量が77,5ミリ10分間雨量が20ミリ。いずれもかつてない記録である。残念ながら、舟原の記録計は肝心の時に壊れて、記録を残していないが。これを超えている可能性がある。この雨が一番激しかったころ。電話がかかってきて、田んぼの取り入れ口を閉める必要がある、という連絡だった。すぐ閉めに行った。行くときは大したことは無いと考えたが、どうせずぶぬれになるだろうから雨衣も着ないで出かけた。田んぼより1キロ近く上流に、久野川からの取り入れ口がある。ハンドル自体は簡単に回るものだし、少し薄暗くはなってきていたが、見えないというような状況でもなかった。しかし、こういう時田んぼの水回りに行った年寄りが流されたというニュースになるのかなど、頭をかすめた。
まず、田んぼを見てと考えて田んぼ回りで行くことにした。久野川の橋まで来ると、久野川の茶色の水が、すごい水流である。橋の上はなぜか水たまりになっていて、車が急ブレーキがかかったようになった。田んぼは3枚とも一気に路肩から水があふれ出ている。しかし意外に稲は倒れずけなぎに耐えている。手前のいくらかが危ないくらいである。ただしこの状態が続けばどうなるかは分からない。確かにすごい雨だ。道路わきの水路は、暗渠になっているのだが、ところどころにある穴から水が噴き上げている。これはすごい。今までにない状態である。早く上の水門を閉める必要がある。気は焦るが、ここで危険も強く感じる。簡単に考えてはいけない。慎重にあらゆる状況を想定し。無理はよすことにする。
取り入れ口まで車で行ける。しかし、行けるには行けるが、道が川のようになっていた。そろそろ車を走らせて近付いたが、一か所水があふれて、道路を横切っているところがある。これ以上車はまずいと考えて、滝のような雨の中を歩くことにした。案外道はしっかりしている。道自体が水につかっている訳でないので、水のないところを歩けば、怖いような状態ではなかった。水門まで来ると。激流が渦巻く状態で、水門の手前が水没している。しかし水位はまだずいぶん下ではある。水門さえ閉めれば、水路への流入は減る。なにしろ、途中でも水路に流れ込む水がすごいので、閉めても同じかとも思えた。ともかく、ハンドルを回してみると意外に簡単に水門はしまった。しかし、最後のところが何か引っかかっているのか、完全に閉まったのかどうか感触では分からない。
水路に水が来ていなければいいと思うのだが、すでに手前が水が溢れて流入しているもので、その辺が良く分からない。なにしろ、視界が無いような雨である。良く分からないまま、だいぶ良いようにも見えるので、帰ることにする。途中まで戻ると、さっきあふれていた場所の水が引いている。良かったようだ。車に戻ると、全身ずぶぬれである。田んぼまで戻るが、水をすでに追い抜いているので、水路は相変わらず吹き出ていた。かかしが倒れて無様であるが、仕方がない。着替えてテレビを付けると、相変わらず中州の人を映している。なんとなく見たことのある人だ。豊川あたりでは避難勧告が出たようだ。まさか溢れる訳は無いよと思いながらも、上流の丹沢湖や小山町の豪雨が、尋常ではないので、より安全策を取るべきだ。7時過ぎになって、中州に取り残された人は救出されたようだ。