ミュジアム・フロム・ウインズ

   

水彩人の仲間の松田さんから、松田正平展を見に行かないかと言う誘いの電話があった。松田正平ならちょっと出かけるかなという気分になって、どこでやっているの、と聞くと大雄山だと言う。大雄山でまさか。と思いながら聞くと、個人の収集家が大雄山にいて、そこの家に美術館を建てたと言う。水彩人の松田さんは、松田正平さんがいつも展覧会をしていた、フォルム画廊で時々個展をやるので、画廊に行った時その話を聞いたのだと言う。眉唾の気持ちで、小田急線の新松田で待ち合わせる事にする。新松田駅前広場は久し振りだった。地産地消の店コスモスとか出来ていた。シャッターの下りた店舗の隣にあるので、そうだよなと、理由なく納得する。相模原の方から、大雄山へは少し道のりが大変である。フロム・ウインズをで探すが、なかなか見つからない。松田正平展をネットで探して見つかった。そこの地図では、市役所や、小学校の先と言う事で、看板でもあるだろうと言う事で、ともかく言ってみる。ご近所の人に聞いてみるが、ご存知ない。

南足柄雨坪、しばらく行って目にはいったのが、なんと、10センチ四方の看板。この看板で大体このミュージアムの考え方が分かる。見せたくないが、見せたい。と言う美術館。松田正平がわからないような人間を立ち入らせたくない。松田正平のファーンだけに来てもらいたい美術館。入場料500円。松田さんがこちらから3人分を払う。高いような、安いような、絵しだいである。どこかに入場料が表示してあった訳ではないが、たぶん、そのようにしろとフォルムで聞いてきたのだろう。入場者はあるのだろうかと思うと、7名記帳があった。今日3名で行ったので、10名にはなった。美術館館長は最初は緊張されていた。初対面だし、構えた風でもあった。こちらにしても、コレクターなどと言うと、ちょっとおそれをなす所がある。ブログによると、リウーハンの収集もしていると言うから、相当不思議な人に違いない。

松田正平氏の作品が30点あった。さすが見ごたえがある。バラのいい油彩もある。この一点を見るためにも出かける価値がある。松田正平氏はとても気さくな人で、個展の会場に居られると、全く普通に話せる人だった。大家然としたところは全くなく、とても親切な方だった。昔の、中学の生徒だった人達と話して居る時など、まるで同窓会のような雰囲気だった。そういう人柄が、そのまま絵にある。それは、実に厳しい絵なのだ。寂しい絵でもある。怖い絵でもある。それでいて、やさいしい人懐かしい絵でもある。こういう絵はなかなかかけるものではない。又書がいい。洲之内徹さん宛ての、30万円なりの借用書がある。これは30万円以上はするだろう。大空の掛け軸は表具が素晴しい。どこでやってもらったものやら。この「大空」はその辺にほってあったら、誰も気付かないような、何気なさがものすごい。ともかくいいものを見せていただいた。

ここまで来たのならと、そのまますどう美術館に回った。銀座にあったころ、松田さんは毎週のごとく行っていた若い人の良くやる画廊だ。水彩人もすどうでやらせてもらう寸前まで行ってことがあったので、すどうがこちに移ったという所がどんな場所か、松田さんにも面白いだろうと思った。出かけてビックリしたのが、「阿部尊美」展である。何と驚きである。作品の方向が変って、全く理解しがたいものになっていたのだが、渋谷洋画人体研究所以来の友人だから、松田さんより古い付き合いの、30年来の知り合いが個展をしていたのである。実は名前もどこにも表示が無いし、作品を見た時には気づかなかったのだ。同時開催が、まえだゆうき展すどう美術館の受賞作品展としての個展らしい。大阪の若い作家である。いつの時代も若い女の作家はこういう物を作るんだよな、というふうな年寄りには間違っても作れないエネルギー爆発作品である。松田正平がぶっ飛ぶ。絵というものはこういうところが面白い。足柄平野の画廊巡り。最後は笹村展示室に寄ってもらった。

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