まちなか市場

   

昨日は久し振りにあしがら農の会の露天の販売をおこなった。りそな銀行とオービックビルの間の駐車場だ。10団体ほどが出てまちなか市場を盛り上げた。農の会も5年ほど前までは、こういう企画に良く出ていた。錦通りの市に良く出ていた。その後錦通りの市も主催者が変わり、お祭り感触を楽しむから、商売だけと言う方向に変わった。農の会のほうでも会をアピールしなければ、宅配先が見つからないと言う初期の状況を抜けてきた。そのために、市に出ることは何かに協力する為と言う理解になり、農産物の販売の為に市に出るという考えは無くなった。農業者の農作業が忙しいと言う事もある。農作業の方が好きだと言う事もある。私などは、市に出るのはリクレーションと考えているので、面白ければ良いと言う感じで、お祭りを楽しむと言う感じだ。お祭りに行って、金魚すくいや綿あめを楽しむのもいいが。露天商になって、販売するほうが好きなのだ。

その昔、農家の人に販売している所でお会いしたら、「そんな恥ずかしいことまでしなくては売れないなら、自分なら捨てちまう。」と言われた事があった。農家の人にとって、物を売ると言う事はどこか卑しい感じがあり、不思議な倫理的抵抗感が出来ているようだとおもった。士農工商の身分差別からきているのか、あるいは、農協出荷になれて、生産物を売るという生の感触から離れているからか。いずれ農家の人は自分の生産物を、出かけていって押し売りするような感触が、抵抗感が強いようだ。私も、自分の卵を売る時、様子が変わると言われた事がある。声高にすばらしいですよ、と言えない自分が少しは居た。そもそも、それほどナイーブな人間に出来ていないので、大声を張り上げて、寅さんのようにやれたらナーと。思っている。物を売るというのは実に楽しい事である。しかも、自分が売っている物は、寅さんのような、テキヤもんでもないし、ゴトシでもない。

まちなか市場は、ハロウィーンにあわせて、小田原の駅前全体をお祭りムードで盛り上げようと言う事らしい。今までも商店街ごとのお祭りや行事はあったが、町全体でと言う事はなかった。その意味で今回のまちなか市場は画期的だ。りそな銀行の駐車場では位置的には難しいのではないかと、心配があった。しかも、農産物はどこにでも山ほど出ている。地場の農産物も、朝ドレファーミーでは毎日200万円を越えて販売されていると言う。こうした状況下で、改めて、市を開いてゆくことはどう言う事になるのだろう。やって見なくてはわからない。心配はありながらの参加ではあった。が、とてもいい雰囲気だった。一番はこれをとり仕切っている人達が、とても友好的な協力的な雰囲気なことだ。大変だったと思う。それこそボランティアで動いている。町を盛り上げるために、何かを起こそうとされている。かかわる人達の気持ちが、とてもいい空気だった。始めたの事だっただろう。

有機の里づくり協議会でのグリーン・フェスティバルへの参加は、販売が出来なかった。これではやはりだめだ。生産者の勉強にはならない。消費者へのアピールも力不足。やはり、生産者が自分で作った農産物を直接販売して始めてわかることがある。ある意味抵抗感があることだけれど、これが消費者と、生産者の、まっとうな関係を見つける大切な体験に成ると思う。私自身20数年前、山となす卵を目の前にして、これを売らなければ生きていけない。という思いつめた気持ちで、歩き回った。市に出してもらえる立場ですらなかった。作れば売れるという状況は、ありがたいけれど、問題も大きいものがある。農業者としての自覚と言うか。この社会の中でどう存在しているかの位置確認が甘くなる。そうして起きたのが、今の自給率41%の社会だ。これは農業者が商売として、自分が生きるために農産物を生産しているという厳しい自覚から、離れさせられたことも、原因している。

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