小田急フードエコロジー事業
食品廃棄物の豚の飼料化事業の見学をさせてもらった。「小田急フードエコロジー」以前から、畜産試験場の情報で、食品廃棄物を液状にして、発酵させている試験が進んでいるとは聞いていた。南足柄で養豚をされている相原さんから、見学に行くのでと誘われた。「鈴廣」でも廃棄物の有効利用を研究しているので、一緒に行くと言うような話だった。鈴廣は環境意識も高い部分もあるし、地域主義でやっているので、とても楽しみにしていた。ところが、参加できないことに成り、二見さんと志村さんと石井さんが参加してくれた。場所は相模原市の田名。小田原からだと50キロほどの所。実はどうせ、と言う安易な気持ちがあったのは、事実だ。リサイクル事業の見学では大体に現実離れしたものが多く。距離を感じることが多いいからだ。
小田急と名前があるように、小田急デパートや、小田急系のスーパー、そうした所からでる食品廃棄物を、豚の飼料として再生し、そうして育てられた豚を小田急系列で販売する。そういうところらしいとは聞いた。どうせ、そういうラインの中だから、成立しているのだろう。そう思っていた。所がこれは、すごい、素晴しい所だった。小田急フードエコロジーセンター顧問と言う肩書きの高橋巧一氏が、気軽にお会い出来たこと自体が奇跡のような方だった。目を洗われるとはこのことだ。企業の倫理を体現するような、大きな理念での事業だった。鉄道事業のこれからは、鉄道沿線の付加価値を高めることが、会社の未来でもある。開成町町長の露木氏を思い出した。普通高橋氏のような、理想家は会社ではちょっと困る場合もあろう。今の企業は直接の利益を求める。何か話を聞いているうちに、小田急沿線に住んでいることは幸せなのではないか、とまで空想してしまった。
一番すごいのは、一般廃棄物の回収コストが、普通の半額以下である。そして飼料としての販売額も、普通の半額になっている。そして事業としての採算性も、成立していると言うのだ。しかもこれらの事業がグループ会社内のリサイクルではなく、一般企業対象の事業となっている。そう一番感激したのは、小さな養豚家を大切に育ててる連携となっている。「フードリサイクルは多様性を大切にしなければならない。」事無げに言われた。しだいに、この事業以上に、高橋氏の人間に興味が深まった。この事業は4年前に立ち上げたそうだ。さらに10年前から実験を続けていたと言う。どうも国の未利用資源検討審議委員をされていたらしい。あまり個人的なことを語られるようなタイプでないので、そのあたりは良く判らなかったが、研究者のような印象の方である。
既に大企業を中心に、こうしたりキッド飼料の研究、実践は進んでいて100社を超えているらしい。高橋氏が協力して、日本ハムなどでも30万頭という規模の養豚場で進めているそうだ。国産飼料が叫ばれ、食品廃棄物の利用が模索されながら、たいていの事業が失敗に終わっている。企業的循環と言う形で、こうした新規の食品リサイクル事業がかなりのペースで進み始めているようだ。利益中心で考えれば一箇所の養豚場で行えばいいことなのに、何と養豚場に合わせて7種類もの餌を作っているらしい。農家養豚も良いですよ。取りに来る方式ならさらに安くだって出来ますよ。こう言う方が居て、こういう方を大切にする企業がある。まだまだ日本は大丈夫だ。