牛蒡と蓮根
いよいよ蓮根堀をした。牛蒡堀も一仕事だが、蓮根堀はなおさら大変だ。栽培はほおっておけばいいのだが、掘るのが栽培の全てといいたいくらいだ。いずれも土の結晶のような、食べ物で、冬の身体にはとても貴重な食べものだ。今年の牛蒡は直径が3センチもあって、1メートル以上ある。長い物は1メートル50センチ。こんなに出来たことは始めての事だ。こう成ると牛蒡は少し蒔けば、充分に食べられる。もし、掘れなないでそのままにしておくと、来春又芽が出てくる。そして夏を過ぎた頃、赤紫のアザミのような花が咲く。そう言う事はしょっちゅうあるので詳しい。簡単に実になる。これが『悪実』と呼ばれて、「抗菌作用、血糖降下作用、血管拡張作用、弱い利尿、瀉下(しゃげ)作用などがあって、かぜの熱、せき、へんとう腺炎などに1日6~10グラムを煎じるか、少し炒(い)って粉末にして3回に分けて服用する。」とある。牛蒡は野菜というほどの物でなく、野草なのかと思うほどだ。ヤマゴボウがアザミだと言う事で、根を掘ってみたが、これが食べられるとはとても思えない代物だった。
蓮根は水田の土の良い成分が結晶したような素晴しい食べ物だ。好物の一つである。食物奔走歳時記によると、主治; 熱渇を主り、留血*(リュウケツ)を散じ、肌を生じる。久しく服用すると、人の心を歓ばさせ、怒(いかり)を止め、泄(下痢)を止め、食積を解消し、酒毒を解き、病後の渇きを解消する。本文; すり潰した汁を服用すると、悶(うつの症状)を止め、煩(イライラ)を除き、開胃*(カイイ)して、霍乱*(カクラン)を治し、産後の血悶*(ケツモン)を破る。ペースト状にすり潰したものを、金瘡(キンソウ;刀の切り傷)や打撲骨折に塗ると、暴痛が止む。蒸して食べると、五臓を補い、下焦をじょうぶにして、食欲を促進する。ハチミツと同食すると恰幅がよくなり(腹に脂肪がたまり)、寄生虫が生じず、穀物を食べなくても生きてゆける。絞り汁は射罔*(シャモウ)の毒や蟹毒を解毒する。すり潰して水に晒し、上澄みをとって粉に精製して食べると、体が軽快になり長生きできる。『相感志』にいう、藕を塩水に浸して食べると、損口*(ソンコウ)にならない。油でから揚げしたものを、麺や米、果物といっしょに食べると、無滓*(ムシ)になる。れんこんを煮るときには、鉄器を用いてはならない。
この穴の開いた不思議な形態が、いかにも効能がありそうな気分になる。特に「悶を止め、イライラを除き」というところが私には必要な感じがしてくる。効能はともかく、文句無く美味。所が去年はガリガリでダメ。今年はどんな味になっているか。今年も、田んぼの感謝祭に持って行くつもりだ。庭の田んぼの池で蓮根は育てている。それほどは広くないが、10本ぐらいの3連結の蓮根が取れる。これも問題は、蓮根堀。これがいかにも難題。牛蒡堀ほど深くはないが、さらに体力を要する。自給以外にはとても作る気には成れない。しかも田んぼ状態が乾いている。粘土が乾けば土が固い。やっと掘り起こすと、肝心の蓮根を傷つけている。結局どうしても食べたいとか、集まりがあるとか。そういうときに頑張って掘るほか出来るものではない。但し、売っている蓮根とは味がまるで違う。美味しく出来れば、澱粉の質がとてもいい感じになる。独特の歯ごたえが、他には較べることができないほどおいしい。何故去年ダメだったかは、不思議。
いよいよ畑の整理を始めた。ミカンも収穫した。ミカンは一本植え替える。この時期老木を植え替えれば枯れるとは思うが、崖を直すので仕方が無く掘ることになる。1本は止む得ず切る。そこで急遽ミカンの収穫をした。一本で何とコンテナ7箱。30キロはあるから、210キロの収穫。この一本当りの収量が一般的なミカン農家から言って、少ないのか多いのかは知らないが、ともかく我が家では余る。結構世話をしている。廻りの草を刈ったり。草を引いたり。発酵鶏糞を撒いたり。世話をしないとミカンは枯れる。冬瓜も、食べきれないほど転がっていた。これもだいぶ除いた。いよいよ。麦まきの準備だ。
昨日の自給作業。ミカンもぎ2時間。畑の片付け1時間。累計時間:3時間