苗実地勉強会
あしがら農の会では、それぞれが発信する勉強会がさまざま提案される。野菜を作られている、そらやさんが苗の事を勉強しよう。と言う今回の提案だった。12名が参加した。穴部で、苗を生産される農家の国原さんの圃場に伺い、苗を専門に生産されている農家の方法から、何かを学ばせていただこうと言う事だった。国原さんの農場は丁度潤生園という老人ホームの下の谷間だった。谷間には湧水もあり、その水を充分に利用できるよう、井戸が工夫されていた。苗には日に何度も水をやる。特にセルトレーは土の量が少ないから、水遣りが難しいそうだ。国原さんが苗作りを始めたきっかけは、井上種苗さんに余った苗を出していた所からだそうだ。もう少し出してくれないか。と言う事から、徐々に増えて、苗の専業農家になったと言う事だ。今では農協に出したり、3軒の種苗店に出したりで、2反歩ほどの面積に所狭しと、施設が配置されていた。
自己流で研究を重ねてきた方なので、我々にもわかりやすいところが沢山あった。困っていて改善した、というアレコレが、なるほどと言う事が多かった。特にセルトレーの稲苗を作っているので、参考になることがあった。一度伺っただけで、これだけ得るものがあるというのは、国原さんは全てを見せてくれるからだ。自分が苦労されて考案された手順を、惜しみなく話してくれ、又やってまで見せてくれた。これが農家の方の素晴しい所だ。他の産業では絶対のこうは行かないだろう。工場に立ち入り禁止地区があったりして、特許だとか、占有権だとか、くだらない競争で戦々恐々としている。セルトレーに入れる苗土はカネコ種苗の腱苗君とか言うものだった。あれこれ使ってみているそうだが、種の芽出しは購入土の方がいいとの事。
苗土は、腐葉土1、牛ふん1、赤土5、籾殻クン炭2、で全て作られている。そこに苦土石灰、とか肥料を加える。セルトレーに土を入れる具合も、工夫がすごい。そこに水をやり、状態が落ち着いたら種を一粒づつ蒔く。蒔いたら、覆土して又水遣り。これも落ち着いたら、10箱程度積み上げる。苗のトレーの内側にセルトレーを重ねて扱いやすくしていた。種が割れたら、土が持ち上がったら、すぐハウスに広げる。この時慣らしのための、覆いとか、日照の調整とか、微妙なものらしいこのときから水遣りが大変との事。セルトレーで芽だしをして、まだ双葉でわずかに本葉が見えたという初期段階で、2寸バチに移植してしまう。芽出しは種が割れるまで、セルトレーを積み上げておく、本当にいい時期は本場が2,3枚出たところがいいといわれていた。数を処理するので、小さいうちに移植ししまうそうだ。これをしばらくハウスで育てて、今度は外に出し、間隔を広げる。外に出すと、水遣りはさらに大変な作業になる。
一ヶ月くらいで、一サイクルが終わり出荷だそうだ。これを、常に繰り返している。冬場は温床線で保温。最後に言われた事は、「やってみて、失敗してわかる。」と言う事だった。赤土でも、秦野の方の土が軽くていい。と言われていた。この辺りの赤土は粘土分が多すぎるそうだ。籾殻クン炭は水で消してはいけない。トタンの上に、薄く広げれば消えるそうだ。水で消すと必要なミネラルが、流れてしまうそうだ。牛ふんも伊勢原の畜産農家のものだそうで、これもさまざまで、使ってみなければ判らないといわれていた。親戚が協力しながら、やられているが、皆さんお年寄りで、後継者はいまの所いない。もし、国原さんが止めてしまわれたら、足柄平野一帯の家庭菜園は大打撃と言う事だろう。苗半作は本当の事だ。私が野菜が上手くならないのは、見せていただきよくよく分かった。