ワタミファームの養鶏
ワタミファームが日本の有機農業の救世主になるのか。あるいは挫折して撤退するか。注目してみてきた。ワタミファームは和民という居酒屋チェーン店で利用する野菜の生産からスタートした。今では450ヘクタールという規模にまで拡大した。実際の農場を見たわけではないので、判断はすべきではないが。ここで行われている事は、実は企業の農業参入の先駆的な事例となっている事は確かだ。本来、株式会社の農業参入は認められていない。しかし、特区の制度を利用して、ワタミは株式会社として農業参入した。これが成功するようなら、株式会社の農業参入が広く認められることに成る。ワタミは有機農産物を中心に生産している。ワタミのものは食材がましだ。こういう感じは世間に出てきているだろう。そういう意味では、居酒屋の方で採算をとっていると言う事かもしれない。
「ワタミグループは、農業をビジネスとして捉え、有機野菜を慣行栽培の野菜と変わらない価格に抑えつつ、外食産業で培ってきた経営手法を応用し、この事業で利益を出している。」こう社長の渡辺氏は豪語している。すごいと思うが、この事業でと言った時、幾つかの要素がある。ワタミの養鶏が有機認証を受けた。1万2000羽という記載がある。そこで質問をさせていただいた。以下が回答です。
現在の飼育数は2800羽。飼料はJAS有機の穀物飼料(コーン・大豆粕)を使用しています。有機おからや国産有機くず大豆、有機ふすまなども購入して与えています。魚粉も当初は与えていませんでしたが、やはり産卵の面から今では通常の1/3程度の配合で与えています。放し飼いは現在行っていない。餌代だけで卵1個あたり35円程度でしょうか。人件費などを合わせると55円程度になります。どこも同じかと思いますが、敷地内には関係者以外は立ち入れません。また、見学もお断りしております
回答をいただけたことは、評価したいが、これで有機認証を受けているとは、言いがたいのではないだろうか。しかも輸入飼料では、まずいだろう。明らかに社長の豪語とは違い、慣行畜産と変わらない価格で抑えて、この事業で利益を出している。とは、言えないだろう。55円が原価なら、少なくとも、1個100円の卵だろう。しかも購入飼料でやっているとすれば、遠からず、有機飼料など手に入らなくなる。忽ち、55円の原価が、100円の原価になる。ワタミの卵の買いかたが見えない。加工に利用しているという事だろうか。有機農業参入は大いに結構だが、いかにも今までの有機農家が、非効率で、努力不足のような発言は、止めるべきでないだろうか。見学をさせないのが、何処でも同じという認識も、おかしい。有機でやると言う事は、日本で始めての認証事業だ。これは公開する社会的な責任がある。私のところは、一切公開し見学を受け入れている。昨日も若者が二人訪ねてくれた。それは次につなげたいからだし、そのことは私にとっても大いに勉強になる。ワタミファームの主張はそう言う事でなかったのか。そういう思いで農業に参入したのではなかったか。
実はワタミの農場は野菜まで非公開だ。一体何処が認証しているのだろうか。認証機関まで、身内と言う事はないだろうか。ワタミファームが誠実な会社なら、回答が事実なら、自ら認証を取り下げるべきだろう。有機畜産基準に外れている恐れがある。ワタミの社長は政府の諮問委員であったと思う。問題は、認証の一人歩きだ。私は認証を受けた養鶏など、経営的に不可能だと主張してきた。ワタミを想像しても、実態は結局の所、怪しげなものになっている。しかし、日本で始めて有機畜産の認証を受けたと、そういう事実だけが一人歩きし。猪瀬直樹氏のような人間はそれを日本農業の救世主のように吹聴する。すると消費者は、他の農業者。養鶏業者が努力不足のように考える。そして、農業者がの努力不足が、国際競争力を失くしている。こういう誤解を生むようになる。もし、ワタミに対する私の認識が、間違っていて、ワタミの有機の卵が、世間で売られるようになったとすれば、私は謝罪しなければならない。