田んぼの生き物観察会

   

昨日は、待望の田んぼの生き物観察会が行われた。水生昆虫を解説いただいた。素晴しい方が来てくださった。本当にありがたいことだったが、お名前は控えさせていただく。環境の事って、案外関係性の難しい所があって、おかしなことになってはならない。金井島の田んぼだ。足柄地域で一番あちこちで田んぼをやってみた人間を自負している。丹沢の奥の塩沢から、山北2。内山。金井島。中井。大井町。坊所2。永塚3。舟原。大磯。桑原3。随分離れた所を、あちこち十数か所田んぼに入った。その結果生き物は、何処にでもいるものではないと言う事に気付いた。桑原の田んぼが、この地域では桁外れに生き物が多い。奇跡の田んぼと心の中で思っている。冬季湛水の田んぼも桑原でやらせてもらった。酒匂川からの湧水の多さが桑原の自然を豊かに保ってきたのだとおもう。神奈川県唯一の、メダカの生息地となった理由も、きちっとある。

金井島の観察会は、ともかく生き物が少ない。企画をされた鈴木さんには、そのことはよく話していたのだが、すくないという事がわかるというのも、大切なことではあった。何故生き物が少ないか。3つ考えられる。先ず、米所である。西郡米の本場で、あしがら地域で一番美味しい米が、収穫されるところだった。その結果米作の単一の農地が形成された。当然、優秀な米作農家も沢山おられる。と言う事は、近代農業が早くから進み、農薬化学肥料の投入も早くから徹底されてきた。耕地整理も完全に行われ、コンクリート畦も多いし、水路は3面コンクリート張りがほとんどだ。水は、丹沢湖から直接導管で運ばれたものが使われている。山間部的にきれいなものだ。深山のきれいは、生き物はちがうだろう。もうひとつこの地域は、酒匂川の氾濫と富士山の火山灰。富士山の火山灰を大量に集めた地域らしい。このことがどう生き物に影響しているか。

桑原で生き物観察会を行うと、一すくいの網で、うじゃうじゃと言う事になる。専門家の人が、神奈川では珍しいというようなヤゴなどが見つかることもある。昨日のお話しでは、秦野の、丹沢ドン会の谷戸田では、やはり相当珍しくなったものがいるらしい。一度ドン会の田んぼも見に行きたいものだ。珍しいものが残る条件がある。ため池がある。水の流れがある。もちろん自然状態なら直いい。上流に人家がない。湧き水があり、長年の放棄田んぼが湿気ていた、田んぼはいいそうだ。大磯はそういうところだったが、生き物が多いという感じがなかったが。何故だろう。坊所や、舟原はどんなものか。坊所は案外に生き物がいない。それでも川から入る生き物は、結構珍しいものがいた。モクズガニもいた。川の取水から水路の状態がいいのだろう。舟原は土壌的にはいい。水路のつくりが、生き物にはまずい構造なので、川から入る生き物が、やはりグンと少ない。

自然は、良く見ると、漠然と見ていたときとは全く違う。自然が豊かだなぁー。などとのんきなことを言っていても、案外死んだ自然だったりする。これが恐い、昨日の話しでは、生き物は復活などして来ていないという事だった。自然の衰退の速度が、若干緩んだというレベルだそうだ。自然が少しはましになっているというのは、どうも間違った報道のようだ。この地域では、一番の宝庫の、桑原はいよいよ道路建設が進んでいる。行政も最大限の努力をしてくれて、何とか公園的に残る部分も出来た。しかし、大きな道路が出来て、その脇で何時まで田んぼが行われるか。たぶん、30年後くらいには、桑原田んぼはほとんどない可能性が高い。と成ると、久野地域の里地里山構想は、ますます神奈川県全域にとっても重要な計画となるに違いない。一度、本格的な生き物調査を行う必要がある。

昨日の自給作業:果樹園の草刈2時間 累計時間:37時間

 - あしがら農の会