鳥インフルエンザのその後
韓国での鳥インフルエンザの感染はまだ終結していない。韓国では、昨年、今年と連続しての発生となっている。最近になって、さらに北朝鮮に飛び火したとも見られている。幸い日本では、青森、秋田、北海道で野鳥の白鳥での感染が見られたのみで、養鶏場への感染の拡大は起こらなかった。最近発表があり分かった事は、韓国で爆発的に広がった。ウイルスと、青森、北海道のウイルスが同一であった事だ。しかもそのウイルスは、昨年の韓国での流行のウイルスとも異なる事、又インドネシアなどで流行を続け、人への感染が100例ほどある、ウイルスとも違う事、なども新たに確認された。加えて、昨年1月宮崎などで発症した事例の感染経路に関する、詳細な報告が出された。結論として、1、感染は野鳥から起きている。2、モンゴル、韓国、中国のウイルスと相関が強い。3、東南アジアのものとは異なる。
これらの事実から幾つかの事が推測できる。白鳥が、韓国で越冬したか、あるいは中国で越冬し、韓国を中継点としている。日本の十和田湖や北海道をさらに中継して、シベリアに帰るところだった、と言う事実。たぶん日本のほかの地点でも、韓国からの渡りの中継点にしている場所は、あるだろうと言う事だ。感染の起きた、可能性として大きいのは、韓国の感染したアヒルなどの群れに、白鳥が接触して、感染したこと。感染したアヒルの糞などがある水場などに、白鳥が飛来する場所はあるだろう。そうした野鳥の飛来は、東アジア中心であって、南アジアとは、水鳥に関しては異なると考えていいようだ。野鳥の感染については、先ず水鳥を中心に考えなくてはならない。推測に推測を重ねる事になるが、白鳥が感染を広げたと考えるより、韓国で越冬したか、中継地点とした白鳥が、アヒルから感染したとする可能性が高い。つまり、白鳥とは言え、感染すれば発病し、死に到る可能性が高い。発病して長く、暮していたとは考えにくい。健康な白鳥がアヒル養殖場で感染し、青森、北海道にたどり着き死んだ。可能性が高い。
分かってきた事を繋ぎ合わせると、韓国、北朝鮮の養鶏場で発症があると、野鳥がそこで感染し、日本への飛来によって、感染が起こる可能性が高まる。これは、以前のカササギや、クマタカの感染でも、同じことが言えた。ただし、農水省や家畜保険所が緊急対策として、養鶏所の消毒の強化を通知したが、リスクの軽減において、少しの意味もない。まさか、渡り途中の白鳥が空爆のように、糞を空から落とすような事はない。白鳥から、他の水鳥にさらに感染する可能性はある。クマタカの事例は、残念ながら、事実が何ヶ月も隠蔽されていたため、状況の把握が難しく、よく分からないのだが、餌としている野ネズミからの感染ではないか、とも思われる。この場合養鶏場で死んだ鶏を食べたネズミ、あるいは感染した鳥の糞を食べたネズミを、クマタカが食べた可能性。時間的な正確なところが分からず、もう一つ見えない。
野鳥の感染で、養鶏場が問題にされるというのは、全く濡れ衣のようなものだ。野鳥は自然界に幾らでもいるのだ。養鶏をする側にしてみたら、野鳥の方をどうにかしてくれ、と言う事だ。養鶏場を消毒しても、野鳥の方はどうにもならない。世間では、鳥インフルエンザというと養鶏場が不安。こう言う事になるが、野鳥からの感染と言う事が、よりハッキリしてきている以上、囲われている鶏より、無限にいる野鳥の方がリスクが高い。今やるべきことは、渡り鳥の正確な調査だ。こうした基礎研究がほとんどないのが、日本の実情。リスクが高いといっても、今東アジアで広がっているウイルスは、人間への感染は起きた事のないタイプだ。死んだ野鳥を生で食べるような無謀な事をしない限り、感染は起きない。よって、自然界で納まるには、何世代かの経過が必要。たぶん7世代。そして、ウイルスをさらに、変異させて放出する、巨大養鶏場の閉鎖以外、この病気の淘汰はできないこと。