鳥インフルエンザの白鳥
十和田湖で4羽の白鳥が強毒性のH5N1型の鳥インフルエンザに感染していたことが確認された。これは日本では、昨年1月阿蘇で見つかったクマタカ以来2例目の事だ。しかし、これは発見が2例目であるだけで、幾らでも野鳥の中には存在すると考えた方がいい。この白鳥は、シベリアより越冬のため、日本に飛来していた鳥と考えられる。可能性としては、韓国に飛来していたものかもしれない。それが感染し、シベリアに戻る途中、十和田湖に降り立った所で、発病した。だから、十和田湖の周辺の30キロで今調査中だが、白鳥の飛来地は、何処でも同様の可能性はある。韓国でこれだけの発生が繰り返されている以上、日本が安全とはとてもいえない状況にある。白鳥の感染を分析してみると、何故他の大半の白鳥が、感染していないのか。何故、感染する鳥と、しない鳥がいるのか。
鳥取大学の研究で、弱毒性から強毒性への変異は感染の連鎖である事が、確認された。伊藤教授らは、茨城県の養鶏場で採取したウイルス(H5N2型)をヒヨコから別のヒヨコに次々に感染させて実験。最初は無症状だったが、8回目の感染で弱い症状が出始め、17回目には脳で増殖するようになった。20回目には感染したヒヨコが死ぬようになり、28回目にはウイルスを注射した8羽の鶏すべてが死ぬほど、毒性が強まった。この実験結果で判ることは、大型養鶏場の危険だ。28回の感染の連鎖が、起きる可能性は、何万羽も一箇所で飼う養鶏の方式から来る。これは以前から指摘してきた事が、確認された事に成る。畜産は出来る限り小さく、自然界にありうる規模で、行わなければならない。
白鳥のように群れで暮す水鳥は、1万羽程度は一箇所に集まる。これが鳥インフルエンザの発生源になる可能性が高めているのだろう。しかし、これだけでは感染は広がらない。水鳥は既に弱毒の免疫をもっている群がある。自然界ではこうしてバランスが取れている。大規模養鶏場さえ無ければ、人間にとっても、問題のない範囲の病気である。これが、鶏が感染し、豚が感染し、人間への感染の可能性が高まる。世界での、新型のインフルエンザの大流行を恐れるなら、大規模養鶏を即刻禁止することだ。大規模養豚も止めなくてはならない。畜産というものの適正規模を考えてみる事だ。このままでは鳥フルエンザだけではすまないことになる。必ず更に、手に負えない病気の発生に繋がる。自然界がバランスを取るためには、何百万年の年月を要した。その自然循環の姿から逸脱する事は、避けなければならない。
韓国では、昨日も新たな地域への感染が起きた。全土に広がる経過をたどっている。日本への拡大も警戒レベルまで来ている。初期の防疫に失敗すると、こういう形に必ずなる。最初の感染は、不法のワクチンであったり、野鳥であったりするだろうが、この後の感染の拡大は間違いなく、人が運ぶ。防疫にあたった韓国の兵士が、人感染していたが発病しなかった。正にこの形が要注意なのだ。感染にも幾つかの巾があり、今回のように、発病とは違う感染がありうる。茨城の感染の拡大がそうだった。そうして、気付かないまま他の養鶏場に広げてゆく。これは普通の風邪の拡大と同じことで、止める事は極めて困難になる、一番避けなければならないことは、養鶏関係者の接触だ。行政は、間違っても、注意の為に人を集める事をしない。養鶏場に出入りしない。今までこれで感染を拡大させて来たことを、認めて反省しなければならない。