徴農制
自民党には「村・むら・邑」食糧とか農業・農村を論じ合う、若手議員の集まりがある。その中に稲田朋美さんという、方が居る。福井県選出の人らしい。落下傘ではなく、おっかさんだ。と選挙では訴えたというから、どうも都会で弁護士をされてきた人らしい。この人が、「徴農制」を主張している。日経の19日付の記事だ。発端は水野正人氏というスポーツメーカーの会長の、3年程度若者を「下放」しろという話だ。JOCの副会長というから、こんな荒っぽい議論が出てくることが恐くなる。そのことは、細部が見えないので、一先ず、稲田氏の「徴農制」の方だ。南京100人斬り裁判で、100人斬りをでっち上げだと主張して、敗訴した弁護士だ。
「徴農制」を主張をする、水野氏も稲田氏も農業が嫌いなのだと思う。よく罰として、草取りをさせる、というのがある。不甲斐ない若者に、農業をさせるという、罰を与えようと考えるのだろう。そもそも、肉体労働を下に見ている人の発想だと思う。罰としてJOCの委員をさせるとは言わない。下積みをして、たたき上げて来い。こんな匂いがどうしてもする。稲田氏のホームページをたどると、稲刈り体験の写真が出てくる。高校生の息子さんが学校の行事で北海道での農業体験をしたが、それでは本当の農業を知る事になっていない。こう主張する。稲田氏は何処で本当の農業を知ったのだろう。どう見ても農業体験はしても、農業はした事がないようだ。自分は賢いから、やらないでも農業の何たるかぐらい、理解できる。と思っているのだろう。でも、頭脳の人が、体で覚えろ。と主張するのは矛盾だ。あるいは、下に見ている。
「徴農制」など、本当に止して欲しい。まるで農家が罰で、懲役で農業をしているということを、国家が認めるようなものだ。まさに生かさず、殺さず。の世界に逆戻りだ。工業製品を、外国に売りたいが為の、今のところ農業は犠牲だ。鎖国をすれば食料が要だと言う事がわかる。別に農業が好きに成ってもらう必要など少しもない。そもそも農業ほど面白い暮らしはない。本当の所を知ればみんなが始めてしまう。義務にしようという人は、農業の楽しさを知らない人だ。嫌々やっていると思い込んでいるから、こんな発想が出てくる。これが農業体験の悪い所だ。徴農制に成れば、みんな農業が嫌いに成る。感謝されたくて、農業をやっているわけじゃない。そもそも人の生き方にかかわることを、あれこれ言うのは許されない。特に、国会議員たるもの、その節度を知るべきだ。農業を取り巻く、制度をおかしくしてきたのが、国会だ。今もまた、認定農業者制度のように、農業をつまらなくしているのが、国会だ。自分の仕事をしっかりやるのが先だろう。WTO交渉は大丈夫か。
今も、新規就農希望の人が、1人と1組、農の会に見えている。このやりたいという人達が、農業を出来るようにしてあげることが先決だ。行政は無理だから止めろという。あるいは、先ず、ここで研修を受けて、資金はこれだけ必要です。等と指導する。つまり、遠まわしに止めろという。行政がお世話します、家もありますなどという所は、普通の営農が不可能な地域だ。普通の人が、普通にやって就農出来る様な条件はまずない。今この地域で農業を継続している人は、スーパーマンのような人ばかりだ。並みの人はとうの昔に止めている。自営業はどんな職種でも同じだ。成功するとは限らない。だから、面白い。農業を始める機会は平等に持ってもらう。失敗したら尻拭いをする覚悟さえあれば、応援できる。当人にとって、失敗も成功も同じくらい意味があると、私は思っている。