有機農業と人糞
JAS法に基づく有機認証では、人糞の利用は禁止されている。トンプン、鶏ふん、牛ふん、は使えるのに人ぷんは禁止だ。人間ほど怪しいものを食べている動物はいないから、禁止も無理もない。変な薬もやたら飲んでしまうし。などと、思えるがやはりこれはおかしいだろう。さすが人間様が豚よ劣るとは思えない。これは下水汚泥と人糞が、混同された原因だと思う。JAS法など、精査するほど価値の在る法とは思えないが、そもそもJAS法を作るに当って国自らが、有機農業に対する、実際の圃場での実験を行ったことがないのだから、あれこれ不充分は目立つ。人糞を禁止するなど、有機農業が何を目指すのかをそもそも理解してない。有機農業は永続性のある世界を目指している。あれはいけない、これはいけないと、栽培法が取り締まられるが、出来た作物については、判断がない。消毒をしないで、木が病気になり、変なトマトになっても、それは有機栽培だ。
農業で使えないとしたら、人糞はどこへ行く。下水処理場で、汚泥となり、乾燥されて燃やされる。せめて集めるなら、メタンぐらい採取してもらいたい。つくば市の農水省の実験で、尾崎氏と言う方が、自宅を循環型の実験家屋にされていた。家の敷地から、何も出てゆかないようにしているのだ。普通の住宅地の家だ。合併浄化槽と、30坪くらいのガラスハウスの組み合わせで出来ていた。合併浄化槽から出る水と、雨水槽の水とが、ハウスの水路を流れるようになっていた。その水路は最終的には家を一周する、U字溝につながっている。しかし、そこに水が流れる事は殆どない。まして、排水が外部にまで出てゆくことはない。家族4人の人糞は浄化槽で、浄化される、どの程度の浄化が起こるか測定をしながら、浄化のレベルの調整をしている。
面白いのはそのハウスでの栽培が、肥料要求の大きい作物から、並んで、最後はパピルスだった。それで紙作りをしている。そのパピルスが、水源に近い所が大きく、背丈が徐々に小さくなる。最後にわずかな水が染み出ていて、そこで測定されているが、極めて清潔な水で、処理をすれば飲めるレベルと言われていた。このハウスで出来た作物は家族で食べるそうだ。結構トマトや、ナスが実っていた。抗生物質など呑んだらば、家のトイレの菌が死滅するから、薬は飲まないようにしていると言われていた。洗剤や石鹸なども、菌が死ぬからと、気を使われていた。
思い出せば、子供の頃の藤ヌタの家はそうだった。トイレの肥溜めは、何槽にも分かれた、いわば浄化槽だ。下の方へ行けば、ほぼ液肥状態で、そのまま畑に担いで行き撒いたこともある。肥え桶担ぎも結構やった。これが腰の振る調子で、ハネカエリを押さえるこつがあった。棒のしなりと、腰の調子が大切で、子供では上手く行く物ではなかった。回虫の問題は確かにあった。検便で回虫が出たこともあった。落ち葉や藁を積んでの堆肥作りもしていた。このとき下肥を何度もかける。この量が又すごくて、裏山から落ち葉をかくのだが、山が落ちてくるのかと言うほどの量の落ち葉を、積んだ。だから、下肥は全く足りなかった。岡田茂吉氏と言う人は、農業の天才だと思うが、不浄のもの、つまり糞尿を畑に入れてはならない。と考えたらしい。人が出すものを、不浄と考える必要はないだろう。