食料自給率39%
8月10日、2007年2月1日現在の(農業構造動態調査結果概要)日本農業の集計発表があった。食料自給率がついに40%を切った。過去2番目の記録というが、前回は米の極端な凶作で米の緊急輸入が行われての事だ。通常年においては1998年来40%で下げ止まりに成っていたものが、ついに、40%を切ったと言う事だ。政府の方針のまま農政が続けばさらに下がることが確認された。農水省は上昇する事を目標を立て、今の農政のあり方でそれが可能だとしてきた。その根拠が、かろうじて続いてきた40%での維持にあった。施作の方向が間違えているかどうかは、自給率という最終的な数値で判断するしかないだろう。この機会に、今のやり方では、日本の農業生産は更に減ってゆく。耕作地は更に減少する。農業者人口も減少する。それを先ず認めて、その上で考えるよう転換する事が急務だ。
一番深刻な事はこの一年販売農家戸数が3,6%減少して、181万3千戸になったことだろう。内専業農家は43万戸、年間の販売価格が100万円以下の農家をはずすと。77万4千戸と言う事になる。これを就業者数で見ると、312万人となる。その内、何と60歳以下数は「98万人」となる。40歳以下の就農者は男女合わせて、「10万人」この数値を想像して欲しい。最近農村でも余り見かけなくなってきた、ゲートボール人口が132万人だそうだから、どれほど少ないかが分かる。期待の集落営農数は1万2千にとどまる。農地の管理を目的とした所が多く、経営を主体とした所は少ない。又大半の集落営農自体が、引き継ぐ後継者に、展望が持てないとしている。この実情に、正面から向かうべきだ。いつまでも、国際競争力のある農業などという掛け声は、瀕死の病人に鞭打つようなことにならないか。
政府の本音は企業参入という所だろうが、資本はどう誘導しても最終的には、より有利な投資先を求めて動くものだから、当然中国やベトナムの農業経営は模索することになる。人件費の高い日本で、農業経営などそもそも無理と考える企業が普通だろう。それでも参入しようという所は特殊事情の企業だ。例えば、冬場除雪を主な仕事にして居る会社が、夏場の仕事の創出。他の工業生産品が海外に移る中、企業の農業参入はない。この点でも、間違った期待を企業に持つべきでない。
それでは、どこに自給率向上の可能性があるか。2つ考えうる。まず、自給的農業への農地の解放。格差的社会が先鋭的になる中、より人間らしい暮らしを求める流れが起きている。この流れに農地を当てる。中山間地の耕作放棄されて、減少の一途をたどる農地の保全に期待ができるだろう。これを推進するには、農地法の整備と、農地に住宅を建てる場合の、法の見直しも必要。耕作放棄地を管理や、地域の里地里山などの環境保全活動の為、の施設などは積極的に公的につくる。
もう一つは補助金だ。これもただの補助金では、貿易摩擦を作り出すだけなのだから、もう少し知恵を絞ったものを考える必要がある。例えば税制での優遇の工夫。一定の要件を満たした農家に対し、農家所得の赤字と、その他の収入の合算による、税的優遇を更に工夫する。農家に対する年金の特別制度。農業者公的年金を創設し20年以上の農家経営者への積み増し年金。環境保全農業への参入者には、住宅の無償提供。いずれも国民全体の、合意が形成されて、初めて可能になる。