自民農林議員の参院選総括

   

農家と同じ言葉で伝えなければならない――。参院選後初の農林関係部会となった8日の自民党農林水産物貿易調査会で、農林議員が大敗した選挙戦を総括した。これまで進めてきた農政の基本路線は継続する一方で、農家に分かりやすく政策を説明し、農政改革への理解を求めていく。同時に民主党農政の非現実性を徹底的にたたき、衆院選に備える。「(自民党の農業)政策は間違っていなかった。だが、広報活動が足りなかった」農業新聞
安倍総理と同じだ。政府与党は自分の考えを最も伝え安い立場にいる。その伝え安い場に居ながら、まだ伝わらないとすれば、何か自分の考えに、問題がありはしないかと思うのが、普通の考え方だろう。それが、どうしても自分の考えの反省に進めないところに、病は深刻になっている。

民主党は「ばら撒き」と言われた、1兆円戸別補償の背景となる農業法案を、9月の国会に提出すると発言している。早くこの法案を見せてもらいたい。散々自民党がやってきて、農業を駄目にしたと、自ら発言している、横断的戸別補償にどんな工夫があり、日本農業の再生の糸口になるのか。当面、50%の食糧自給を目指すということなので、その実現性が、戸別補償にあるのか。選挙目当てのいいぱなしでない所があるのか。本当に興味深い。国民は官僚の協力しない、民主党の能力を、軽く見ている。評価して参議院選で選択されたわけではない。自民党批判で、民主党に流れた。しかし、民主党がここで、どんな具体策を出せるか、どんな国会運営をするのか。誰もがこの点を注目している。駄目だろうな、と半分思いながら、少し期待している。要は新規就農したくなるような案になるかだ。

農水の調べによると、新規に参入した人の33%が施設野菜を、19%が露地野菜中心の経営をしている。果樹が11%、畜産が10%で、米作中心の経営は8%にとどまった。もう一つ、集落営農の多くは地域での「農地の守り手」にとどまり、農業経営の発展にはあまり結びついていない。これが農水の現状把握だ。自民党の農林議員はこの実態に対しどう考えているのだろう。一言で言えば、後継者不足だ。どうやって新規就農を推進するか、あるいは農業後継者をどう育てるか。ここが余りに手薄ではないだろうか。農地を取り巻く税制を検討すると言う事も出ている。

政府の貿易において、農産物も他の工業分野の生産品と同じ扱いをする。という改革、構造改革が大前提にある以上。農業は産業として、成立しないことを誰しも、理解している。どう甘言で誘おうとも、無理なことだ。今、農業に参入するのは、採算など考えない、農業が好きな人達と、地域や一家を守るという人達であるのが現実だ。そこに、採算だけを考える、企業をあるいは企業的経営を参入させるというのが、今の農政の方向になっている。農業は他の産業と違うのかどうか。これを、きちっと判断することが、前提ではないだろうか。地域・環境・食料の保全。これらは国の成立の基本条件であり、経済面だけでは考えられない物だと思う。この点の国民の合意が、とれるか。米は安いほどいい。高くても、安全ならいい。おいしければ幾らでも出す。こういう我儘から、食料を別格な物に変えられないか。それが政治ではないだろうか。

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