ゆで卵と伊達巻
2016/08/08
正月と言っても、仕事は変わらずあるのが養鶏だ。それでも、おせち料理と言うほどではないが、準備はする。お餅、電動の餅つき機で作る。今年は、岡山の方から、15年ほど前に頂いた。「本赤糯」でついた。実はこれは種籾のつもりで、採って置いたのだが、食べてしまった。全く見ず知らずの方が、現代農業で、記事を読ませてもらったと言う事で、わざわざ種籾を封筒に入れて、送ってくれた物だ。これが美味しいもち米で、その方は日本で一番美味しい。と言われた。しかし、そのもち米を、ある味にうるさい和菓子屋に届けて、食べてもらった。返事もなかった。味については、全く主観的なもの。味は、食べ物は、物語だ。
お雑煮はお餅が主役なのだが、ダシは笹鶏のガラからとったもの。正食と自ら名乗る人達はだしは採らないということだ、笹鶏のスープの味のすばらしさは、格別だ。これを食べれないと言うのは残念な事だろう。そこに、2切れほどの笹鶏のもも肉を入れる。これは真っ赤な硬い肉でないといけない。大根、ニンジン、小松菜。醤油味。今年はこれに加えて、卵の燻製。ここで問題になるのが、ゆで卵。産みたての卵は、ゆで卵にしても殻がむき難い。笹鶏は特に、白身の質の為もあるのか、むき難い。そこでこの際色々実験をかねてやってみた。
結論を書くと、熱湯から入れる。卵が踊れる大量のお湯でゆでる。小学校の時に熱いと割れると教わったのは間違い。こういうのはやってみればすぐ分かる。1分ほどしたら、卵に穴を開ける。ここが難しい。出来れば頭にあける。その上で、15分熱湯でゆでる。その後は一気に冷たい水、氷を入れるぐらいなら直良い。ここまでやるとさすがに、むけ難い産みたての笹鶏卵もつるんとむける。
このむいたゆでた卵を醤油、酒、味醂、コショウ、を併せた液に最低でも24時間漬ける。そのあと、12時間干す。そして、燻製。熱薫で良い。30分の薫り付け。薄くスライスして食べる。
伊達巻卵。毎年挑戦はするのだが、どうも上手く行かなかった。今年はそれなりのところまで来た。どうもコツは2つ。滑らかな口当たりを出す為に、全てを濾すこと。後は、材料の比率。これが卵料理では、何でも難しい。はんぺんを使うとすれば、はんぺんに対して、3個から8個まで、多様な説がある。これは自分で決めるしかない。えびで作った事があるが、海老を使ったと言うほどの味にはならなかったので、海老は海老で食べたら良い。砂糖は黒砂糖、醤油も入れる。色は黒くなるが、彩としては気になるが。焼き色を上手くつければ大丈夫。焼き加減は難しい。弱火、あくまで弱火。余り焼かない方がいいのだが、それだと裏返せない。熱い内に巻く。フライパンなので、円くするために、端を切って、最初に中心に入れ込んで巻く。卵の内側に切れ目の線を入れておくと、巻きやすい。ラップでくるみ、冷蔵庫で固める。
等と書いても味は夫々の物だ。何が美味しいなど全くない。偉そうに美食家などと言う恐ろしい肩書きがあるが、信じる必要はない。自分が美味しければ、かまいやしないのが味。暮れに農の会の生産者で、食べ較べの会があった。今年はニンジンジュースだ。これはちょっと格別の味だった。土壌や水の違い、夫々の耕作法、品種の違い。様々なのだろうが。10人10色のはっきりとした違いがある。土臭さがあったり。全く癖がなかったり。どれがおいしいなどと言うのは、作ってくれた畑に、申し訳がないと思った。