小田原の農地の賃貸状況
2016/08/08
昨日は基準地価から始まって、小田原の今の農地の取引価格について、解っていることを書いた。農地の売買は、多分月に1件ぐらいだろう。値段も場合場合。そんな状況の中、賃貸がどのような状況か書いておく。
農の会では大半の農地を借りている。この一年は新規の契約は完全に止まっている。小田原市が農業特区による、NPO法人の土地貸借を止めたからだ。この背景は2つあって、
一つは国が次段階という事で、特区と改めて指定しないで、何処の自治体でもこの形を取り入れることが、条例を定めれば可能という事になった点。
もう一つは法人の農地利用に対する、農業委員会の反発ということがある。農地の利用が農業者や農業法人の既得権化している中で、規制緩和政策への反動が起きていると思われる。
この結果小田原市は一年間契約行為を停止してしまった。政策の一貫性も何も全く無い。このことに協力してきた農の会は、全く置き去りにされた。
小田原市の農業政策の後退の為、ここ1年は開成町、大井町で農地を借りる事が進んだ。農地の貸借には、地域の行政と農業委員会の姿勢が、左右する。これがまた理屈ではなく、感情で動いているように、一貫しない、不思議な動きをするので、一般に理解しがたいものがある。挨拶がなかったとか、気に入らないとか、そんなことで判断が動いてしまうようだ。
農地が自由に借りることができるという状況に、私の20年の体験でも、ここ5年ほどの間に、様変わりした。1993年に農の会を作った頃は、その目的に農地を借りることができるように、ということがあった。知名度を上げ、信用を作り、農地を借りようとした。しかし、現在は一人で開拓しても、可能な状況が生まれつつある。この辺にも農の会の役割の変化が生まれている。もう5年すれば、農地の賃貸は会は関係しないことになるだろう。
小田原市の標準小作料は(H18.4.1)(10アールあたり、年額)水田 16,000円 普通畑 16,000円 みかん園 (地主成園分) 5,000円 (小作人成園分) 3,000円 となっている。農の会はこの価格で借りる事を基本にしている。地価と一緒で、この価格を理解できない、あるいは納得いかない、地主さんも多いい。その結果起こりがちなのが、農業外利用だ。多くの場合は資材置き場になっている。
一度資材置き場に貸したら、農地に戻すのは不可能に近いが、それでも収入に成ればいいということで、貸してしまう人が多数いる。まずいのは闇の賃貸になるということだ。当然農業委員会では認めないから、裏の契約を行う。こうなると貸している地主が弱い。貸した農地が残土置き場や、解体資材、あるいは産廃が山積みされ、業者が居なくなって泣き寝入りという事も起こっている。
農業をやりたいという人が、小田原に来て、いつでも農地を借りて始められる。農地は年額で、1反16000円。都会の市民農園なら、5坪程度の値段だ。小田原駅から歩いてゆけるようなところにも、そんな農地があるのを私は知っている。白秋の歌ったみかんの丘から、海を眺め、畑を耕し、帰りは温泉にでも入って、美味しい魚を食べて、そんな人が何故現れないのか、私には不思議でならない。