基準地価
2016/08/08
基準地価が上昇に転じた報道されている。本当のことだろうか。農業を行うものにとって、地価の問題は重要である。
国土交通省は19日付で、7月1日時点の都道府県地価(基準地価)を公表した。不動産投資が活発になっている東京、大阪、名古屋の3大都市圏では平均で住宅地が0.4%、商業地が3.6%、それぞれ上昇した。3大都市圏での地価上昇は16年ぶりで、バブル経済の崩壊後、初の反騰となった。地方でも下落率が縮小し、政令指定都市や県庁所在地、一部リゾート地で上昇地点が増えた。地価の持ち直し傾向が全国的に広がっている。
基準地価はどうやって調べるかといえば、実際にあった取引の蓄積から行われる。しかし、地方では取引が殆ど無い。あってもその把握ができないことが多いい。把握は不動産鑑定士協会が取引があった人に、問い合わせをする。その返事があればのことだ。税金の絡んでいる取引で、農地や山林の取引は、事態の把握などできないと考えたほうがいい。少ない取引のなかでは、意図的な価格が答えられる場合も考えた方がいい。
私が住む久野の場合、16年に山林で1件の取引が細く表示されていて、㎡1100円と出ている。杉檜の混合林で、2,7mの道路がある、と表示されている。地番から私の家から遠くない。公にこういうのが出ていると、影響が起こることは間違いない。
参考になることはなるが、この1つから下落とか、上昇とかを考えるのは難しい。農地については、農業会議所が出している小新聞に、表示がある。これは各農業委員会に置いてあり、無料配布されているので、誰でももらえるものだ。これを見ると、これもどうやって調べたのかと思うが、極めて大雑把な地域割りだが、㎡2000円から3000円ぐらいの価格として、書かれている。
実態と考えていいかというと、この通り動くことは無い。私のところに入る情報では、まだ、坪2万円とか、3万円とか言う話もあるが、実取引では、よい農地で1万円。悪い所では5000円ぐらいの話が聞こえてくる。この聞こえてくるというのが、本当かどうかは、疑問だが。そこそこの農地が、1万円ぐらいで出ていて、何年も売れないで居る事実はある。
以前小田原の農地が坪5万円ぐらいまでしていた時期があるからだ。91年が地価のピークとされているが、その頃は、条件の悪い、山林が坪1万円とかした。農業が生業としては成立しにくくなってから、農地は資産維持という観点から、管理されるようになった。そこでの生産物から、労働の対価は得られないが、資産管理として、美しい農地を維持してゆくという意識に支えられることになった。
ここでの、農地の価格は上げ止まりになる。売る気持ちは無いのだから、高価なほどいい。事情が生じて、売らざる得なくなって、初めて実勢価格に対面することになる。農地を今買う人は利用価値から考えることになる。実際は価格がつかないのが現状だ。そこで仕方が無い人が買うことになる。親戚や、隣近所の人だ。これが基準地価に反映する価格になる。
小田原の農地価格の参考になればと書いてみたが、いずれにしても、新規就農者にとって、基本的用件であるにもかかわらず、極めて不透明な中にある。