美術9条の会
私を美術9条の会で名前を見たと言う方に2人続けてお会いした。
9条美術の会というのもあるので、正確にはどちらか解らないが、
私の絵を見ていて、そういう考えの人だと思っていた、こう言われたのがとても嬉しかった。
逆にその2人も、そうした思想をお持ちだということは、絵だけでよく解っていました。名古屋と、新潟の方で、親しくお話した事はほとんど無かったので、絵を通してその方の考え方を感じていたのだと思う。
名古屋の方Sさんは以前から、政治性の強い図柄でしたから、解って当然でしたが、今回の絵が、9条を守る署名活動をされている人を描いた作品でした。Sさんの絵としてはよいものに見えませんでした。私は以前からSさんの絵から深い感銘を受けておりました。通勤電車の車窓にうつる、町外れの情景、路上生活者を思わせる人物像など、魅力的な作品が多数あります。そうした図柄と、黒を基調とした美しい調子が、深い精神性を感じさせ純度の高い絵画性を持っています。人間の尊厳にいつも触れた深い作品だと思っていました。
ところが、今度の9条の署名の作品は、描かれた人物が残念ながら、単なる図像になってしまい、どうかしたのかと思いました。作者にお会いしましたので、率直に私が感じたものを伝えました。「自分の立つ位置を明確に示したかった」こう言われた居ました。私は、絵での表現の強さ、意味を伝える難しさを感じました。
もう一方のKさんは新潟の山の中で暮らされている方です。実に説明の無い絵で、ただ、草原と思えばいい、緑色のくすんだ空間だけが描かれています。でも、小さな木、小屋らしき物が、ポツントあったりしますから、抽象画ではありません。
Kさんの空間なのです。勿論お人柄まで知るわけではないのですが、この方の感性、思想は充分わかります。一つの空間を通し、この方の平和的な生き方、考え方が私には当然のことのように伝わっておりました。
こんなに遠まわしな表現で、良いのかと言う、不思議な思いがします。
お2人絵を見てきたことは、私の制作に大変重要な事でした。