ドローン戦争
2025/06/23
ウクライナがドローン戦争を行っている。戦争が変貌している。戦争の時代が兵器を発展させる。と同時に、ドローンをうまく活用する為には、スパイ活動がかなり敵国深くまで入り込むようだ。情報の把握力がドローン戦争には決め手になる。当然スパイ衛星の活用や、敵国の徹底した調査であろう。
それはイスラエルのイラン攻撃も同じだった。イランの各施設の状況は、外部に漏れないように秘密に作られているらしいが、実際にはその施設の設計まで、すべて把握されているらしい。何故イランの中枢の人物を狙い撃ちできるのか、それはイスラエルの情報部隊が、何年もかけて情報を把握した結果なのだろう。
ウクライナがロシアの軍事基地を攻撃したのは、蜘蛛の巣作戦というらしい。6月1日夜、ウクライナはロシア領内の奥深くで大胆なドローン作戦を実行した。これはウクライナの最後の切り札だったようだ。トランプとけんかをしたときに、まだ切り札はあると叫びたかったことだろう。
ウクライナの発表によると、この「クモの巣」作戦でロシア軍の戦略爆撃機41機が被弾し、少なくとも13機が完全に破壊されたらしい。これがどれほど戦況に影響するかは分からないが、ロシア国民に対してはかなりの厭戦ムードを深めたはずだ。ロシア国内にウクライナのスパイ活動が活発なことは自覚された。
現代の戦争もここに来て様相が変わった。ミサイルよりもドローンの方が怖い。ロシアに普通に暮らす他人事の人たちも、戦争が他人事ではなくなったのではないか。反プーチンになるか、反ウクライナになるのか。ドローンはロシアの極東の奥深くまで侵入する。そして突然蜘蛛の子を散らすように、ドローンがまき散らされる。ドローには爆弾が仕掛けられている。
ロシアのどこかに運送会社をウクライナが準備したらしい。運輸会社をかったのかもしれない。たぶんきちっと登録された会社として営業もしていたのだろう。その会社にはもちろんロシア人も勤務している。ウクライナのドローンを積んだトラックを運転していたのは、ロシア人だ。何も疑わないロシア人がロシア攻撃に利用されたのだ。
ロシア国内の空気が、ウクライナ戦争が他人事だったような気がする。それは政府も同じで、ウクライナのスパイがロシアで、かなりの数普通に暮らしているとは、考えて居なかったのだろう。ロシア人でもウクライナ側に経つスパイはかなりいるはずだ。
それくらいロシアとウクライナは関係が深く。見た目も変わらず、言葉も問題なくしゃべれる人も多いのだろう。ソビエト時代は同じ国だった。豊かな穀倉地帯。ロシアの富裕層の黒海沿岸の避寒地。その背景にあったのが、弾圧と差別の結果の憎しみ愛だったのだ。長年の恐怖政治の結果である。
117機のドローンには、それぞれに操縦士がいて、遠隔操作をしているという。ドローンには動画のカメラが付いていて、届いてくる映像を見ながらロシアの爆撃機を爆破している。YouTubeで流れる映像を見ると、戦闘ゲームの映像と全く同じである。フェークニュースと言われればその通りである。
たぶん翼の部分にある燃料タンクを狙い、爆破しているようだ。ドローンに搭載されているのだから、それほど大きな爆弾ではないようだが、効果的に爆撃機の燃料が爆発し、飛行機が破壊されている。全くのゲーム映像である。これでは人殺しをしている自覚など無いだろう。
今回の奇襲は、ドローンなどの新技術によって長距離の奇襲が容易になったことを示している。たぶんイスラエルのイラン攻撃もドローンが使われた点は同じなのではないか。仮想敵国の敵陣深く入り込む。日本も中国の奥深く、スパイが入り込んでいるのだろうか。時々捕まるのはそういうことなのだろうか。
中国人の富裕層が、日本にたくさん移住していると言われるが、そうした中には中国の諜報員も日本で情報収集をしているに違いない。台湾に関しては、日本どころではないだろう。台湾も中国国内に情報組織を作っていることだろう。日本もやってはいるのだろうが、たいしたことは出来ていない気がするが大丈夫だろうか。
今回の攻撃が「極めて異例」なのは、ドローンをロシアに運び、遠隔操作で発射・制御できたこと。これはおそらく、人工衛星かインターネットを経由して電波を受け止めて操作しているのではないか。映像を見る限り、まるでネットゲームで対戦をしているかのようだ。たぶんネットゲームで操縦を訓練しているのだろう。同じような仕組みに違いない。
なるほど自衛隊はゲーマーの新しい職業なのかもしれない。自衛隊にもゲーマー部隊があるのだろうか。全くゲーム感覚の戦争になって行く。人を殺すという感覚は無いのだろう。すべてが映像上のことのように、殺戮が行われる。人間が変わって行く前兆のようだ。仮想空間の戦争が現実化した。
もう戦争体験を伝えるどころではない。実感のない人殺しが行われる戦争に変わって行く。戦争は悲惨だと行っても、それはあくまで人間の想像の世界のことだ。実体験はもうあまり意味しなくなる。戦争は人が死ぬから良くないのではない。何も解決が出来ないから良いないのだ。
ウクライナ政府は、ドローンの出どころについては明らかにしていないが。しかし、ウクライナは開戦以来、きわめて効率的にドローンを製造できるようになっている。そもそもウクライナはこうした先端技術ではレベルの高い国だから、かなり高度なAT技術も搭載していたかと思われる。
今回の作戦で使われたものはウクライナ国内で製造された可能性が高い。日本製のドローンではダメだろう。中国製が優れていると言うから、中国は軍製品としてドローン戦争を想定して動いているのだろう。だから世界に急速に、高性能で格安のドローンが広まった。アメリカ製のドローンではどうだろうか。
遠隔操作の電波が妨害された場合、自動的にドローに搭載されたAIが学習した爆撃機の形を見いだし、攻撃目標にAIによる判断で自動操縦で近づき、爆撃することが出来るという。日本でもこのAI搭載ドローンを使えれば、稲作の作況指数ももう少し正確に出せるようになりそうだ。
ロシア軍によるウクライナ侵攻は地上軍による昔からの侵攻作戦である。これからは、ドローンによる地上戦の反撃も始まるのではないだろうか。ドローン斥候は必需品だろう。敵の数や配置を探るのには、ドローンは有効に見える。ドローンを制する物が戦いにも勝つのではないか。自衛隊も敵国ミサイル攻撃ではなく、専守防衛のドローン部隊の創設である。
何しろ、ミサイルよりもドローンは格安である。今回のドローンも軍事的な特別な者ではなく、普通に民生品として作られた者と変わらないと言うことだ。お金がかからないとすれば、たくさん製造されているはずだ。117機が今回投入されたとして、まだ何千機もあったとしても不思議ではない。
何しろ、このドローンを運んだのはロシアの運送会社だというのだ。ロシア人運転手が指定された場所で車を止めて、車から降りる。すると積まれていた、仮設住宅の荷物の蓋が開いて、ドロンが飛び立ったという。慌て停止を投げてドロンを落とそうとしたと言うが、まさかである。
たぶん運転手は、呆然としてしまい、はじめ何が起きたか全く理解できなかったはずだ。気がついて石を投げたときには、すでにドローンまで届かなくなっていたはずだ。石を投げているよりも、航空基地に緊急連絡をする方が良かったかもしれない。と言ってももう爆撃機を片付ける間もなかったことだろう。
ロシア国内に117機のドローンを持ち込み、一機も見つからなかったというのは、少し不思議だ。ロシアの想定外だったのだろうか。ロシアは広大すぎて、注意が行き届かない国なのかもしれない。ロシアの中の反ロシア勢力との結託があるのかもしれない。
日本で使われているドローンはほとんどが中国のものだ。安くて性能が良いと言うことだ。中国の軍製品のドローン技術が進んでいるからだという。だとすると日本はこの点でも大分遅れていることになる。自衛隊にドローン部隊はないのだろう。アメリカにもない気がする。アメリカには中国のスパイは普通にいそうである。
ドローンこそ、日本的な武器になるのではないか。ドローンは飛行距離が短い、自衛隊が所有しているからと言って、直接的な戦略的兵器ではない。専守防衛の日本としては、十分に開発して、利用するべき武器ではないか。沿岸に攻撃してきた上陸艇や、上陸してきた部隊を排除する武器。戦争は変わろうとしている。