金融所得課税と健康保険税 加筆訂正

厚生年金の場合、月給65万円までは保険料がかかるが、それを超える給与を得ても、保険料は一切増えない。月給が1000万円でも、1億円でも、保険料は月給65万円の人と同じなのだ。健康保険も構造は同じで、月給が139万円を超えると、超えた部分には保険料がかからない。
金融所得に適用されている分離課税および定率課税だ。税率は、所得税15%、住民税5%の定率で、どんなに稼いでも税率は変わらない。所得階級が高いほど、所得に占める金融所得の割合が高くなるから、年収が高いほど、金融所得課税の15%という所得税負担率に実際の負担率が近づいていくのだ。ーーー森永卓郎
岸田総理大臣は「税負担の高額所得者有利を是正したい」と、総裁選挙の場では発言していた。その意味は森永卓郎氏の文章が分りやすい。ところが総理大臣に就任した途端に、このことには当面触れないと発言を撤回した。理由は自民党の既得権集団の圧力によって考えを変えたと言うことになる。
自民党は年収一億円以上の高額所得者のために、総理大臣の政策すら変えてしまう政党なのだ。2019年に日本で年収1億円以上の富裕層は数23,550人。その割合は約0.037%とある。 自民党の高額所得者優遇は1%にも満たない人の優遇と言うことになる。
その理由は株式投資を税金的にも有利にして、国民が株式投資を熱心に行うように誘導していると言うことだろう。株で儲ければ税金も優遇されるということだ。資産家を優遇する。それが日本の経済のためと言うことだが、株価のつり上げの一種にすぎない。今や株価だけが日本の命綱なのだ。
不労所得を奨励するような政府はあり得ない。最近、人前でも株式投資の話をする人が増えたと思う。本来、どの宗教でも不労所得はあっては成らないとしている。恥ずかしいことのはずだ。政府はカジノまでやろうというのである。
自民党政府はすでに倫理を失っている。あの1億2000万円の自民党からの助成金で汚職選挙をした、河井杏里氏がその象徴である。何百人にお金を押しつけて歩いたのだ。アベ総理大臣の秘書官が、陣頭指揮をした選挙だった。有罪判決が確定したにもかかわらず、自民党からは何の説明もない。こうした選挙が今の今行われている。
大半の不利益を被る低額所得になってしまった国民が何故自民党に投票するのかが信じがたい。騙されているとしか考えられない。自分もいつか、高額所得者になれると思うのだろうか。あるいは高額所得者から何か恩恵がもらえるとでも考えているのだろうか。
どうも洗脳された結果にみえる。能力主義は正しいことで、その競走に破れたことは努力が足りなかった自己責任で、仕方がない。と考えさせられているのかでは無いか。まったくそれは考え違いである。資本主義の行き過ぎた社会の仕組みではどれだけ努力しても脱出のしようが無い、資本を持たない下層階級が形成されてしまっているのだ。
資本を持つ既得権益を握っている上層階級は、政治と結託して自分たちの立場を擁護しているのだ。例えば国会議員の実に多くの人が、二世、三世議員である。本来民主主義国家であれば、貧困層であってとしても国会議員にも、総理大臣にも慣れる仕組みではある。現実はそうしたことが出来ないような、強固な階層社会が形成されている。
日本社会は外見だけ見れば、固まった階層はないかのように見える。誰でも選挙に出れる。能力がないから、国会議員になれないだけだと見える。このいかにも自由競争であるかのような外観がくせ者なのだ。残念ながら、今貧しいものは死ぬまで貧しい階層から抜け出られないのが現実である。これは変えなければならない。
努力次第では無い。もちろん特殊なスガ前総理大臣のような事例はある。例外はないとはいえない。しかし、そこまで登り詰める間にどれだけ人間性をゆがめたのかと言うことが見えたではないか。一般論で言えば、大半の貧困層は貧困層から抜け出られることは無い。そして、そのスガ総理大臣から生活保護がある。などと言われて切り捨てられるのだ。
これから日本の経済はさらに厳しくなる。世界における日本の立ち位置は、残念ながら年々低下している。もう立ち直る要因はほとんど無い。自由競争であるとすれば、競争に敗れて行くものの立場に日本はいるのだ。問題はその状況を認めて、対策を打たない自民党にある。
人口減少も今後さらに進んで行く。こんな不安定な社会では当然、人口は減少を続ける。人口が減ると言うことはその国は衰えると言うことだ。問題は人口増加が可能だとして、人口減少すら認めない自民党政権にある。状況がまずいことを認めた上で、対策を考えなければ解決策が見つからないのは当然である。
間違えを認められないというのは日本の官僚のシステムにある。だから、人口増加を前提としていた以前の展望を変えることが出来ないのだ。間違えを認めると言うことは、誰かが間違えの責任をとらなければならない。だから、アベノミクスは成功したという訳の分からない結論しか出ない。そして、成功したのだから継続するとなると、第3の矢は放たれたことも無いのだから、当然どこに行ったのかが分からない。
ここはともかく、自民党政権に一度降りて貰うほか無い。コロナ対応で間違えたのだ。国の安全保障に感染症対策が入っていなかったのだ。これだけでも現政権は当然交代しなければならない。間違ったら政権の座から降ろす。そうしなければ、コロナ対応は正しかったという間違ったシグナルを国民が政府に与えることになる。
日本が死者数がそれでも少ない理由は過去に類似のウイルスに感染した経験があったのかと思う。中国が死者数が少ないことも、東アジア全般に死者数が少ない理由はそこにある。その中では日本は失敗した国である。
何故か、あらゆる場面で既得権を守ろうとする自民党が支持をされ続けている。まさに、地獄のアベ・スガ政権であった。そして、結局の所何も変わらない岸田政権である。
これだけ日本政府の債務が増加して、財政破綻が近づいているにもかかわらず、株価は何十年ぶりの高値だと言うことらしい。とんでもない話だが、これも高額所得者を守るためには株価を下げられない状況である。株を投資している一番の存在が、日本政府なのだ。
それがあるために、投資家は実質経済とは別に、政府は株価は下げることは出来ないだろうと見ているのだろう。とうぜん、株の配当に対する税の優遇も守られる。岸田氏の腰砕けの背景にある、自民党の闇の支配の存在を直視しなければならない。
そして、自民党・公明党以外に投票しなければならない。その理由は猛攻した闇の既得権者の支配は限界が来たと言うことだ。このままでは大きな破綻まで進むだろうと言うことが見えてきている。背景にあるものは能力主義の限界である。
総選挙では自民党を敗北させなくては成らない。ここまでひどい政治を続けていながら、自民党に投票が行われるとすれば、自民党は反省をするどころか、ますます上級国民優遇の政党になる。この一点で自民党に投票しては成らない。
若い人達の自民党支持が言われている。驚くべき事だ。洗脳が進んでいるとしか思えないが、若い人達がこんな現状を良しとしているとすれば、もう日本は終わりが近いと言うことになる。何故、一番の被害者である若い人達が、自民党に投票するのだろう。日本のことを考え、よくよく考えてもらい。
まず、野党が政権につけば、少なくとも金持ち優遇税制は是正される。いままで間違ってきたことを間違えと認めることが出来る。既得権益集団をある程度、壊すことが出来る。野党に期待ができないとしても、自民党に投票しないだけの利点がある。衆議院選挙で間違えを間違えと認めさせなければダメだ。