田んぼを始めてから、同じ場所で描いている。

   


 そろそろ水牛のわかばともお別れである。二ヶ月間世話をさせて貰ったのだが、水牛の気持ちが分かるというところまでには、まだ至らなかった。私の飼い方だと、だんだん甘えが強くなる。午後に成ると川に行かせろというのだろう。水をひっくり返してしまう。

 田んぼを始めてから、シーラ原田んぼの脇に車を停めて絵を描いている。水牛が居ると言うことだから、水牛の水やりなど、どうしても朝晩見てやらなければならない。他の場所で描いているよりどうせなら、田んぼにアトリエカー停めて絵を描くことにした。

 昨日、田植えに参加された方が忘れものを取りに田んぼにきた。笹村さんはここに住んでいるのですかと、言ってくれた。とても嬉しくなってしまった。軽トラアトリエに暮らしていたい気持ちはある。全国の田んぼの脇で車を停めて絵を描く。そして田んぼの作業をさせて貰ら得れば言うことが無い。

 作業が終われば、そのままスーパー銭湯に行く。サウナに入り、一寝入りして食事をする。そして又、車に戻る。銭湯の駐車場に一晩キャンピングカーを駐車している人は時々見る。これで何か困ることがあるだろうか。そうかどこかに、貸倉庫だけは無いと困るな。

 貸倉庫に水彩画を預けておく。季節ごとに貸倉庫に行けば良い。衣類や本などの捨てられない物も湿度調整のある貸倉庫に置いておけば言い。車で移動しているのだから、日本全国どこの貸倉庫であってもよいだろう。なにか不都合はあるのだろうか。

 住所不定と言うことになる。こうした場合、住所は兄のところに置いて貰えば良いのだろうか。描いた絵はネットの日曜展示を続ける。そうだ、ブログも続けておけば、今どこの当たりで絵を描いているかは、ひとに伝わるだろう。

 画材などを通販で買う場合は、ファミマ受け取りとか、クロネコのステーション止めにすれば大丈夫だろう。郵便局留めというのも可能なのだろう。EBEYなどでも可能なものか、試しておく必要がありそうだ。アトリエカーが家になる夢。

 そ言う放浪の妄想が昔からある。長谷川利行のような放浪の画家に憧れているのかもしれない。でも自分の絵はどうもそういう絵ではない。放浪と言うより雲水画家に憧れているのだろう。至る所青山あり、と全国の修行道場を尋ねる暮らし。描画禅雲水。

 子供の頃、向昌院に尋ねてきた雲水修行者がいた。おばあさんが本堂に食事を運んでいた。おじいさんも朝一緒に読経をしていた。その雲水の人は永平寺を出て、どこか東北のお寺まで行き、永平寺までまた行くと言われていた。

 おじいさんはいつになく真剣な面持ちだった。最初に見えたときに書状のようなものをおじいさんに渡していたから、おじいさんも次に行く寺への紹介状のようなものを書いて渡したのかもしれない。お寺であり、戦争前は精神疾患の人の泊まる施設だったので、尋ねてくる人は時々居た。

 尋ねて見える人は、実に不思議な人が多かった。どうやって暮らしているのかまったく不明だった。ただ、異世界から現われたような空気を持っていて、恐ろしいことでもあったのだが、その怖さに惹きつけられるものがあった。

 おじいさんがそういう人を受け入れて、雲水を尊敬していることがよく分かったので、どこか雲水というものに憧れることになったのかもしれない。そんな暮らしを選択できる根性もないので、アトリエカー雲水と言うことぐらいがせいぜいだろう。なんとなくエセぐらいがいいところが私らしくてちょどうである。

 来年、コロナが収まったならば、アトリエカーでどこかに出かけてみようかと思う。出来れば台湾が良いのだが、ちょっと様子が分からない。誰か、車を台湾に送り、戻る方法が分かる人が居るだろうか。そう台湾の国際免許申請も難しそうだ。

 先ずは九州に渡り、小田原まで絵を描いて移動してみようかと思う。九州から山陰に回り、そもまま金沢に行く。久しぶりに金沢の友人に会いたいものだ。まだ人に会うことは出来ないのかもしれないが。白山を描くのも良い。

 それならば、東京港から石垣まで車を送ることは一度やっているので方法はわかる。費用もそれほどはかからない。昔、絵を描いた平戸とか、阿蘇とか、もういちど全国の田んぼを尋ねて、絵を描いてみたいと思う。

 体力がある間で無いと出来ないだろうから、来年やらないといけない。いつ何があるかは分からない。出来る間にやっておきたいことの一つだ。そうすると、田んぼの作業が集中しない時期と言うことになる。なかなか二カ所の田んぼとなると難しい。

 1月2月石垣の田んぼの種まきから田植えを終わらせる。4月5月が小田原の田んぼの種まきから田植えになる。すると石垣の田んぼの田植えが終わる3月頃出発して、4月の小田原の田んぼの種まきに間に合うように出かけるのが良いかもしれない。2ヶ月ぐらいの写生旅行と言うことになる。

 問題はコロナが来年の3月に収まっているかどうかになる。そうも行かないのかもしれない。今は水彩人会議で、8月11日に東京に行く予定を中止しようかと思っている。行かなければならない集まりであるので苦しいが、行くわけにもさすがに行かない状況である。

 6月に石垣の田んぼの収穫をして、小田原の収穫が10月。石垣で2期作をやらなければ、来年の7月から10月ならば少し空くだろう。台湾旅行が可能かもしれない。台湾については、これからすこしづつ研究をしてみたいと思う。

 田んぼで絵を描くようになり、絵に元気が出てきた。かってにおもっていることだが。田んぼをやりながら絵を描いている状態というのは悪くないのかもしれない。気分転換に田んぼの周りを一回りする。田んぼで気がついたことがあれば、少し作業をする。そして又絵をみる、気がついたことがあれば今度は絵を描く。

 時々誰かが田んぼに来る。しばらく話をする。そして又絵を描く。どうもこんな調子の描き方が自分に向いているのかもしれない。田んぼで絵を描いてはいるが、目の前の田んぼを描いているとは限らない。急に遠くを思い出しながら描いていることもある。

 そして描いた絵でその日の食事を分けて貰う。私の絵もお布施と言うことになる。それはあくまで夢の話だ。

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