イネ種まき後二週間の状態

   



 イネは種を蒔いて二週間が経過して、二葉期に入っている。地表に5㎝ほどの高さまで葉が伸びてきている。やはり温かいから、伸びが早いのだろう。少しひ弱に見えているところが不安要素。がっちり苗に成って欲しいものだ。

 水は充分に湧き出ているので、安心して水管理が出来る。1月に入ってから、とつぜん多雨な状態になった。新しい田んぼの造成には水が充分にありありがたいことだ。苗の育苗も安心して出来る。最初の年がこの状態だから、将来は心配ない。

 土地をお借りする前の去年を通しての予定地の観察をしていた。水はあると判断はしていた。観察が正しかったと思うとほっとする。何ごとでも日和見は大事である。確かに水は少なかったが、無いわけではないし、この湧水の歴史とこの場所の地形から、水は湧くと判断した。

 水は一月になり雨が多くなり、湧水量が増えたと言うこともあるが、溜め池を作り、湧水の周辺を整備した事によって、湧水への水の道が開かれてきたという感じもある。水がのぼたん農園にに呼び込まれ始めた。井戸は使うことによって水が増えると言うことがある。似たような現象が起きているとみているがどうだろうか。

 土壌に関しても田んぼになる土壌だと判断していた。その昔田んぼであったと言うことがある。土壌は石垣島特有の水持ちの良い土壌だと判断できた。問題は石の多さである。これが地表だけで無く地中にまで石の層があれば、かなり田んぼにするのは困難になる。

 この点では一部以外には石混じりの地層は無い。そこの石さえ取り除けば、あとは根気よく石を取り出すだけである。一年で石を取り尽くすことは無理だろう。毎年すこしづつ石を外に出して行く。田んぼに入り足に石が触れば分かる。根気よく石の取り出しをやる以外にない。

 幸いなことにこれまで鳥とかネズミの被害は出ていない。ネズミは見かけたこともある。毎日野良猫が回ってきてくれている御陰かもしれない。2時頃田んぼの脇を通過してゆく。随分きれいな白黒のトラ猫なのだが、野良猫と言われているが本当だろうか。もし野良猫なら去勢したい。

 苗は今週一週間の間に新しい段階に入る。種の胚芽からの栄養分を吸い終わり、自根からの生育が始まる。根は伸び始めている。この段階で土壌の状態が見えてくる。調子が悪いようならば、早めに手を打つつもりだ。生育の停滞が起きたならば、用意してある、液肥をジョウロで流し込みたいと思っている。

 葉色に注意をしなければならない。葉色の緑が徐々に濃くなるのでなければ成らない。黄色い苗が良いという考えもあるようだが、何故そんな考えが生まれたのか、信じがたい考えである。苗ほど甘やかして万全に育てる必要がある。それは人間の赤ちゃんと同じだ。虐待で良くなることどもなどない。

 苗は滞りなく健全に育てる必要がある。その点3週目までの生育が分かれ目になるので、もし怪しければすぐに油かすを発酵させておいた液肥の追肥を行う。また土壌が嫌気的傾向が見られたならば、光合成細菌を使う。ここに合わせて増殖中である。

 伝統農業の育苗では速効性のある対応は無い。何年も掛けて苗代の土壌をよくするほか無い。今年は初めての土壌なので、不十分な結果でも仕方がない。将来を目指し、土壌をよくするためには腐植を増やし、充分に肥料分をつかめる土壌を作ることである。石垣島の土壌は腐植がまるで無い。この改善を考える。

 土壌は乾かすとたちまちに日干しレンガのようにコチコチに固まる。これでは根は伸びれない。腐植が無いことが影響している。田んぼだから水があるのでその点いくらかましだが、それでもまったく水が浸透できないような堅さなので、腐植を増やす努力を続けたい。

 方法としては水草を繁茂させたい。アカウキクサを見付けたいが、まだ見つからない。それは仕方がないとしても、水草を緑肥とする農法を研究したい。当面ミズオオバコを導入してみたい。石垣島の希少となってきた水田雑草である。アカウキクサもそうなのだが、雑草と呼ばれて無くなることが喜ばれる草。

 少し違う話になるが、溜め池には熱帯水連のティナの苗3つを入れた。一番寒い時期の水温で23度であるから。充分に熱帯睡蓮が育つ気候だ。どうなるか溜め池への興味がさらに湧いてくる。花は人を呼ぶ。睡蓮池にあとはサガリバナと言うことになるのか。

 溜め池にはオタマジャクシが大量に出ている。アメンボーが来ないのは少し不思議だ。近間の他の田んぼを観察してみた。国仲さんの果樹園にある溜め池を調査する必要があると考えて、ちょっと見た範囲では何もいない。ここには溜め池が3つあるが、過去調査の記録は無い。

 この溜め池の一つをワカバがきれいに掃除しているのだが、溜め池の中にワカバは入りたがらなかった。水牛にしてみるとやはり寒い時期なのだろう。寒いときに水浴びは余りしたがらないようだ。雨も多いし、別段水に入りたくないようだ。

 2週間目の機能からは苗代には水を浅く張り始めた。浅く水没しない程度であるが、今回は苗代全体では直播き田んぼ全体なので、なかなか水位調整が難しかったが、2
週間して沈むところは無くなった。問題はこの後しっかり育つのかどうかである。今ひとつしっかりした感じがしてこない不安がある。

 風が強すぎるのも不安なのだが、さすがに四方向高くなっているので、風はやわらいでいて、水面が波立ち土が寄せられるというようなことは今の頃は無い。それにしても防風林を作り将来はさらに風よけをしたいものだ。

 田んぼは予定の4番田んぼまで出来上がった。これで一安心である。ほぼ1月一ヶ月で5つの田んぼが出来上がったことになる。細かい調整はすべて福仲先生が田んぼに仕上げてくれた。水平の田ずら、しっかりした高い畦、ユンボによる代掻き。見ているだけで随分勉強になった。
 まだ土を取り除くぐらいのことしか出来ない。この後、5番田んぼ以降の土木工事はゆっくりやればいいことになる。ユンボ操作の練習をかねて、田んぼを作る技術を習得したいと考えている。草の抜き方、土の動かし方、水平にする方法。
 私だけで無く、他の人もこんな練習の機会はなかなか無いだろうから、若い人こそ覚えて貰いたいものだ。案外女性が熱心だ。ユンボ操作に男女差はない。是非練習してくれると良い。落ち着いてやれば危険なことは無い機械で、その点トラックターよりも安全なのかもしれない。


 

 - 楽観農園