イリオモテヤマネコを考えた。
西表島浦内川沿岸の樹木
イリオモテヤマネコのことを改めて考えてみている。どうすれば、この先も生きてくれるかである。イリオモテヤマネコを保全したいという気持ちは、誰もにあるだろう。特別天然記念物にも成っている。様々な組織が、保全のためにそれなりの調査が繰返し行われているが。未だ完全な把握には至っていない。
2008 年 3
月までに行った総合調査がおおよそ100頭の推定になっているようだ。その後減少傾向にあるらしいと言われている。ヤマネ
コがたくさんすんでいる低地部では生息環境の
消失、劣化、攪乱、これには交通事故死が原因していて、2018年にはなんと一割の10頭がひかれた。イリオモ
テヤマネコは減少傾向にあると考えられている。
月までに行った総合調査がおおよそ100頭の推定になっているようだ。その後減少傾向にあるらしいと言われている。ヤマネ
コがたくさんすんでいる低地部では生息環境の
消失、劣化、攪乱、これには交通事故死が原因していて、2018年にはなんと一割の10頭がひかれた。イリオモ
テヤマネコは減少傾向にあると考えられている。
観光客が増加している。交通量が増えている。島民もスピードを出す。道路の作り方がヤマネコには悪かったのだ。速度の出せない道作りを考えるべきだ。ヤマネコの生息地である澤の奥の方まで、カヌーやトレッキングが行われている。観光需要に伴う農地開発などによる生息地の消失も続いている。農業の形態の変化、電気柵の影響もある。
環境省の野生動物センターでも今後どうすれば、保全できるのかと、というような確実な方向性は打ち出されていない。結局の所、人間かヤマネコかの論争の時代と基本的な意識は変わっていない。世界自然遺産になる以上、自然保護方向に意識を変えて行かなくては成らないはずだ。
夜間に道路を走る車種(観光客か、島民の車か、ナイトツアーかなど)の調査によると、走っている車の8割は島民の車で、走行スピードもレンタカーより速いことが分かっている。
これは石垣島でも同じで、レンタカーがスピードを出すとすぐ言われるが、実際は島民の車がスピードを出している。わたしはカンムリワシ共生の表示をして、絶対にスピードを出さないので、どんどん追い抜かれて行く。
2016年西表島は全域が国立公園に指定された。島全体が大きな建物は建てられないというように、一定の開発は制限されている。一方で観光客はさらに増加して、毎年倍増してきた。エコツアーと言う形のエコツーリズムが少し歪んだ形のエコツアーが増えている。中には自然を荒らしてしまうような業者も登場している。業者の数は140と言われている。
世界遺産に指定される前に、進入制限をする人数を川ごとに決めるようなことが現在提案されてきている。観光人口が増加することはどうしても島への負荷が増加することになる。どうやって島民の生活の確保と自然環境の維持が繋がるかを現実的に考えなければならないのだろう。
野生動物が絶滅する一番の原因は人間が持ち込むものである。家猫もある。犬の問題。家畜からの病気もある。野良猫は最大の問題であるはずだ。西表島にはかなりの野良猫がいたことがある。現在はかなり駆除されてほとんど居ないだろうとされているが、10匹程度入るという記事もある。この点は徹底しなければならない。
イリオモテヤマネコは遺伝子的にはベンガルヤマネコの亜種であると言うことのようだ。20万年前の地殻変動で西表島に孤立したとされている。20万年この小さな島(面積283km2)に100頭からせいぜい200頭で生き続けてきたと言う奇跡のようなヤマネコなのだ。現状が50頭であれば、危機的であろうが、100頭居るとすればかろうじてしのいでいるのだろう。西表島のエネルギー総量から計算すると、ヤマネコが生息できる限界数が、上限250頭程度とされるという。
人間が西表島に現われたのは早くとも3万年前だから、それまでの間人間の影響も無く、17万年生きていたわけだ。そうして孤立してしまい細く長く生き続けていたヤマネコは、存在そのものが奇跡的なものと考えるほか無い。
猫と言えばネズミだが、西表島にはネズミは居なかったらしい。いたとしても、猫が増加した時期があり、猫に食べ尽くされたかもしれない。現在人間が持ち込んだクマネズミは居るらしいが、ヤマネコの糞の調査からはそれほど多くのネズミ数では無いとされている。クマネズミが取り尽くされない程度のヤマネコの数と言うことだろう。
ツシマヤマネコのエサは80%のねずみだと言うことだから、クマネズミが増加すればエサが確保されると言うことはあるのだろうか。ヤマネコは80種の生きものを食べていることが確認されている。
ヤエヤマオオコウモリ、クマネズミなどの哺乳類の他、シロハラクイナなどの鳥類、キノボリトカゲ、キシノウエトカゲ、サキシママダラなどの爬虫類、ヌマガエル、ハラブチガエルなどの両生類(カエル類)、マダラコオロギなどの昆虫類、エビ・カニなどの甲殻類と幅広い分類群の動物を食べていることが確認された。
何でも食べることで、ヤマネコはこの小さな島で暮らせる数百と言う、本来であれば生き残ることは無いという限界以下の数の中で、20万年の間、まさに奇跡として生き続けていたわけだ。その意味では現在の、100頭という推測値は減ってきて危機的な状況と言うことと考えるより、環境が整えば、またすぐにも西表島の適正値250まで増加することも可能と言うこととも言えるのだろう。
人間が来て以来五〇年前までは、西表島の西表島のヤマネコは食料として普通に食べられていたものだ。それでも絶滅をしなかった。現在はそうしたことはなくなった。猫も江戸時代頃からは当然野良猫化していただろうが、それも何とか克服してきている。現在家猫の管理はかなり徹底されている。
西表島の人口を見ると減少傾向であるが、観光客は増加している。島の農耕地の面積も増えている。農地になる場所は昔はヤマネコの生息地だったと思われる場所だから、影響はかなりあるのだろう。特に田んぼについては昔は生息地であったが、現状では電気柵で囲われてそうではなくなっている。
西表島はほぼ全体が国立公園である。山間部につては国有地となって開発行為も制限されていて、むしろ炭鉱や林業開発行為がなくなり、原始の状態に戻り始めている。入山は登山道に限定されている。実際登山道を離れて動くことは沢筋以外には無理なようだ。
とすれば、これ以上人間が増加して猫の生活区域に進出するようなことが無ければ、ヤマネコはこれからも生存できる条件はある。西表島が世界自然遺産になれば、社会的環境が大きく変わる可能性がある。今からヤマネコを守るための制限を設けることでは無いだろうか。
1,自動車道路死を0にすること。方法は様々ある。
2,ヤマネコの生活圏に立ち入り禁止区域を儲けること。
3,ヤマネコ生息域への観光客の立ち入り人数を制限する。
4,入島金にヤマネコ保全費用を上乗せする。
5,猫を放し飼いにしないこと。
6,宿泊観光客を現状で抑える。新しいホテル建設の制限。
7,農業の形をヤマネコと共存できるものにする。
8,人間が新しい哺乳動物を持ち込まないこと。
9,住民の暮らしの向上がヤマネコの保護に繋がるようにする。
農業について具体的に考えてみる。田んぼは猫の良い餌場になり得る。佐渡島のトキや豊岡のコウノトリの保全のために行われたような、環境保全型農業にして、ヤマネコの餌を増やす。田んぼはできる限り、冬期湛水型のものにする。
電気柵についてはイノシシは入れないが、ヤマネコなら通れるように工夫する。猫なら乗り越えられる丸太のブリッジを作るのはどうだろうか。これを行政が提供する。設置した農家には礼金を出す。
ヤマネコ保全に冬期湛水などで協力してくれる田んぼには、田んぼを維持する負担を協力金として支払う。同時に協力してくれた田んぼのお米をヤマネコ米として、高い価格でホテル等へ販売する。そうした仕組みを協力して構築する。