「小さな田んぼのイネ作り」の質問と回答

   


 
 「小さな田んぼでイネ作り」を読んでくれた方から質問があった。山口県の農家の方である。実践されていての疑問である。他の方にもきっと参考になると思うので、質問を公開させて頂き、回答させていただきたいと思う。

1.「田植えの1週間前に緑肥をすき込む」(66ページ)とあり
ますが、生のままですき込んで、緑肥は分解しますか。トラ
ブルはありませんか?また、その目的は、「雑草の抑制」、と
ありますが、なぜ雑草を抑制できるのか、理由を教えてくだ
さい。

 雑草が抑制される科学的な仕組みは分かりません。実践的に分かった技術です。抑制されるのは田植え直前に漉き込んだ方が効果が高くなります。少なくとも田植え一週間以内に漉き込まないと効果が激減します。

 緑肥が漉き込まれて雑草が発芽できなくなるのは、雑草が分解されて行き、分解するときに起こる作用で、何か雑草が発芽できないような事が起きていると思われます。それは当然、田植えされたイネにも影響が出ないとは言えません。

 そのために、植えるイネは五葉期の大苗でないと、根をやられる可能性があります。セルトレーで育てた苗だと、田植えされたイネも雑草に対して抑草効果を起こしている物質が、イネの根も傷めるように思います。

 田んぼは一週間後から、コロガシに入るのですが、これは青草を漉き込んでガスが湧く事も抑えると思われます。コロガシは少なくとも4回入るのでガス抜き効果があるのだと思います。コロガシで草を取ると言うこと以上に土壌をよくすると言うことになります。

 
2.「稲の草丈測定」(79ページ)について、「60cmが初期育
成の一つの確認の高さ。60cmになるのが30日目なのか、
40日目なのか、50日目なのか、ここが重要である。」とあり
ますが、稲の草丈の基準が60cmとしている理由及び所要
日数の重要性の理由について教えてください。


 イネは一週間で1枚の葉が出ます。種を蒔いて、5週目に五葉期になっている必要があります。これより遅い生育場合は必ず何か、問題があります。そのために苗床で種まきをします。トレー蒔きやプラグ蒔きでは7週目で五葉期ということになります。

 この初期の生育の滞りは重要な要素で、最後の収量にまで影響すると思います。それで、一枚ずつ葉が出て、10週目で10枚目の葉が出たときに測定をします。そのときにサトジマンで60センチは超えて居ないと生育が悪いと言うことになります。

 もしかしたら、まだ九葉期というようなこともあり得ます。成れるまでは出てくる葉に油性ペンで番号を振っておくのがいいです。10週目に10葉期で10分ゲツ、葉幅は20ミリと覚えておきます。背丈は60センチ以上。ただし、70センチを越えているのも心配です。倒れる可能性が出てきます。

 つまり10週目に調査するののは13葉期目前後の補肥の調整のためです。
 
3.田んぼ見回り棒でひっかけて草取りをされている(79ペー
ジ)とのことですが、草取り棒の先ははさみになっているの
ではないかと思いますが、はさみで草を切るのでしょうか?

 草取り棒はいろいろ使いますが、先が番線で輪っかになっているものが具合がいいです。それだとイネを痛めず、草を引っかけて引き寄せることが出来ます。
 
4.稲刈りの時期についてですが、稲刈りの1~2週間前lに
落水する旨、本には記載があったと思います。結構幅が
あるのですが、2週間前に落水してしまうと、コメの水分
含有量が少なくなるのではないかと思いますが、そのあた
りいかがでしょうか?

 稲刈り前の水を落とす時期は、確かに遅いほどよいです。私もそうしたいと考えています。しかし、どうしても倒れます。お米は反収10俵を超えると倒れる可能性が高まります。穂が重すぎるわけです。

 そこで地面をどの段階で固めるかと言うことが出てきます。あくまでそれは作業性の問題です。極端に言えば、水があるまま稲刈りをしたこともあります。これは収量的にはとても良いです。手刈りでしかも、刈り取ったイネは手渡しで田んぼの外に出すほどの手間が掛かりました。

 田んぼの干しはすべて作業さえなんとかなるなら、やらない方がイネの生育には好ましいと考えています。実際に収量は上がります。しかし、倒れる可能性が高まります。機会も田んぼに入れなくなります。それは深水でも同じです。深いほどイネには良いです。

 30センチの深さまで試したことがありましたが、よく採れました。しかし、田んぼの土壌が柔らかくなりすぎて困りました。

 - 「ちいさな田んぼのイネづくり」