関西電力幹部が高浜市助役から3億2千万円もらう。

   



  関西電力の社長の記者会見を聞いた。余りの言い訳のすごさに開いた口が塞がらなかった。こんな言い訳が通用すると思っているのだろうか。報道が並ぶ記者会見の席で、こんなでたらめを平然としていえる人だから、社長になったのだと思う。日本の末期的現象の一つなのだろう。

 どうしても貰ってくれと、脅かされたので返せなかったというのだ。賄賂を貰い返せなければ、汚職である。脅かされようが返さなければ犯罪になる。これは作り上げた嘘である。高浜市市長も関電関係会社に退職後就職していたというではないか。

 賄賂が困るのであれば、すぐ会社で対策を協議する。そして、犯罪にならないための手立てを顧問弁護士に相談するはずだ。この会社は全部嘘なのだ。まさか貰った賄賂を怖くて返せない無能人間が、大企業の社長になる訳がない。そういう世渡りで社長になったのだろう。だから、賄賂を受けながらどう世渡りに利用するかを考えていたはずだ。

 長年お金をもらっていた関電幹部が20人もいるそうだ。まだまだ出てくるに違いない。その20人の情報が共有されていたと嘘をついている。情報が共有されているのであれば、関電がお金の管理をしていたはずだ。個人、個人で会社の金庫に入れていたなど茶番の嘘も休み休みにしてくれ。

 これが原発というものにまつわる、巨額なお金の世界の実態なのだ。この程度のお金のやり取りは原発では当たり前のことだ。関電だけであるはずもない。原子力ムラのムラの掟。金で互いの関係を縛り合っているのだ。お前がばらせば俺もばらしてやるぞ。だから金を渡されても返せないのだ。

 原発というものがそもそも、そうした嘘がなければ成立していないものなのだ。誰だって原発には来てほしくない。しかし、「お金になるなら受け入れよう。金をやるから受け入れろ。」こういう仕組みが根底にあるものは人間を腐らせる。

 原発立地の市町村の関係者を、すべて洗い出してもらいたいものだ。まるで被害者の様な顔をしているが、誘致して一儲けしようとする人間もいるのだ。日本中から疑いの眼で見られている、原発立地の地元関係者の皆さん、後ろ暗いところがないなら、ぜひともすべてを公開してもらいたい。

 政府は手のひらを返したように、関電批判に回った。ムラの真実から言えば、最初から政府も一蓮托生なのだ。身に及ぶ危険を感じて、切り捨てたのだ。原子力発電のムラ社会の掟である。他人を巻き込まないことになっている。やくざ社会と同じような精神構造だ。

 この高浜原発の闇を政治家が知らなかった訳がない。お金を渡した、高浜町の元助役森山栄治氏は、地方ボスというような人だろう。地方ボスと地元政治家に連携がないはずがない。森山氏関連からの政治献金を洗い出すべきだ。メガネの稲田氏はそういえば福井選出だ。献金は貰っていたことが分かった。それだけの訳がない。

 地元の政治家や原子力利権議員が絡んでいないはずがない。ばれないようにしているだけだ。こんなうまい話に、危ない話に、政治家が首を突っ込んでいないはずがない。もし蚊帳の外なら、それもまた困る。

 関西電力汚職事件はまさに原子力村にはびこる事件の一角だ。原発誘致自治体の助役が電力会社に3億2千万円というお金を渡していた。そのお金は原発建設業者が出したらしい。原発というものは巨額利権の温床である。それが原発をやめられない理由はこれなのだ。

 当事者の助役が死んでいるので、この事件も真相はやぶの中に消えてゆくことだろう。この事件が明るみに出たことで、原発を食い物にしている魑魅魍魎がいることの一角が垣間見えた。原発村の魑魅魍魎は今現在も政治と絡み合い、税金を食い物にして、しぶとく生きてつづけている。今度は原発事故処理利権である。そして、廃炉利権であろう。これだから原発は廃止できない利権の闇がある。

 金沢国税局が昨年のうちから存命中の森山氏を追及、裏金を受け取った関電幹部たちに修正申告をさせていた。それで、ここにきて、国税局から共同通信が情報を得て、『税務調査で判明』という形で先行報道。その後、各社が後追いして一斉報道となった。いまさらすでに返金しているなどと言うが、追及を受けてから返金したに過ぎない。

 金沢国税局は昨年1月、原発関連工事を請け負う高浜町の建設会社「吉田開発」の調査を行い、工事受注に絡む手数料として森山氏へ約3億円がわたったことをつかんだ。さらに森山氏を調べ、関電幹部に金品が流れた事実を突き止めたという。

 税務署に正義感が残されていたことがまだ救いである。森山氏は1977~87年に助役を務めていた。この間、高浜原発の3~4号機建設誘致の推進役となり、関電と深い仲になった。当然その時もお金が動いたはずだ。
 
 だから太いパイプが出来て、退職後も、地元業者のとりまとめ役になり、町長をしのぐ隠然たる力を持つようになり関電との取引が今後も続くように金品を送り、抜き差しならぬ関係を維持できたのだ。

 もし、税務調査がなければ、何も表面化しなかったはずだ。お金を関西電力の幹部に渡すことで、原発工事の受注操作をこの助役が支配しようとしていたのだろう。関電に渡した以上の金を、業者からせしめていたに違いない。

 これは、原子力利権の闇が偶然垣間見えたに過ぎない。政府が採算の根拠なく、原子力にしがみ付くのは、原子力利権勢力の圧力を受けてのことだろう。

 河野太郎がいつの間にか原子力発電についての発言をしなくなった。原発村の裏社会に取り込まれた姿だ。権力に取り込まれる姿なのではないかとみている。どうなのだろうか。あるいは何か、しっぽ掴まれたのか。ポストの代わりに、黙らされたのか。

 関電のこの汚職事件の対応では、金を貰った犯罪者の社長と会長がまだ辞めないで粘るという。頭の鈍い連中である。ごまかせるかもしれないという態度が見える。こういう甘い認識しかない人間が原子力企業に巣くうダニなのだ。状況はそれどころではない。刑務所に入れられるかどうか何のだ。

 国税局に言われて、修正申告をさせてから、お金を返したに過ぎない。バレなければ貰ってほくほくしていたのだ。どうして誤魔化せるものだろうか。未だ犯罪被害者を装っている。誰が考えても組織ぐるみの汚職事件である。いつ返そうかと、金庫にいただいたままお預かりしていたなどというの言い訳が通用するとでも思っているのだろうか。

 関電の八木誠会長(69)や岩根茂樹社長(66)を含む役員と社員計20人が平成23年から30年にかけて総額3億2千万円にのぼる金品を受領したことは、昨年7月から9月にかけて外部委員を含む調査委員会の調べで判明。関電は岩根氏を含む関係者に報酬返上などの社内処分を下した。何という馬鹿げた処分か。

 これが公式見解である。そんなはずがない。情報が共有化されていたなど真っ赤なウソである。それぞれが甘い汁を貯め込んでいたのだ。一分のムラ関係者がうまい話を共有化していたのだ。

 今になり、関電の取締役の一人は「調査が行われたことを1年間にわたり知らされておらず、報道を見て認識した」とし、「事情説明があってしかるべきで、異常だ」と話している。貰ったことが会社に報告されていたとすれば、取締役が知らないはずがないだろう。

 もらえなかった人は知らなかった話なのだ。貰えた人が情報を交換していて、バレずにため込む方法を画策していたと考えた方が自然である。

 原発という、可能性のない事業を、国民のためにはならない事業という性質が、こうした正義感のまるでない世界を作り上げる。

 

 - Peace Cafe