国の方角が決まらなければ改憲はない。

   

憲法を変えなくてはならないという時は、国の現状と未来展望が憲法と合わなくなった時だろう。現在憲法を変えなければならないほど、日本の状況は変化し、危ういのだろうか。フランスは憲法の変更検討が繰り返し行われている。例えば、国会議員の4選禁止というようなことを憲法で取り決めると検討している。国会議員の廃止という意見すらあるらしい。それほどのことをしなければならないほど、フランスの状況がおかしくなっている、と思っていたら、なんとフランスでは暴動が毎週起こるようになった。これでは憲法を変えるという事も考えざる得ないだろう。つまり、憲法とは国の方向をこうしようという事が定まらない限り変えようがないというものだ。平和主義で行くのか、武力均衡主義で行くのか。当然だが、軍事力に関してだけではなく、食糧自給はどうするべきか。地方と都市の関係はどう考えてゆくのか。経済は貿易立国で良いのか。企業と国家の関係はどうあるべきか。教育は何のために行うのか。そういうこと全ての国の方角に対して、国民全体の意見が一定定まらない限り憲法をどう変えればよいかは、考えられないという事になる。

確かに世界情勢は緊迫度が増している。対立が深まっている。ヨーロッパではEUが難民対応でおかしくなり始めた。アメリカと中国の経済戦争は相当深刻な状況になってきた。北朝鮮の核開発は日本では現実の脅威である。加えてアベ政権の軍事力傾斜も東アジアの緊迫度を上昇させている。この現状に対して日本の国づくりはどこに向うのかである。アベ政権は普通の軍事力のある国にすることが日本の安全保障に必要と考えている。その為には憲法の改定が必要と考えているのだろう。果たしてそうであろうか。日本が中国に対抗できるだけの武力を持つという事は、核武装するという事である。そこまでの覚悟がない限り、なまじの武力化はかえって危険ではなかろうか。中国は日本に数十発の核中距離ミサイルを撃ち込めるだけの軍事力をすでに持っている。アメリカがそれを抑止してくれているという事実はある。もしもの時はアメリカが中国に核ミサイルを撃ち込むであろう。それはアメリカの防衛であり、現実としてはその時には日本はもうこの世界から消えているのではなかろうか。

ここまで武力が大きくなってしまった現状では、どこの国も簡単に核ミサイルなど発射できない。核ミサイルの抑制は一国の問題ではなく、世界中で話し合う必要がある。核爆弾を所有していない国も、所有している国もお互いの安全を担保する仕組みを世界中で考える必要がある。そうでなければ、第二の北朝鮮が登場する。日本は非核の平和国家として世界の核の管理を国家の自由にさせないような呼びかけをする必要がある。武力で脅して有利を得るような野蛮をやめさせることが、武力を否定した憲法を持つ日本の役割のはずだ。現状アメリカの核の傘の下にいるのも現実である。核廃絶は少し未来の目標として、この核の傘を世界中の共通の傘にするべきだ。互いに傘の下に入ることで、第2の北朝鮮の登場を抑制する。アベ政権は結局のところ核保有国への道を歩んでいる。アメリカと仲違いすれば、そうせざる得ない方向に歩んでいる。アメリカは日本が利用できる間は傘の下に入れてやるが、利益にならないなら、傘から出てゆけという事になる。当面、核廃絶が出来ない以上世界平和の道はそれしかない。

こうした日本の主張が受け入れられるためには、日本の平和憲法は大きな力になる。日本は核武装しない。中途半端な軍事力など持たない、安全な国づくりという事になる。日本は一切の攻撃的な武力がない。日本は近隣祖国に対しても一切の脅威にならない。こう宣言して、専守防衛に徹する。専守防衛とは何かの議論は深めなければならないだろう。防衛の為に特化した武力の研究が必要である。現実にはこれからの戦争は武力戦争よりも、サイバー攻撃であり、経済戦争あり、細菌攻撃であるかもしれない。さらに手におえないような武力が登場することだろう。米中は経済戦争に突入した。経済封鎖に対する備えに徹しなければならない。日本は日本なりの一国主義の覚悟が必要である。経済自立型の国づくりである。アメリカにも頼らず日本国が成り立つ体制の確保が必要である。食糧自給がまずは必要では無かろうか。そういう事が定まらない以上、憲法の改定はあり得ないこととなる。

 

 

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