外国人労働者について
自民党は深刻な人で不足だから、緊急に外国人労働者を入れなければならないと主張している。この主張をもう少し正確にすれば、「3K職場では日本人が働こうとしないから、外国人労働者を入れる以外に、日本の社会は維持できない。」ということなのだろう。この緊急対応によって、日本がどのように変わって行くのか不安が高まる。戦前の植民地時代のようなことになりかねない。炭坑のような危険な仕事に、植民地からくる朝鮮人などの労働者が働いていたような状況の再現である。もし、ずさんな形で外国人労働者を3K職場で受け入れるようなことになる。現状でも余り良くない日朝関係。あるいは在日朝鮮人問題のようなことが、将来繰り返される恐れがある。日本はどちらかと言えば外国人との関係において特殊な国である。また、人種差別というものは、何処の国でもある。日本人が移民して行く過程を見ると、棄民と言えるような悲惨な状況がいくらでもある。父方の祖父の兄弟がアメリカに移民して、収容所に入り大変苦労をしたので、そうした実態を少しは聞いている。日本に来て働く人が、気持ちよく努力をして自分の人生を開拓できるというのであれば良いのだが。
農の会の関係者でもフィリピンから来た人がいた。日本で農業で生活をしたいという事で、一生懸命農業をしていた。それだけでは無理だった。それは他の日本人の新規就農者も同じことだ。いろいろの職場で働いていた。職場での苦労話をよく聞かせてくれた。日本では当たり前のことも多かった。それでも彼には耐えきれない事なんだというようなことが多かった。行き違いにより、差別と受け止めることもあったと思う。ともかく、安易に受け入れれば、またまた想定外が続くという事になる。人手が余るようになれば、帰ってもらう。こういう考えで労働者を受け入れることは失礼だし、良くない結果になる。バブルがはじけて大量の解雇問題が起きたこともあった。今度はさらに大量の労働者の雇用を公にやろうというのだから、よほど準備をしてことに当たらなければ、大きな後悔になりそうである。ロボットが3K職場で働いてくれるようになるまでのつなぎというような考えならやめた方が良い。労働者に来てもらうという事が、平和外交に繋がるようなものでなければならない。
農業分野は真っ先に外国人労働者を受け入れることになる。現在でも研修生という形で、かなりの数が入ってきている。5人に一人が外国人労働者という地域がすでにある。これが、一般の労働者とまったく同条件で雇用されるようになると、日本人は農業の現場では働いていないというような状況にまで進んでゆくと考えた方がいい。外国人労働者が居なければ、日本の食糧は維持できないという状況になる。これは独立した国家としてまともなことではないと思う。近い将来、外国人労働者が働く大企業農場と、普通の農家が競争しなければならなくなる。ますます、普通の農家というものは成り立たなくなるだろう。日本の農家の消滅が一段と速まることだろう。日本の食糧安全保障は完全に破たんする。普通の農家が無くなるという事は、中山間地の条件不利地域の農家が無くなるという事だろう。その結果、起こるのは地方消滅である。地方社会が消えてしまったとしても、日本国と言えるのだろうか。
もちろんそれは外国人労働者問題の流入がなくとも近づいていることだ。外国人労働者の流入がこの流れを加速させる。日本人は、日本国はこの先どうなるのか。若者たちの雇用環境はさらに厳しいことになる。引きこもりがさらに増えるという現実だろう。有能な人を雇用出来るような職場はある。能力競争は極めて厳しくなる。裁量労働制が出来て労働時間も際限が無くなる。これに勝ち抜く競争が生涯つきまとう。これに負けないわずかな人には良い社会だ。大半の日本の普通の若者は行き場がなくなる社会が予想される。肉体労働はしたくない。特に技術もない。やる気も普通。となれば、日本の若者の行く先は何処になるのだろうか。現代の日本の優しい若者では、到底外国人労働者に対抗できないように見える。経済戦争に突入しているのだから、甘いことは行ってはいられないというのが、アベ政権の考えなのだろうか。