沖縄本

   

蔵王 10号

沖縄から戻り、沖縄の本を読んでいる。「グスク文化を考える」新人物往来社 今帰仁教育員会編。「紅型」サントリー美術館。「日本人の魂の原郷 沖縄久高島」集英社新書 比嘉康雄 著。「古琉球」岩波文庫 伊波普謙猷 著。「沖縄文化論」 岡本太郎 著。「琉球の風」講談社文庫 陳舜臣 著。「沖縄学」新潮文庫 仲村清司 著。行ってみてから読むとなかなか面白い。特に、「グスク文化を考える」は面白い。今帰仁村というところに興味が出てきた。これはシンポジュームをまとめた本だ。こんなシンポジュームを開いた村ということがすごい。これは世界史的な視点に基づいている本だ。沖縄のことを考えると、日本という国がアジアの中でどのような位置づけの国であるかが見えてくる。閉じていない日本があるということを知る。交易ということもあるが、縄文的日本人というものが、何故、南北の沖縄やアイヌ文化の中にあるのかというようなことだ。

日本人の血液やDNAを調べてゆくと、何故か、沖縄の人とアイヌの人は似ていることがあるらしい。ゲノム解析によると、現代日本列島人は、縄文人の系統と、弥生系渡来人の系統の混血であるという解析になるらしい。アイヌ人から見ると琉球人が遺伝的に最も近縁となる。私の頭の中にあるイメージでは、3万年前後ぐらいに、東南アジアの海洋民族が、日本列島に移り住んできた最初の日本人である。その最初の地点が八重山諸島。そして、日本列島全体には朝鮮半島からの渡来。樺太経由の渡来。徐々に日本人が誕生する。それが縄文日本人として1万6000年ごろに成立する。そのご、中国から稲作文化をもった、弥生人が移り住んでくる。そして徐々に混血をしながら、新しい日本人が形成される。それは九州や関西を中心に広がってゆく。しかし、南北に分かれたアイヌの人と、沖縄の人たちは混血することが少なく、縄文人的体質を残して存在を維持できたのではないか。縄文人的な両者の資質こそ、これからの日本を考える上で、一つの大切な要素になる気がしている。

この上の文章を書き始めたのは、もう3年以上前のことだ。絵を掲載しているのでわかる。その後、沖縄関係の本が山積みになった。音楽関係の本が一番多いい。八重山の唄の文化に興味が尽きない。人間が豊かに生きるという本当の意味がみえる。八重山合衆国という本がある。八重山に様々な人が移り住んで、様々な文化が融合しながら、一つの国が出来たという事を分析した本である。そのことは八重山の唄に表れている。中国からの文化、日本からの文化。そいうものを受け入れながら、自分たちのものに育て上げてゆく。その力と自信にあふれている八重山の文化。一つにはその場所がマラリヤで厳しい環境ではあったが、人が暮らすには楽園のように豊かな場所だったのだ。そこに出来上がった稲作文化の魅力は尽きることがない。稲作こそ中国から八重山に伝わり、また、日本から洗練された技術と共に逆輸入される。いろいろ読んでみるが、八重山の稲作については、まだ不明なところが多いようだ。

2万年前の石器時代の人骨が八重山からは出土する。日本最古である。アフリカに発生した現生人類が、徐々に生息域を広げ、日本にまでくる。この人たちは北京原人などの旧人類とは違う。台湾ルートは八重山への冒険的航海の壁。朝鮮半島ルート、北海道ルートと3つの方向から、日本列島にたどり着く。日本列島がこの人の流れの終点。その数万年前の日本列島は人間が渦を巻き、異種の文化がぶつかり、流され、よどみを作り、徐々に日本人を作り出し始める。縄文人と稲作文化を持った弥生人との関係は、かなり融合的なものと最近はされている。日本列島には、引き続き様々な文化を携えた新たな人間が流入を続けていたのだろう。それを、受け入れたり、拒絶したりしながら、日本列島で、日本という塊を徐々に形成する。その典型が八重山であり、いまだにその香りが残っているようにみえる。

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