緑肥作物の勉強会

   

舟原田んぼ 井上駿先生

3月27日に緑肥作物の勉強会を行った。19名参加。井上駿先生を講師にお願いした。先生に指導いただいた言葉を含めて記録しておく。毎年田んぼで緑肥を作ってきた。緑肥がすぐに効果があるとは思わないが、緑肥が土壌を良くしてゆく大きな材料になると考えている。土壌をよくすることが遠回りのようだが、自給農業の基本になる。土壌をよくするためには腐植を増加させるという事を重視している。稲わらをたい肥にして戻すという事もしているが、併せて冬場に緑肥を作り田んぼに戻したいと考えている。多様な方法の一つとして緑肥を田んぼに戻す。作物を作るという事はそれくらい腐植を消耗してゆくという事だと考えている。緑肥を作るもう一つの大きな理由が抑草効果の期待である。緑肥を代掻き寸前に砕いて、土壌に漉き込んでしまう。一般に緑肥作物は早めに刈り取り枯らしてから土壌に漉き込むことになっているが、それでは抑草効果が減ずるようだ。青草が土壌に混ざり、腐植を始める。その時に大量の微生物が発生して、土壌は還元化する。その為にコナギの種子の発芽が抑えられる。

緑肥作物は栽培は簡単ではない。充分な栽培を安定して行うことはできない。緑肥作物の選択。播種時期はいつ頃が最適なのか。播種方法は表土に撒くのか、覆土するのか。連作障害が起きるように見えるが正しい観察であろうか。緑肥に肥料は必要なのだろうか、必要なら有機栽培の場合どうすればいいのか。安定した栽培方法を見つけたいと考えている。

舟原の2条大麦

1、舟原田んぼ

10月18日に秋起こし。19,20,21日と種を播種する。1番の田んぼに大麦とヘヤリーベッチ。2番の田んぼに、クリムソンクローバー。3番の田んぼに赤クローバー。播種量は少なめであった。稲わらを細かくして田んぼに撒いて、秋起こしを行う。その後すぐに種を蒔き、トンボで覆土した。大麦はトラックターの溝に撒いたものがよく発芽した。3月27日の時点ではほぼ満作。一部水の湧くところで生育が悪い。緑肥作物は土壌水分の影響を受けやすい。

2、山室さんの田んぼ

10月25?あたりに秋起こしを行い。緑肥のからし菜を播種。覆土。丁度27日に菜の花が一面に咲いている状態。とても美しい。景観植物としても素晴らしいが、同時にミツバチが集まって、自然層の豊かさにも役立っている。田んぼ後に菜の花を蒔いた場合肥料不足で生育の悪いことが多いいが、出来はまあまあいい方であろう。菜の花抑草というのがあるので、菜の花がほかの緑肥より効果が高いものか結果を観察したい。

3、子の神田んぼ

吉宮さんの部分は10月初めヘヤリーベッチと大麦 稲刈り後そのまま播種。藁を被せる。大麦は発芽したが、寒さで白化した。原因が地形的に寒さが淀むような場所ではないか。大麦はその後回復せず。ヘヤリーベッチも寒さにやられ、暖かくなってからやっと再生してきた状態。ヘヤリーベッチは春になって蒔いた方が良いのかもしれない。

岡本さんの部分は11月初め耕運して播種。ヘヤリーベッチは水口が良くできて、水尻が生育が悪い。水分不足も生育に影響するようだ。一部大麦を蒔くが、寒さで生育はもう一つである。麦にとっては肥料不足も感じられる。緑肥作物が田んぼの肥料分の観察の一助になる。

右下はレンゲ

4、欠ノ上田んぼ

10月25日秋起こしを行い。緑肥も播種。種を蒔いてからレーキで覆土する。その上から藁を全量蒔く。種の湿度を保つためである。27日の段階では藁は、緑肥の下敷きになりほぼ腐食して柔らかくなっていた。大麦より小麦の方が良いのかもしれない。10番11番が赤クローバー。やっと生育が始まったような状態。2番が大麦とヘヤリーベッチは発芽は良かったのだが、その寒さで委縮した。大麦は寒さにやられて良くない。徐々に回復傾向。1番はヘヤリーベッチとレンゲを蒔いたが、生育は遅れている。一番寒さが溜まる場所。8番の大麦がそこそこ出ている。3番4番のレンゲは良く生育している。川側の2か所はほとんど緑肥が生育していない。寒さの影響が強そうだ。

5、石綿さんの田んぼ 上の田んぼは良くレンゲが出ている。

秋起こしせずレンゲ種子をそのまま播種。発芽までは良かったが、その後生育は普通。1番ではよく発芽していたが、2番の半分は生育が悪い。水分不足か。

6、坊所相馬さんの田んぼ

10月16日に播種。半分を赤クローバー。半分がレンゲ。クローバーの生育が悪い。寒さの影響もみられる。やはり、冷気が籠りがちの谷戸田という事が影響しているのか。こういう条件では、覆土なしでは冬季の緑肥は難しいかもしれない。今のところ、全体に生育が一番よくない。

7、永塚田んぼ ここから暖かい下の地域の田んぼ

10月30日トラックターで耕運して播種。レンゲ、クロバー、ヘヤリーベッチ、大麦といずれも十分な生育。寒い間は出来が今一つであったが、暖かくなって一気に生育を始めた。ヘヤリーベッチは遅く蒔いた方が、場合によって春になって蒔く方が良いのかもしれない。草ろうの多さはやはり一番がヘヤリーベッチのようだ。

8、新永塚田んぼ 最後に3名が加わる。

10月末に耕して播種。ヘヤリーベッチが良く繁茂していた。奥の方がよくできていた。手前の田んぼだけぺんぺん草が一面出ていて、稲も手前が良くないかもしれないとのこと。肥料の残量で、生育に差が出るのかもしれない。

印象に残った井上先生の言葉。

★人間社会も団粒構造ではないだろうか。

★言葉にして考えを述べることで、気づくことがある。

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