沖縄の基地負担の増加

   

政府は沖縄の基地負担の軽減を建前としては主張している。ところが基地負担は軽減どころか、さらに増加されている。自衛隊の沖縄配備である。那覇の航空自衛隊配備、宮古島、与那国島、そして奄美大島、石垣島と南西諸島はいずれも自衛隊配備を進めようとしている。その理由は対中国の軍事的防波堤という事である。基地負担の軽減どころではないのが現実である。基地軽減などという嘘を国がついているのだ。こういうごまかしを許してはならない。政府は正面から、沖縄の基地増強を議論すべきだなのだ。一方で基地軽減を言いふらしておきながら、辺野古に米軍基地を増強する。普天間の危険除去だけなら、米軍に帰ってもらうことも選択肢である。ところが、基地の増強が必要だというのが政府の方針である。そのことを隠して、基地軽減のためだからという、嘘を政府は主張している。そのことを沖縄の人たちはよく分かっている。だから、国と裁判をするほどに切羽詰まっているのだ。

南西諸島への自衛隊基地の配備については、防衛省は、南西地域の防衛態勢を強化するため初動対応にあたる「警備部隊」を陸上自衛隊に新たに編成する。としている。住民への説明では、その島の防衛のために必要な自衛隊であるとしている。このことが果たして正しい説明であるのか、政府は十分に議論しなければならない。そして、日本の防衛のためには南西諸島に自衛隊の配備が必要だという結論であるなら、その旨を住民に説明し、その経済的提供分を明確に示すべきだ。現状ではあなたの棲んでいる島を守るために必要だという説明である。自衛隊があなたの島を守ってあげるのだ。だから自分のために受け入れてくださいという事になる。果たしてそれが本当のことであるかである。沖縄の過半数の人が、沖縄の基地の増強は日本全体のためのものだと考えている。

石垣島に自衛隊配備をすることを、防衛相は要請している。当該地区の住民は反対を表明している。島に自衛隊が来ることは島の防衛どころか、島が攻撃対象になるという見方である。ミサイル基地(そうと決まったことではない)が出来れば、当然中国からのミサイルの攻撃対象になるとみなければならない。石垣島にミサイル基地を作ることは、南西諸島から中国への攻撃を行い、本土を守るという考えなのだろう。70年前の沖縄の地上戦と同じ発想である。本土を守るためには沖縄は犠牲になっても仕方がないという発想が見え隠れしている。ここを正直に正面から議論しなければならない。それが議会制民主主義の基本的な姿勢であろう。裏で見えない形で了承の取引をして、進めるという手法が間違いである。基地を作るがその分こういう公共事業を行うからなどと裏交渉をしているのだ。

南西諸島の将来は、世界のリゾート地ではなかろうか。アジアからの観光客が年々増えている。中国、台湾、韓国、フィリピンからは遠くない島である。東アジア全体が経済的に豊かになれば、観光産業は大きくなる。その受け入れ先として沖縄が魅力的な場所であるのは間違いがない。平和的の島になることこそ、沖縄の未来であるはずだ。基地ができることは観光には大きなダメージになる。中国向けのミサイルがある島で、中国の観光客は楽しめないのではなかろうか。というようなことを、南西諸島の人たちが考え、決めるべきことではないだろうか。そして政府とそのことを交渉すべきだ。政府は防衛は国の専権事項だから議論をしないというのでは、憲法に示されている民主主義の政府とは言えないだろう。

 - Peace Cafe