国会議員定数削減論議の筋違い

   

定数削減の国会論議が続いた。この議論を聞いていると国会の議論はこの国の最高水準であるはずだが、あまりに低レベルの議論で国会討議が、形式的に行われるだけだとわかる。その中で共産党の質問は優れていた。議論としては政府の矛盾は明らかになった。すべてを聞いたわけではないが、民主党等の質問はまるで焦点が違う。定数削減の諮問委員会からの答申に従って定数削減を行うという事を、政府は述べている。そもそも定数削減をする方法について委員会に検討してもらったのだから、定数削減の方法のみを答えている。それでも定数削減に根拠はないとしている。定数削減の根拠を消費税増税で国民に負担をかけるのだから、国会もそれに見合う身を削る痛みとして、定数削減をすると政府は述べる。意味不明の答弁である。消費税と関連して述べるのであれば、消費税増税分を議員の給与や諸々の手当の削減をするという事なら、意味が一貫する。

定数という事は、国民の権利である。定数削減は国民の権利の削減である。消費税を上げられた上に、定数削減によって、権利を小さくされるのである。国会議員にかかる費用を3%削減しろ。それならまだ理解できる。そもそも一票の格差の問題が大きいのである。そのつじつま合わせなら、定数の増加を行うのが当然行わなくてはならないことである。衆議院議員は10万の有権者に対して1人というのが先進国ではおおよそ通例である。日本は27万人に一人という事になっている。確かにレベルの低い国会論議を聞いていると、国会議員など無駄だ。形式論議をする場所なら議員はいらない。そのような気分になるのが当たり前だが、それでも国会議員の数を減らしてはいけない。その理由は安倍氏の様な独裁者のような体質の人間、総理大臣として登場を許すことになる。

日本の保守党は過去の高い見識のあるような人間はいなくなった。利権と要領の目立ちたがり人間ばかりである。何かやりたいことがあるというより、保守党に就職しただけなのだ。こうしたたぐいの人間ばかりを見せられていると要らないとつい考えてしまう。しかし、日本の政治は民主党が政権を取って以来、相当危ないところに来ている。野党が理想論を語って政権をとっても、さらに悪くなるという痛い目を見た。あれ以来野党に対しての期待感がなくなった。どうせ、何もできないというあきらめが先に来る。そして、その状況をさらに深刻化させているのが、小選挙区制である。本来であれば、定数削減の前に小選挙区制を変えなければだめだ。政治に対する関心を失わせている一番の原因が小選挙区制である。こんな国民の意思を反映できない選挙制度を続けているのでは、投票率は下がるばかりである。どうせ自分の一票など無意味であると感じてしまう。こうした意識が独裁を生むのである。

選挙へのインターネットの利用である。これを実現しない限り、国民の意思を大切にする、政治は生まれないだろう。インターネット選挙を研究すべきだ。インターネット国民投票を研究すべきだ。それを実験的に地域政治から始めることだ。そして自分たちが政治を作っているという意識を育てる。これ以外に民主主義を育てる方法はない。現在の与党は圧倒的多数で何でもできる意識になっている。ついに憲法9条の改定まで口にするようになった。このままでは、日本は危険な方向に突き進んでしまう。世界に進出する大企業の後押しをするのが、日米同盟の強化である。大企業が利益を上げることが、国民の利益であるという発想は、韓国が先行した。その韓国の実情がどうなっているか。先行事例として調べてみることだ。農業は崩壊寸前である。従軍慰安婦像の撤去問題に見られる反応に進展がない。たぶん国民の心理にかなりの不安が存在する。日本のこの先は大丈夫なのだろうか。

 

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