田んぼ緑肥の試験
今までも緑肥が十分に育つと、田んぼがよくなる経験はしてきた。欠ノ上田んぼでは、有機農業で継続しているが、3年前から反収9俵を超え、昨年は畝取りになった。その変化を観察したきた結果、経験的には、その原因は緑肥栽培の継続によって土壌がよくなっていることにあると思われる。しかし必ずしも全面で緑肥を栽培してこなかったのは、種を購入しなければならないからである。自給農業を目指しているので、種を購入する農法には抵抗がある。クリムソンクローバーやレンゲの種の自家採取をしたこともあるが、その手間が大変すぎて続かなかった。レンゲやクローバーが再生してくるような農法も試みたが、安定性が今のところない。これは気候の影響が強い。今年は意を決して大麦とヘヤリーベッチの種を購入して、昨年成績の悪かった田んぼ4枚に緑肥を育てる田圃にした。その結果は今のところ順調に表れている。大麦の種取りは比較的簡単であった。
欠ノ上田んぼ、子の神田んぼ、舟原田んぼと異なる緑肥をやったことになった。久野4か所の田んぼの稲の生育の経過を見ていると、明らかに緑肥効果が出ていると言えそうである。この経験を次に生かすために実証試験を行ってみたい。確かに緑肥効果はあると言えそうなのだが、その自然環境を含めた複雑な条件を整理して分析し、データーを出すことが、なかなか困難である。以前、国の試験場の方に減水深の変化の実証実験の方法を教えていただき、やってみたことがあったが結果は出なかった。どうすれば答えが出るか方策があるわけではないが、腐植の量の変化を測定してみることで、土壌の状態の参考になり、緑肥の意味が見えてくるのではないかと考えている。来年の稲作ではデーターを取りながら、試験栽培を試みてみたい。今年の秋、来年の代掻き前。そして来年の秋と、3回のタイミングで、久野の10か所の田んぼの土壌のサンプルを継続して採取する。サンプルを保存しておいて、まとめて腐植の量を測定してみる。そのほかのデーターの変化も同時に行う。できれば同時期に、お隣の慣行農法田んぼも測定させてもらうつもりである。
今年は、欠ノ上田んぼの半分の圃場で、ヘヤリーベッチと大麦の混ぜた播種を行った。なぜ半分かと言えば、昨年まで自然にレンゲが再生してきた田んぼは緑肥の播種をしなかった。その結果レンゲが全く再生しなかった。そのために、緑肥なしとの比較が目に見えてわかる結果になっている。
子の神田んぼでは、レンゲの緑肥であった。管理者ごとに田圃が分かれているため、レンゲのある田んぼと、全くない田んぼが隣り合わせで、比較できる結果になった。苗についてはどちらも、欠ノ上田んぼの苗床で同じに管理した。特に初期生育に差が大きかった。
舟原田んぼでは、クリムソンクローバーである。なかなかよく繁茂していて美しかった。すぐ下の山室さん管理の田んぼでは、緑肥はやらなかった。その結果、例年山室さんのほうがよくできるのに、今年は逆転している。
以上のように、久野の3つの比較できる条件の田んぼで、こうした緑肥利用の結果の差が経験的には明らかになった。来年度は、その違いの理由を探る年にしたい。この3つの地域の田んぼをまず、この秋に土壌の腐植質の量を秋に測定する。そして、一年経過したとき、また測定を行う。緑肥を栽培したところと、栽培していないところと違いを、計測してみる。幸いというか、久野の農の会のたんぼでは、緑肥に関心のない人もいるので、その田んぼとの比較することもできる。緑肥を作る田んぼと作らない田んぼでの腐植の違いがあるのかどうか。また慣行農法の田んぼとの比較もやるつもりである。