走り穂が出た。
朝の陽ざしの入り始めた、欠ノ上田んぼ。6番、7番、8番と充実した止め葉の伸びが見えている。
8月1日に最初の走り穂が、8番田んぼで見つかり、9番、10番と走り穂が出ている。もう少し株の充実を待ってくれればいいのにと、例年思うことだ。稲は中央の太い茎から最初の穂を出し、徐々に脇の分げつにも穂をつけ始める。その全体を穂孕み期と考えている。穂が形成され生育する時期だから、当然大きな止め葉が日照を受け全開になって光合成に全力だ。この止め葉の大きさと葉の厚さが良い穂を作る条件となる。地中を想像すれば、稲は田んぼ一面の案外浅い部分に、上根を張り巡らせている。田んぼを歩けば、ミシミシと根を切る感じがある。これが踏み抜けないほど強く張り巡らしているのが良い状態。この根を最大限に働かすことが重要になる。当然水を切るようなことはしないほうがいい。そして夜の気温が25度を上回るような状態であれば、稲が夜ゆっくり休んで力を貯めることができなくなる。少しでもさわやかになるように、流し水管理にする。
走り穂 最初に穂が出たのを発見した日。ーー例年サトジマンでは8月初めとなる。
出穂期 全茎数の40~50%が出穂した日。ーー半分穂が出た様子を記憶しておく。
穂揃期 全茎数の80~90%が出穂した日。ーーこれは遅れ分げつの遅れ穂をのぞいてという感じで良い。
一番上が、お隣の慣行農法の田んぼ。間に道があり、水は繋がっていない点がありがたい。一番から7番まで見えているが、お隣との色の濃さの違いが確認できる。この時期淡い黄色では、稲に活力が不足している。一般には葉色が濃いと、倒れるといって、葉色が濃いことを避けるが、自然栽培では、葉色は濃くなければ根の状態が悪い証拠である。5番の小さな3角田んぼが一番葉の色が濃い。代掻きは根を活性化させないということを表していると思われる。根が良く活動するには、代掻きが根の周りを酸素不足にして、マイナスになるのは想像ができる。また、大量の腐食を入れているわけだから、それを良い発酵土壌に進ませるためには、微生物腐食を良い方向に分解してくれる微生物がいること。良い田んぼ土壌なら、干しを入れて、脇を止めるというようなことの必要はない。干しを入れないでも、腐敗土壌にならず、生育を続ける田んぼになる。
10番、9番、8番と、走り穂が出た田んぼ。
この時期田んぼの筋が見えるようでは、満作とは言えない。分げつ時期の日照不足の影響がみられる。その後の暑さと日照で、稲は活力を戻したのだが、分げつに行くのでなく、それぞれの出来上がった茎や葉に力を集めている。そのために稲の背丈は一気に高くなった。しかし、分げつが少ないので、茎が太く倒れないのではないかと想像している。穂が大きくなることも予測される。ここからは浅水の管理にしてゆく。隣の田んぼにつながる、排水口の堰を下げる。浅く流し水管理ということになる。この時期暑すぎると水が淀む傾向も気になる。田んぼは浅くするだけで、土壌は硬くなってゆく。1センチ下げるだけでずいぶん様子が変わるものだ。