安倍氏のアメリカ議会演説の目的

   

謝罪の無い痛切な反省とは、一体何を意味するのか。安倍氏はアメリカ議会で日米の同盟関係を強調した。同盟と言いながら、実はアメリカに隷属を表明した演説と受け取られた事であろう。アメリカに気に入られて、韓国、中国からの批判をかわす戦略のようだ。日本独自の方向を示したということより、アメリカへの忠誠を誓った演説という印象である。勿論、英語は分からないので、NHKの書き起こしを読んでの感想である。言葉は立派な演説だとは思う。誰が書いたのだろうか。良く出来ている。安保条約を改定した、祖父岸信介の昔の話しから始まり、アメリカの期待する所に従う事をとうとうと述べた。であるから、ここでいう痛切な反省とは、アメリカと戦争をした事に対してが主と思わざるえい。近隣諸国への謝罪が出てくる訳もない。アメリカ兵の犠牲に対しては、深い哀悼の誠をささげた訳だ。

問題の最大個所は、TTPで譲るという印象を与えたこと。そして、アメリカの言い成りになって、集団安全保障を見直すと約束をした事だ。ここまでアメリカに隷属する気だとは思わなかった。どうも日本の保守派というのは、戦争に負けて以来、自分というものを失い、自立国家の気概がわずかもない。果たしてそういう人達を保守派と呼んでいいのかどうかも疑問視せざる得ない。安倍氏を押す人達がここまで、アメリカに追従するのはアベノミックスであろう。もうTTPの農業5品目など報道機関は追及すらしない。日本の農家が衰退した話をわざわざ、アメリカ議会でする総理大臣の感覚では、交渉などできる訳もない。「もう農業分野のすべてを明け渡しますよ。」宣言と受け取られても仕方がない所だろう。勿論それが狙いの議会演説である。日本国内の世論操作にアメリカ議会演説を利用して、誘導しようと言うのだろう。TTPの既成事実化である。日本政治家にはエコノミックアニマルはいても、日本主義者はいない。

今回中国や韓国に謝罪がなかったという事は、それほど重要ではないと思う。アメリカの議会での演説だから、アメリカに謝罪をすればいい訳だ。アメリカに降伏し占領された訳で、平伏して許していただいたままが現状である。今更の謝罪もおかしなことではある。むしろ、今回の演説も、これからも手下として隷属します宣言だ。アメリカがベトナム戦争で行ったソンミ村住民虐殺事件を思い出す。無抵抗の子供や老人を500人、米軍兵が無意味に殺したのだ。一人の兵士は軍法裁判で有罪になるが、即釈放である。その後アメリカ大統領は、アメリカ兵士の正当性を主張して、軍事裁判自体を終わらせてしまった。その後アメリカは敗北し、ベトナムから撤退した。戦争で非人道的な悲惨な殺人が起こるのは、当然のことである。アメリカの正義では、アメリカ兵の虐殺行為は裁かれない。戦争が無意味さを知るべきだ。戦争は何も解決できない。ベトナム戦争も、イラク戦争も、正義の戦いであったはずだが、何の解決も導き出せない。どれほど戦争というものが無駄なものかを考えるべきだ。

安倍政権の痛切な反省とは、戦争に負けたという事に対する反省なのだろう。戦争自体は間違っていなかったのだが、戦力不足だったという意識ではないだろうか。今度やるならアメリカの手下になり、負ける戦争はしないという、痛切な反省をしているのではないか。アメリカ議会での安倍演説こそ、経済売国奴演説だ。経済の為に、日本の国がらを捨てる宣言なのだ。アメリカの手下になって、虎の威を借る狐で行くので、中国や韓国は黙らせて下さい、とお願いをしているのだろう。ますます問題となるのは、戦後70年談話である。ここでは、歴代の総理と認識が同じだなどと、姑息なすり替えをせず。誠心誠意謝るべきだ。被害者から誤ってくれと言われているのだ。被害者のそうした気持ちに寄り添う以外、加害者には弁解も何もないのだ。ここまで謝っても許さないと言うならともかく、謝り方がまだまだ足りない。

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