北海道で描いた絵

   

「春の命」 10F

雪解け水が湿地に沁み渡り、一気に植物が芽を出し、花を咲かせている。水に映るわずかな空の色が、水に乗り流れて行く。

 

「いのちの再生」 10F

透き通った水音が、命がよみがえる音のように聞こえた。木々の梢の新芽の色好きが美しいという事は分かっていたが、草の芽がこんなにも美しいとは、驚きであった。

「春の流れ」 10M

静かだが、一気に溢れてくるような流れである。木々の新芽はまだだ。川を描くのは面白いのだが、なかなかあの感じに近づかない。

 

「剣山麓の畑」 10P 

十勝平野のどこからも間がめられる山という事だった。新嵐山の展望台からの眺めの、雄大なすごさは別格だった。少し霞んだ畑が、山を登ってゆくようで、自然とのかかわりがとても美しかった。

 

「春の農耕地」 10P

新嵐山の展望台から、十勝平野方向を見下ろした所。春そのものだ。ここで暮らしを想像した。畑を耕すトラックタ―が、砂埃を上げていた。この日は31度という、4月中の記録としては北海道初めての高温。朝咲いていなかった花が午後には咲きだすという、北国の春がある一日に訪れるということを体感する事が出来た。

どの絵もまだ途中であるが、今回は写生してきたものをそのまま記録して見た。北海道で一緒に描いた人にも見てもらいたいということもある。この後どんな絵になってゆくのか自分でもわからない。次に呼ばれるのを待つ。命が芽生えてくる感覚。よみがえってくる明るさ。そういう希望の様なものを描けた気がした。これは一人で描いている時とは違う。北海道の人達の強さの様な物がそういう感じを呼び覚ましてくれたような気がする。絵は一人で描くものだが、それだけではない。北海道の人達と一緒に、気持ちの入った写生会になった。どんな絵になったかと思って、記録してみた。

「天空の富士」 10M

神田日勝記念美術館の水彩人展に出品した作品10号のP。富士図を意識して描いたもの。空の青さが強過ぎないかと、言われた。そうしたのだから当然なのだが、写生と造形という事も関係している様な気がした。

中央の立派な人が、菅館長。

美しい神田日勝美術館である。

 - 水彩画